富士通の子会社 富士通Japan 元社員が営業秘密の持ち出しで逮捕-商談資料・プレゼン資料など26点を私用メールに送信。

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富士通の子会社 富士通Japan 元社員が営業秘密の持ち出しで逮捕-商談資料・プレゼン資料など26点を私用メールに送信。

2026年5月12日、埼玉県警は、富士通株式会社の子会社「富士通Japan株式会社」(川崎市)の元社員高橋佑介容疑者(38歳・さいたま市見沼区)不正競争防止法違反(営業秘密領得)の疑いで逮捕しました。

高橋容疑者は2025年2月4日から同年3月25日にかけて、当時勤務していた富士通Japanのさいたま市内の事務所などで、親会社・富士通が営業秘密として管理するファイルデータ26点をコピーし、私用のメールアドレス宛に送信した疑いがもたれています。データの内容は商談の方針が記された資料・顧客向けプレゼン資料・物流部門サービスの紹介資料等で、高橋容疑者は「転職活動をするにあたって、自分のやっていた業務を説明するためだった」と供述し、容疑を認めています。

この記事のサマリー

  • 2026年5月12日:埼玉県警が富士通Japan元社員・高橋佑介容疑者(38)を不正競争防止法違反(営業秘密領得)で逮捕。
  • 犯行期間:2025年2月4日〜同年3月25日(退職直前の約50日間)。
  • 手口:富士通の管理する商談資料・プレゼン資料・物流部門サービス紹介資料等のファイルデータ26点を私用メールアドレス宛に送信して持ち出し。
  • 発覚経緯:高橋容疑者が富士通Japanを退職した後に富士通が調査を実施し持ち出しを発見。2025年12月に富士通が警察に相談。
  • 転職先:物流関連会社に転職済みだった。
  • 容疑者の供述:「転職活動のため、自分のやっていた業務を説明するためだった」と容疑を認めている。

事案の詳細

容疑者プロフィール

項目 内容
氏名 高橋佑介容疑者
年齢 38歳
住所 さいたま市見沼区
元勤務先 富士通Japan株式会社(川崎市)
退職時期 2025年3月
転職先 物流関連会社
逮捕日 2026年5月12日
逮捕機関 埼玉県警
容疑 不正競争防止法違反(営業秘密領得)

犯行の手口

逮捕容疑は2025年2月4日から同年3月25日にかけて、当時勤務していた富士通Japanのさいたま市内の事務所等において、富士通(親会社)が管理する営業秘密のファイルデータ26点をコピーし、私用メールアドレス宛に送信することで社外に持ち出した疑いです。

不正に複製されたファイルデータには、商談の方針が記された資料・顧客向けプレゼン資料・物流部門のサービス紹介資料等が含まれていました。

発覚の経緯

高橋容疑者が2025年3月に富士通Japanを退職した際、富士通が元社員による社内データの取り扱いについて調査を実施。この調査によりデータ持ち出しの事実が判明し、2025年12月に富士通から埼玉県警へ相談が行われ、捜査が開始されました。逮捕から発覚まで約1年3か月(犯行から逮捕まで約1年2か月)という経過です。

転職活動のため最も多い営業秘密持ち出しの動機

高橋容疑者の供述「転職活動をするにあたって、自分のやっていた業務を説明するためだった」は、日本における営業秘密の不正持ち出し事案において最も頻繁に語られる動機の一つです。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「企業における営業秘密管理に関する実態調査(2023年)」によれば、営業秘密の不正取得・持ち出しが発生した場合の主たる経緯として「退職・転職時の持ち出し」が最も多く、経路としては「私用メール・クラウドへの送信」が上位を占めています。

当人にとっては「自分が作成・関与したデータを説明に使うだけ」という意識があったとしても、そのデータが会社の営業秘密に該当する限り、不正競争防止法による刑事罰の対象となります。

不正競争防止法の「営業秘密領得罪」とは

今回の容疑は不正競争防止法違反(営業秘密領得)です。

「営業秘密」の3要件として、不正競争防止法上の「営業秘密」として保護されるためには、①秘密管理性(秘密として管理されていること)、②有用性(事業活動に有用な情報であること)、③非公知性(公然と知られていないこと)の3つの要件をすべて満たす必要があります。

「領得」行為として、不正競争防止法第2条第1項第4号(営業秘密不正取得行為)および第21条により、不正の競争目的で営業秘密を窃取・複製等の手段により取得する行為は、10年以下の懲役または2,000万円以下の罰金(法人の場合は5億円以下の罰金)の対象となります。

重要なのは、「自分が作成に関わった資料」であっても、会社の業務の中で作成したものは会社の財産であり営業秘密に該当する場合があるという点です。退職時に「思い出として」または「ポートフォリオとして」持ち出す行為は違法となり得ます。

富士通Japanについて

富士通Japan株式会社は富士通株式会社の100%子会社で、2021年1月1日に富士通フロンテック・富士通エフ・アイ・ピー・富士通ITマネジメントパートナーなど複数の富士通グループ会社が統合して設立されました。本社は川崎市、主に公共・社会基盤・流通・金融分野向けのITサービス(システムインテグレーション・マネージドサービス・ソフトウェア開発等)を提供しています。

セキュリティ担当者・情シス担当者が確認すべきポイント

本件は「退職直前の社員による私用メール経由のデータ持ち出し」という、企業のインサイダー脅威において最も典型的なパターンの一つです。

退職前後の技術的モニタリングとして、退職を申告した社員または退職処理が開始された社員のデータ操作ログ(外部送信・コピー・大量アクセス等)を自動的に監視・記録する仕組みを整備することが重要です。特に私用メールアドレスへの送信・外部ストレージへのコピーを検知するDLP(Data Loss Prevention)ツールの活用が有効です。

私用メールへの送信ブロックとして、社内のセキュリティポリシーとして「社内データの私用メールアドレスへの送信」を技術的にブロックする設定が有効です。多くのEDRや情報漏洩防止ソリューションがこの機能に対応しています。

退職時のデータ持ち出し確認の制度化として、退職時の手続きの一環として、業務PCの外部送信ログ・ストレージへのコピーログを確認する体制を整備してください。本件では退職後の調査によって発覚しており、退職時の確認を制度化することで早期発見・犯罪抑止効果が期待できます。

営業秘密に関する入退社時の教育として、採用時・退職時に「社内データの持ち出し禁止」を説明し、誓約書を取得することが基本対策です。「自分が作ったデータは自分のもの」という誤解を入社時に正す研修も効果的です。

参考情報