2026年5月12日、西日本シティ銀行(福岡市博多区、頭取:村上英之)の村上頭取は決算記者会見で、4月29日に発覚した行員によるBeReal(ビーリアル)投稿による顧客情報漏洩問題について改めて謝罪しました。
会見では当初発表(個人7名の氏名)から被害範囲が拡大したことが明らかになり、個人8名の氏名(うち1名は住所も含む)と19法人の名称がSNS上で閲覧可能な状態だったことが判明しました。また、行員による撮影は2025年1〜10月ごろに複数回行われていたことも判明。再発防止策として、従来「原則禁止」としていた執務室等への私有スマートフォンの持ち込みを全面禁止にしたことを明らかにしました。
親会社の西日本フィナンシャルホールディングス(東証プライム:7189)の株価は4月30日の謝罪発表当日に**前日比マイナス2.86%**下落しており、信頼性に関わるインシデントが金融機関の株式市場評価に直結した事案となっています。
この記事のサマリー
- 2025年1〜10月ごろ:下関支店の行員が複数回にわたり、執務室内を私物スマートフォンで撮影しBeRealに投稿。行員のスマホには不適切な画像が9件存在し、少なくとも7件がX(旧Twitter)上で閲覧可能な状態。
- 2026年4月29日夜:動画がXで急速に拡散。翌4月30日には1,042万ビュー・1.4万リポストを超える炎上状態となりました。
- 2026年4月30日:西日本シティ銀行が公式謝罪を発表。謝罪文の表現への批判が二次炎上を招き、親会社・西日本フィナンシャルホールディングス(7189)の株価が前日比-2.86%下落。
- 2026年5月12日(決算記者会見):漏洩範囲が個人8名(住所含む1名)・法人19社名称に拡大と判明。頭取が改めて陳謝。私有スマホの持ち込みを全面禁止に変更。
- 行員は現在、調査対応のため通常業務に従事していません。
- 金融庁が注視しているとの報道もあり、銀行法に基づく行政処分の可能性も指摘されています。
目次
事案の経緯
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2025年1〜10月ごろ | 下関支店の女性行員が、執務室内を私有スマートフォンで撮影しBeRealに投稿(複数回)。当初から私有スマホの業務エリア持ち込みは「原則禁止」だったが、実態として行われていた |
| 2026年4月29日夜 | 第三者がXに動画を転載し急速に拡散開始。顧客氏名が記載されたホワイトボード・業績目標・PC画面・貸出金の数値目標・デスク上の書類等が映り込んでいた。1,042万ビュー・1.4万リポストを超える炎上 |
| 2026年4月30日 | 西日本シティ銀行が公式ページで謝罪発表。「現時点で7名の顧客の氏名が確認された」と公表。親会社の株価が前日比-2.86%下落 |
| 2026年4月30日(二次炎上) | 謝罪文の「拡散された事案が判明いたしました」という表現に「責任を拡散した第三者に転嫁している」との批判が殺到し、二次炎上が発生 |
| 2026年5月12日 | 決算記者会見で村上頭取が改めて陳謝。漏洩範囲が個人8名(住所含む)・法人19社名称に拡大と発表。私有スマホ全面禁止を公表 |
5月12日の決算記者会見で判明した新事実
漏洩範囲の拡大
4月30日の初報時点では「個人7名の氏名のみ」とされていましたが、行員のスマートフォンを詳しく調査した結果、以下の通り拡大していることが判明しました。
個人の情報として、8名の氏名が閲覧可能な状態でした(当初の7名から1名増)。うち1名については住所も含まれていました。法人の情報として、19法人の名称がSNS上で閲覧可能な状態となっていました。なお、行員のスマホには不適切な画像が9件存在し、2026年5月12日時点で少なくとも7件分がX上で閲覧可能な状態です。
撮影の時期と頻度
撮影は「昨年(2025年)1〜10月ごろ」に複数回行われていたことが判明しました。4月29日に拡散した動画は投稿時期よりも相当前の撮影である可能性があり、事案の長期化が浮き彫りになっています。
再発防止策—「原則禁止」から「全面禁止」へ
従来、西日本シティ銀行では執務室等への私有スマートフォンの持ち込みは「原則禁止」とされていましたが、今回の事案を受け「全面禁止」に変更しました。
村上頭取は「お客さまをはじめ多くのみなさまに多大なご迷惑とご心配をおかけし、深くおわびします」と陳謝しています。また「早急に弁護士と相談して削除要請したい。事実関係や原因の検証をして、再発防止に努める」とコメントしました。行員は現在、調査への対応のため通常業務には従事していません。
