警視庁本所署の巡査部長を逮捕、他県警の捜査情報を賭博店側へ漏洩か-半年で3件目の情報漏洩事件

セキュリティニュース

投稿日時: 更新日時:

警視庁本所署の巡査部長を逮捕、他県警の捜査情報を賭博店側へ漏洩か-半年で3件目の情報漏洩事件

警視庁は2026年7月8日、本所署生活安全課の巡査部長の男(47、東京都大田区)を、地方公務員法違反(守秘義務)の疑いで逮捕したと発表しました。他県警が捜査対象としていた賭博店や関係者の住居などの情報を、捜査対象である店側に漏らした疑いが持たれています。

サマリー

  • 警視庁は2026年7月8日、警視庁本所署生活安全課の巡査部長の男(47、東京都大田区)を地方公務員法違反(守秘義務)の疑いで逮捕した
  • 人事1課によると、巡査部長は2025年5月、他県の警察が捜査対象としていた東京都・神奈川県内の賭博店や関係者の住居など約10カ所の情報を、店側に漏らした疑いがある
  • 巡査部長は2021年から本所署で風俗営業の取り締まりなどを担当しており、他県警から共有された捜査対象のリストを見て情報を漏らしたとみられている
  • 他県警が出張してこれらの賭博店等を確認したところ、実態がなくなっていたという
  • 警視庁は同日、店の経営者だった男(66、東京都墨田区)についても、情報漏洩をそそのかしたとして地方公務員法違反容疑で逮捕した
  • 両容疑者の認否は明らかにされていない
  • 警視庁を巡っては2025年11月以降、暴力団対策課の警部補がスカウトグループへ捜査情報を漏洩したとして繰り返し逮捕される事件が起きており、職員への情報管理の徹底と、捜査対象への漏洩に対する厳正な対処方針を改めて確認していた直後の事案となる
項目 内容
逮捕日 2026年7月8日
逮捕された人物 警視庁本所署生活安全課の巡査部長(47、東京都大田区)
容疑 地方公務員法違反(守秘義務)
漏洩したとされる内容 他県警が捜査対象としていた東京都・神奈川県内の賭博店や関係者住居など約10カ所の情報
漏洩の時期 2025年5月ごろ
同時に逮捕された人物 賭博店の経営者だった男(66、東京都墨田区)、漏洩をそそのかした容疑
巡査部長の担当業務 2021年から本所署で風俗営業の取り締まり等を担当
認否 両容疑者とも明らかにされていない
関連する過去の事件 2025年11月以降、暴力団対策課の警部補がスカウトグループ「ナチュラル」への捜査情報漏洩で複数回逮捕・懲戒免職・起訴内容認定

何が起きたか

警視庁人事1課によると、逮捕された巡査部長は2021年から本所署生活安全課に所属し、風俗営業の取り締まりなどを担当していました。

他県の警察が管轄外で捜査を行う際には、事前に管轄する警察へその内容を伝えるのが一般的な運用とされています。

警視庁は、巡査部長が本所署に共有されていた捜査対象のリストを閲覧し、そこに含まれていた東京都・神奈川県内の賭博店や関係者の住居など約10カ所の情報を、2025年5月ごろに店側へ漏らした疑いがあるとみて調べています。実際に他県警が現地へ出張して該当する賭博店等を確認したところ、すでに実態がなくなっていたことが分かったとされています。

警視庁は同日、この賭博店の経営者だった男(66、東京都墨田区)についても、情報漏洩をそそのかした疑いで、同じく地方公務員法違反容疑で逮捕しました。捜査する側の警察官と、捜査される側の店舗経営者が結びつき、他県警の捜査対象リストという内部情報が外部へ流出したことになります。本稿執筆時点で、両容疑者の認否は明らかにされていません。

半年で繰り返される警視庁職員による捜査情報漏洩

今回の事案は、警視庁にとって単発の出来事ではありません。当サイトで継続して取り上げてきた通り、警視庁は2025年11月12日、暴力団対策課の警部補・神保大輔容疑者(当時43)を、女性を風俗店へあっせんする国内最大級のスカウトグループ「ナチュラル」側へ捜査用カメラの画像等を漏らしたとして、地方公務員法違反の疑いで逮捕しています。

この事件では、捜査担当を外れた後も職場のパソコンで捜査資料にアクセスしていたことが判明し、同年12月には再逮捕、あわせて懲戒免職の処分も行われました。さらに直属の上司にあたる係長級や、当時の課長ら幹部12人が戒告・訓戒・注意などの処分を受けています。2026年2月26日の初公判では、被告となった元警部補が起訴内容を認めたことも報じられています。

警視庁はこの一連の事件を受けて、情報収集などリスクの高い業務に従事する捜査員について適格性を確認し、選任後も継続的にチェックする方針を示すなど、職員への情報管理の徹底と、捜査対象への情報漏洩に対する厳正な対処方針を改めて確認していました。

今回の本所署の事案は、まさにその直後に発覚した新たな漏洩事件であり、警視庁内での情報管理の実効性そのものが問われる事態になっています。警視庁は今回の逮捕について、都民や国民の信頼を著しく損なったことに心からおわびするとしたうえで、徹底した捜査で事実関係を明らかにし、再発防止に努めるとコメントしています。

情報システム部門への示唆

今回の事案は警察組織内部の話ではありますが、他県警から共有された捜査対象リストという機密性の高い情報に、担当業務上アクセスできる職員が、その閲覧権限を悪用して外部へ持ち出したという構図は、一般企業における内部不正のパターンとも共通しています。当サイトでは以前、大阪府警の警部補が捜査関係事項照会書を偽って個人情報を取得し、府警OBの行政書士へ提供していた事件も取り上げましたが、いずれのケースにも共通するのは、正規の業務権限でアクセスできる情報を、業務目的以外で参照・持ち出しした際に、それを検知する仕組みが十分に機能していなかった点です。

自組織で機密性の高い情報(捜査情報に限らず、顧客の個人情報や取引先の内部情報など)を扱う部門がある場合、誰がいつどの情報にアクセスしたかを記録するアクセスログの取得だけでなく、業務目的に照らして不自然なアクセスパターンがないかを定期的に監査する仕組みを整えることをお勧めします

出典