
米VMware(現在はBroadcom(ブロードコム)傘下)は2025年3月22日、ドイツの産業大手Siemens AGの米国法人を、ライセンスを取得していないソフトウェアの使用を理由に提訴しました。
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サポート契約更新時に契約ライセンス数の見解が不一致
争いが明るみに出たのは、シーメンスがVMwareの製品のサポート契約を更新しようとした際のことです。
2024年9月、シーメンスはVMwareに対し、自社で使用している製品リストを提示し、これに基づいた保守・サポート契約の発注を要求しました
しかし、そのリストには、「実際に購入していたライセンス数を大幅に上回るVMware製品の利用が記載されていた」と、VMware側は主張しています。
VMwareはこれに対し、「リストに未許可の使用が含まれている」と指摘。ところがシーメンスは、「提示したリストに誤りはない」と反論し、VMwareが要求に応じなければ法的措置を取るとまで通告したといいます。
二転三転するシーメンスの対応
その後、シーメンスは10月に入り、9月に提示したリストの撤回を試み、新たにVMwareの記録とほぼ一致するリストを再提出。
VMwareはこの一連の対応に対して「なぜ最初に誤ったリストを強く主張したのか、納得のいく説明がなされていない」と不信感を露わにしています。
加えて、VMwareが実施を求めたソフトウェア監査もシーメンスは拒否。VMwareは「他の多くの顧客は協力的で監査を問題なく受け入れている」と述べ、シーメンスの対応を特異なものと位置づけています。
訴訟提起と暫定的なサポート提供
シーメンスとの協議が平行線をたどる中、VMwareは業務への支障を避けるため、異議を表明しつつも30日間の暫定サポートを提供しました。
しかし、ライセンス管理の実態把握が困難であるとし、最終的には訴訟という強硬手段に踏み切ったかたちです。
VMwareはこの裁判で陪審裁判を要求しています。
なお、この紛争がBroadcomによるVMware買収後に導入された契約変更から生じたものかは不明です。
VMware側のダウンロード方式も変更へ
この訴訟が起きた直後の3月25日、VMwareは製品のダウンロード方法の変更も発表しました。
2025年4月24日以降、VMware製品のバイナリは専用の「ダウンロードトークン」が必要となる仕組みに移行。このトークンは顧客ごとに一意で、誰がどの製品をダウンロードしたかを追跡可能にする狙いです。
この仕組みにより、ライセンス使用状況の透明性が高まる可能性がある一方で、一部製品に含まれる既存URLとの整合性や、サポートポータルの信頼性への懸念も指摘されています。
ライセンス体系の変更と小規模企業への影響
さらに、vSphere StandardおよびEnterprise Plusのライセンス単位が最小72コアに引き上げられる可能性も報じられています。これが事実であれば、小規模なサーバー環境を持つ企業は、実際に使っていない分のライセンス料も負担することになり、コスト増が避けられません。
一部参照