謝罪文の問題点—「拡散された事案」という表現が火に油
4月30日に発表された謝罪文には「当行職員がインターネット上に投稿した営業店執務室内を撮影した動画や画像が、拡散された事案が判明いたしました」という表現が使われました。
この表現は「問題の本質は行員が撮影・投稿したことであり、拡散はその結果に過ぎない」にもかかわらず、まるで「拡散した第三者が問題」であるかのように読める表現として広く批判されました。謝罪において本来すべき主体は「投稿した行員」「それを許した管理体制」であり、「拡散」を主語に置いた文章は責任の所在を曖昧にするものと受け取られました。
この謝罪表現への批判が第二波の炎上を引き起こし、「謝罪の失敗」として危機広報の失敗例として各所で言及されています。
株価への影響—謝罪当日に前日比2.86%下落
西日本シティ銀行の親会社である西日本フィナンシャルホールディングス(東証プライム:7189)の株価は、謝罪発表当日の2026年4月30日(木)に前日比-2.86%*下落しました。
金融機関において、顧客情報の管理に関するインシデントは単なるコンプライアンス問題にとどまらず、投資家の信頼毀損として株式市場に直接的な影響を与えます。投資家からは「信用失墜で配当利回り3%超えでも買いにくい」との声も上がっており、株価への悪影響は継続していました。
5月12日の決算記者会見後の株価動向については、引き続き注目が必要です。
新本店オープン直後という最悪のタイミング
西日本シティ銀行は事案発覚の直前まで、2026年春の新本店ビルオープンでイメージ向上を図っていた矢先でした。新本店開設というポジティブなブランディングの直後に、行員による顧客情報漏洩炎上という対極のニュースが重なり、PRの効果が完全に打ち消される形となりました。
また、同行では過去にも東京海上日動火災保険の出向社員による情報漏洩事案(2025年5月公表)が発覚しており、同一金融機関での複数の情報漏洩事案として報道・批判されました。
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BeRealによる情報漏洩が相次ぐ背景
本件の発端となったSNSアプリ「BeReal」(ビーリアル)は、フランス発のSNSで1日1回ランダムな時間に通知が届き、2分以内に前後カメラで撮影・投稿することを促すという設計のアプリです。加工・編集ができず、その瞬間をありのまま投稿するというコンセプトがZ世代を中心に人気を博しています。
この「通知が来たら条件反射で投稿する」という行動様式が、職場での深く考えない投稿を招く構造的なリスクとして専門家から指摘されています。実際、本件と同時期の4月20日には宮城県仙台市の小学校教諭が職員向けシステム画面をBeRealに投稿して拡散された事案も発生しており、職場でのBeReal投稿問題は業種・業界を超えた課題として認識されています。
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金融庁・法的観点からのリスク
銀行法上の義務違反の可能性として、銀行法は顧客情報の適切な管理について銀行側に明確な義務を課しています。顧客情報が流出した場合、金融庁による業務改善命令・報告徴求・立入検査等の行政対応が行われる可能性があります。金融庁は本件について注視しているとの報道があります。
個人情報保護法上の問題として、氏名・住所・法人名が漏洩した可能性があることから、個人情報保護法に基づく個人情報保護委員会への報告義務が生じる可能性があります。
民事上のリスクとして、漏洩対象となった顧客8名・法人19社から精神的損害に基づく損害賠償請求が提起される可能性があります。実害(不正利用等)が発生していなくても、精神的損害として一定の慰謝料が認められた判例があります。
参考情報
- 行員が動画投稿し顧客情報流出、西日本シティ銀行頭取「深くおわび」…私有スマホ持ち込み全面禁止に(読売新聞、2026年5月12日)
- 19法人の名称も流出 西日本シティ銀行BeReal.投稿問題(毎日新聞・Yahoo!ニュース、2026年5月12日)
- 動画投稿した行員「悪気はなかった」、第三者がXに転載し拡散(読売新聞)
- お詫びとお知らせ(西日本シティ銀行、2026年4月30日)
- 西日本シティ銀行、ホワイトボード丸映りのあり得ない情報漏洩で株価は下落(週刊女性PRIME・Yahoo!ニュース)
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