香川県高松市の製造業の会社が、愛媛県東温市の営業所を狙ったニセ社長詐欺の被害に遭い、200万円をだまし取られたことがテレビ愛媛の報道で明らかになりました。社長を装う電子メールでSNSグループの作成を指示され、グループ内でのやり取りを経て指定口座へ送金させられる手口で、警察庁が2026年2月に全国へ注意喚起していたパターンと一致しています。同様の手口による被害は、2026年に入ってから全国各地で相次いで報告されています。
この記事のサマリー
- 香川県高松市の製造業の会社の東温市営業所で、2026年7月17日、従業員の男性が社長を装う電子メールの指示でSNSグループを作成しました。
- グループ内で「200万円の支払いがある」とウソのメッセージが届き、指示に従った従業員の女性が7月22日、指定された口座に現金200万円を振り込みました。
- 従業員が本物の社長に振り込みについて確認したところ、指示していないことが判明し、詐欺と発覚しました。
- 警察は会社からの被害届を8月4日に受理し、特殊詐欺事件として捜査しています。
- この手口は、警察庁が2026年2月13日付で全国に注意喚起していた「ニセ社長詐欺(ビジネスメール詐欺)」のパターンと一致しており、同種の被害は2026年に入り全国で相次いで報告されています。
整理表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 被害企業 | 香川県高松市の製造業の会社(愛媛県東温市の営業所) |
| メール受信・SNSグループ作成日 | 2026年7月17日 |
| 送金日 | 2026年7月22日 |
| 被害額 | 200万円 |
| 発覚のきっかけ | 従業員が社長本人へ振り込みを確認したところ、指示していないことが判明 |
| 被害届受理日 | 2026年8月4日 |
| 捜査状況 | 特殊詐欺事件として捜査中 |
| 手口の分類 | ニセ社長詐欺(ビジネスメール詐欺、BEC) |
何が起きたか
警察によると、2026年7月17日、香川県高松市に本社を置く製造業の会社の東温市営業所に、社長を装う人物から従業員の男性宛てに電子メールが届きました。メールの指示に従い、従業員はSNSのグループを作成しています。
その後、このSNSグループ内で「200万円の支払いがある」というウソのメッセージが届き、振り込みを指示されました。指示を受けた従業員の女性は、7月22日、指定された口座に現金200万円を振り込んでいます。振り込み後、従業員が念のため社長本人に連絡を取ったところ、そのような指示を出した事実がないことが判明し、詐欺被害であることが発覚しました。会社からの被害届は8月4日に警察が受理し、特殊詐欺事件として捜査が進められています。
警察は、OSやソフトウェアを最新の状態に保つこと、IDやパスワードを適切に管理すること、最新のウイルス対策ソフトを導入することを呼びかけています。
手口の特徴——警察庁が注意喚起する「ニセ社長詐欺」の型
警察庁は2026年2月13日、SOS47特殊詐欺対策ページで「法人を対象とした詐欺(ニセ社長詐欺)に注意!」と題した注意喚起を公開しています。これによると、この手口は3段階で構成されています。
まず、経営者になりすました人物から、インターネット等で公開されている法人のメールアドレス宛てに電子メールが届きます。実在する社長名や会社名が使われるため、受信者が気づきにくいのが特徴です。次に、新しいプロジェクトなどを理由に業務を装い、SNSグループの作成と、招待用QRコードの返信を指示されます。この際、振込権限を持つ経理担当者をグループに含めるよう求められる場合もあります。最後に、SNSグループ内でのやり取りを通じて法人の口座残高を確認させたうえで、事業資金の急な必要性や取引先への支払い代行などを名目に、指定口座への送金を指示します。
今回の東温市の事案は、この3段階の型と完全に一致しており、警察庁が半年前から注意を呼びかけていたパターンによる被害が、実際に発生し続けていることを示しています。
2026年に同じLINE誘導型の被害が全国で続く
2026年は、社長や代表者を装うメールからLINEグループを作成させ、経理担当者へ送金を指示する被害が全国で相次いでいます。
| 地域・組織 | 発生日 | 被害額 | 主な手口 |
| 群馬県前橋市の建設設備会社 | 2026年3月19日 | 5,000万円 | 社長を装うチャットから高額送金を指示 |
| 京都市中京区の貿易会社 | 2026年6月17日 | 5,880万円 | 社長を装いチャットグループを作成、当日に2回送金 |
| 和歌山市の企業 | 2026年6月18日 | 3,800万円 | メールからSNSへ誘導し、経理担当者を追加して2口座へ送金 |
| 大分市の社会福祉法人 | 2026年6月29日 | 1,990万円 | LINEグループへ経理担当者を追加し、2口座へ送金 |
| 鹿児島県内の2社 | 2026年6月 | 合計1,500万円超 | 社長名入りメールからSNSグループを作成 |
| 山口県内の法人 | 2026年7月20~21日 | 500万円 | LINEで口座残高を確認し、翌日に送金 |
| 岐阜市の機械小売会社 | 2026年7月27日 | 4,500万円 | QRコード返信、経理担当者追加、当日送金 |
国内6,000法人超を標的にしたLINE誘導型CEO詐欺では、同じ文面や誘導方法が多数の企業へ送られている状況を取り上げています。
京都市の貿易会社が5,880万円を送金した事案と、和歌山市の企業が3,800万円を送金した事案は、2日連続で発生しました。
大分市の社会福祉法人の1,990万円被害や、山口県内の法人の500万円被害も、業務メールからLINEへ移し、経理担当者へ送金を指示する構造が共通しています。
これらの事案は手口が似ていますが、同じ攻撃者や犯罪グループによるものかは確認されていません。同じシナリオが複数の犯罪者に共有・模倣されている可能性もあります。
2026年の不正送金事案全体については、ビジネスメール詐欺やなりすましチャットによる被害まとめでも整理しています。
情報システム部門・経理担当者が確認すべき対策ポイント
- 社長・役員からのメールで、SNSグループの作成や、通常と異なる連絡手段への切り替えを指示された場合は、まずその時点で詐欺を疑ってください。正規の業務連絡でSNSグループの新規作成を求められることは通常ありません。
- 送金に関する社内ルール(承認フロー、複数人での確認、送金先変更時の確認手順など)を、あらためて社内で共有・確認してください。
- 緊急の送金依頼や、取引先への支払い代行、口座残高の報告要求を受けた場合は、メールやSNS以外の方法(電話など、あらかじめ確認済みの連絡先)で本人に直接確認してください。
- 万が一SNSグループへの参加や送金を行ってしまった場合は、SNS上の通報機能を使って通報したうえで、速やかにグループから退出し、警察相談専用電話(#9110)に相談してください。
- IPA(情報処理推進機構)が公開しているビジネスメール詐欺(BEC)対策の情報もあわせて確認し、社内研修等に活用することをおすすめします。
今後注目すべき点
本記事執筆時点で、犯人グループの特定には至っていません。今後は以下の点が焦点になると考えられます。
- 捜査の進展と、犯人グループの特定状況
- 同一の手口を用いた他地域での被害の有無
- 警察庁・各都道府県警による追加の注意喚起の内容
出典
社長装いSNSグループで東温の従業員に「振り込み」指示 会社が200万円詐欺被害【愛媛】——テレビ愛媛(FNN)
法人を対象とした詐欺(ニセ社長詐欺)に注意!——警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ
佐賀県鳥栖市の企業がニセ社長詐欺で500万円被害、SNSグループ作成から送金を指示——セキュリティ対策Lab
社長かたり「チャットグループ作って」、経理担当者が信じ込み5,880万円を不正送金——セキュリティ対策Lab








