X(旧Twitter)は2026年6月30日、Model Context Protocol(MCP)のホスト型サーバーを正式に提供開始したと、公式開発者アカウント(@XDevelopers)で発表しました。今回のリリースにより、Grok BuildやCursor・Claude Desktop・VS Code(GitHub Copilot)など、MCPに対応する任意のAIクライアントがX APIに直接接続できるようになりました。接続にはXの開発者アプリとOAuth 2.0認証の設定が必要ですが、従来のように独自のAPIブリッジやミドルウェアを構築・維持する必要はなくなります。料金体系は月額固定費なしの従量課金制です。
目次
サマリー
- XがMCPの2種類のホスト型サーバーを提供開始。X MCPサーバー(
https://api.x.com/mcp)はX APIへの直接アクセスを、Docs MCPサーバー(https://docs.x.com/mcp)は開発者ドキュメントの検索・参照を提供 - 対応クライアントはGrok Build・Cursor・Claude Desktop・VS Code(GitHub Copilot Agent mode)およびMCP対応の任意のAIツール
- X MCPで利用可能な機能はフルアーカイブのポスト検索・ユーザー検索・ニュース検索・タイムライン取得・ブックマーク管理・トレンド取得・Articlesの下書き・公開など
- 認証にはXのデベロッパーポータルで登録したOAuth 2.0対応アプリと、ローカルブリッジとして動作するOSSのCLIツール
xurlが必要 - 料金は月額サブスクリプションなしの従量課金制
- アクセストークンは
~/.xurlに保存され、使用後はHTTPS(TLS)上のBearerトークンとしてのみ外部に送出されるが、開発チームはトークンをシークレットとして厳重に管理することが求められる
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表主体 | X(@XDevelopers) |
| 発表日 | 2026年6月30日 |
| 提供するサーバー | X MCPサーバー(https://api.x.com/mcp)・Docs MCPサーバー(https://docs.x.com/mcp) |
| プロトコルバージョン | Streamable HTTP MCP(protocol 2025-06-18) |
| 対応クライアント | Grok Build・Cursor・Claude Desktop・VS Code(GitHub Copilot Agent)・任意のMCP対応ツール |
| 接続に必要なもの | Xデベロッパーアプリ・OAuth 2.0設定・xurl CLIツール・Node.js(npx実行用) |
| ローカルブリッジ | xurl(OSSのCLIツール。Homebrew/npm/curlでインストール可能) |
| 料金体系 | 従量課金制(月額サブスクリプションなし) |
| ドキュメント | https://docs.x.com/tools/mcp |
Model Context Protocol(MCP)とは
MCP(Model Context Protocol)は、AIツールが外部のデータソースやサービスと統一されたインターフェースを通じてやり取りするためのオープン標準プロトコルです。Anthropicが2024年に策定し、以降はCursor・Claude Desktop・VS CodeのCopilot Agent modeなど主要AIツールが採用を進めています。MCPによって、AIエージェントはコードを書かずに外部APIやデータベース・ファイルシステムへ接続できるようになります。
Microsoft Scoutのセキュリティリスク解説でも触れたとおり、MCPサーバーは設定ファイル一つでAIエージェントの機能を外部リソースに接続できる強力な仕組みである一方、組み込みの認証やセキュリティが弱いという既知の問題もあります。今回Xが提供を開始したホスト型MCPはその点を意識した設計になっているため、認証モデルを理解しておくことが情報システム部門にとって重要になります。
2つのMCPサーバーの概要
X MCPサーバー:https://api.x.com/mcp
X API v2への直接アクセスを提供するサーバーです。Xの公式ドキュメントが公開している機能一覧は以下のとおりです。
- ポスト(投稿): 特定ポストの取得、いいね・リポスト・引用ポスト者の一覧、集計数の参照
- 検索: フルアーカイブのポスト検索・ユーザー検索・ニュース検索
- ユーザー: 現在のユーザーの確認・IDやハンドル名による検索・ユーザーのポスト/タイムライン/メンション取得
- ブックマーク: ブックマークのリスト・追加・削除およびブックマークフォルダの管理
- ニュース&トレンド: ニュース記事の取得・特定地域(WOEID指定)のトレンド取得
- Articles: 下書きの作成と公開
Docs MCPサーバー:https://docs.x.com/mcp
X APIの開発者ドキュメントへの検索・参照を提供するサーバーで、設定ファイルにURLを記述するだけで使用できます。search_x(キーワード検索)とget_page_x(特定ページの全文取得)の2つのツールを持ち、開発中にAPIの仕様や認証ガイドをAIツールがリアルタイムで参照できるようになります。
両サーバーの同時接続
2つのサーバーは同時に接続でき、AIアシスタントがAPIドキュメントを調べながらAPIを呼び出すというワークフローが単一の設定ファイルで実現できます。
認証の仕組みとxurlブリッジ
X APIのOAuth 2.0は動的クライアント登録をサポートしていないため、AIクライアントをX MCPサーバーのURLに直接向けることができません。代わりに、Xの開発者プラットフォームチームが提供しているOSSのCLIツールxurlがローカルブリッジとして機能します。
仕組みとしては、AIクライアント(Cursor・Claude Desktopなど)がstdio経由でJSON-RPCを送信し、それをxurlがHTTPS+BearerトークンでX側MCPサーバーへ中継するという2段構成になっています。初回起動時にキャッシュされたトークンがなければブラウザが開き、ユーザーが一度X OAuth2ログインを完了するとトークンが~/.xurlにキャッシュされ、以降は自動更新されます。ヘッドレス環境(サーバーやリモートマシン)ではxurl auth oauth2 --headlessで事前認証する方式が用意されています。
読み取り専用エンドポイントに限定する場合は、xurlブリッジを経由せず静的なアプリ専用Bearerトークンを直接指定する構成も可能ですが、トークンの自動更新とユーザーコンテキスト(自分のアカウントとしての操作)が使えなくなるためXはブリッジ方式を推奨しています。
情報システム部門が押さえておくべきセキュリティポイント
アクセストークンの管理
Xの公式ドキュメントはセキュリティとベストプラクティスとして「~/.xurlフォルダとアクセストークンをシークレットとして扱うこと。チャット・ログ・共有設定ファイルに貼り付けないこと。生の認証情報をコミットするのではなく、環境変数を参照する形式のプロジェクト別設定ファイルを使うこと」を明示しています。
開発者がプロジェクトのMCP設定ファイル(.cursor/mcp.jsonや.grok/config.toml等)にCLIENT_IDとCLIENT_SECRETを直接記述してGitリポジトリに含めてしまうリスクがある点は、情報システム部門として特に注意が必要です。ロシア系脅威アクターがCursorとMCPをマルウェア開発に悪用した事案でも示されたとおり、MCPの設定ファイルは認証情報の漏えい経路になり得ます。
必要なスコープの最小化
Xのドキュメントは、MCP専用のアプリを必要なスコープのみで登録することを推奨しています。ブックマーク追加・Articlesの公開といった書き込み操作はレートリミットが読み取りより厳しく、誤操作や悪意ある操作があった場合の影響も大きいため、読み取り専用の用途では書き込みスコープを付与しないことが望まれます。
シャドーMCPサーバーへの警戒
今回のX MCPサーバーはXが提供するホスト型のサービスですが、一般的にMCPサーバーは設定ファイルひとつで任意のサービスへの接続が可能になります。情報システム部門が把握していない「シャドーMCPサーバー」が開発者の端末に設定されているケースは、今後ますます増加する可能性があります。組織内でMCPを使用するツールやサービスについて、接続先の把握と認証情報の管理ルールを整備しておくことが重要です。
ブリッジの動作範囲
xurlブリッジはローカルプロセスとして動作し、認証情報は機械から外部に送出されるのはBearerトークンのみでTLS(HTTPS)上に限定されるとXは説明しています。ただし、AIエージェントが取得したX上のデータが後続のAIクライアントにどう処理・保存されるかは各クライアントの実装に依存するため、機密性の高い業務でXデータをAIエージェントに処理させる場合は、利用するAIクライアント側のデータ取り扱いポリシーも合わせて確認することをおすすめします。
出典
- MCP servers for the X API and developer docs – X Developer Documentation(1次ソース)
- X Launches MCP Servers: Connect Cursor, Claude, and Grok to X API Instantly – Cyber Press
- @XDevelopers 公式ツイート(2026年6月30日)
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