神奈川県警の警部補が暴力団組員へ捜査 情報を漏洩、地方公務員法違反容疑で書類送検-停職6か月、県警の連絡禁止指示後も繰り返される癒着

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神奈川県警の警部補が暴力団組員へ捜査 情報を漏洩、地方公務員法違反容疑で書類送検-停職6か月、県警の連絡禁止指示後も繰り返される癒着

神奈川県警は2026年7月24日、川崎警察署に勤務する男性警部補(52歳)を地方公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで書類送検し、同日付で停職6か月の懲戒処分としたと発表しました。警部補は2025年10月23日から30日ごろにかけて、知人の暴力団組員に対し、別の暴力団組員が容疑者となる事件の家宅捜索や逮捕状に関する情報を電話などを通じて事前に漏らしていた疑いが持たれています。警部補は容疑を認めており、動機について「捜査情報を教えることで、個人的に暴力団に対する優位性を保ちたかった」と説明しているとのことです。神奈川県警は2025年春以降、捜査員による暴力団関係者への連絡を禁止する指示を出していましたが、その後に発生した事案となります。

サマリー

  • 2026年7月24日、神奈川県警が川崎署勤務の男性警部補(52歳)を地方公務員法違反の疑いで書類送検
  • 同日付で停職6か月の懲戒処分
  • 2025年10月23日〜30日ごろ、知人の暴力団組員に家宅捜索・逮捕状の情報を電話等で事前漏洩
  • 動機は「捜査情報を教えることで、個人的に暴力団に対する優位性を保ちたかった」
  • 警部補は容疑を認め「やってはいけないことだと分かってやっていた」と供述
  • 県警は2025年春以降、捜査員による暴力団関係者への連絡を禁止する指示を出していた
  • 神奈川県警では2024年以降、暴力団への情報漏洩や癒着事案が複数発生している

項目 内容
発表日 2026年7月24日
対象者 神奈川県警川崎警察署勤務 男性警部補(52歳)
容疑 地方公務員法違反(守秘義務違反)
行為時期 2025年10月23日〜30日ごろ
漏洩先 知人の暴力団組員
漏洩内容 別の暴力団組員が容疑者となる事件の家宅捜索・逮捕状に関する情報
漏洩手段 電話など
処分 停職6か月(懲戒処分)
認否 容疑を認めている
動機 暴力団に対する個人的な優位性の保持

家宅捜索と逮捕状の情報を事前に漏洩

捜査関係者への取材によると、警部補は2025年10月23日から30日ごろにかけて、知人である暴力団組員に対し、電話などを通じて捜査情報を伝えていました。漏らされたのは、別の暴力団組員が容疑者となる事件における家宅捜索や逮捕状に関する情報です。

漏洩された情報の性質は極めて深刻です。家宅捜索の実施予定や逮捕状の請求状況が事前に対象者側へ伝われば、証拠隠滅や逃亡といった捜査妨害に直結します。捜査の実効性を根本から損なう情報であり、単なる守秘義務違反にとどまらない実害を生じさせ得る行為です。

警部補は容疑を認めており、動機について「捜査情報を教えることで、個人的に暴力団に対する優位性を保ちたかった」と説明しているといいます。また「やってはいけないことだと分かってやっていた。反省しています」とも話しているとのことです。

金銭の授受や脅迫による強要ではなく、暴力団に対する自身の立場を有利にしたいという個人的な動機で情報が流出したという構図です。ネットワークエンジニア・サーバーサイドエンジニアとして組織の情報統制に関わってきた立場から見ると、この動機の性質は内部不正の典型的なパターンの一つに該当します。金銭目的の不正は監査や資金の流れから検知の糸口が得られますが、自己の立場や関係性の優位を目的とした情報提供は、対価が発生しないため財務面からの検知が働きません。

県警の連絡禁止指示の後に発生した事案

今回の事案で見過ごせないのは、発生時期です。

神奈川県警は2025年春以降、暴力団など反社会的勢力と捜査員との間に不適切な関係が生じることを防ぐためとして、捜査員による暴力団関係者への連絡を禁止することなどを指示していました。今回の警部補による情報漏洩は2025年10月の行為であり、この指示が出された後に発生しています。

組織として明確な禁止指示を出した後も、現場レベルで同種の行為が続いていたことになります。ルールの周知だけでは行動を統制できないという実務上の課題が浮き彫りになった形です。

県警監察官室は「警察の信頼を失墜させる言語道断の行為であり、捜査及び調査の結果を踏まえて厳正に処分した」とし、「業務管理、人事管理の強化を引き続き徹底していく」とコメントしています。

神奈川県警で繰り返される暴力団との癒着事案

当サイトでは神奈川県警における暴力団関連の不祥事を継続的に取り上げてきました。今回の事案を単独の逸脱として見るのではなく、一連の流れの中に位置づける必要があります。

2025年2月には、神奈川県警で暴力団への情報漏洩が相次いでいる状況を報じました。相模原警察署の刑事第二課に所属していた32歳の巡査長が、2024年1月に暴力団員に対して知人に関する捜査情報を漏洩したとして地方公務員法違反の疑いで書類送検され、停職3か月の懲戒処分を受けています。この巡査長は「必要な時にやり取りができる関係をつくりたかった」と供述しており、今回の警部補の動機と極めて類似した説明をしています。

同時期には、南警察署の刑事第二課に所属していた41歳の巡査部長が、指定暴力団・稲川会系の暴力団員に頼まれて捜査車両のナンバーなどを教えたとして地方公務員法違反の疑いで書類送検された事案も報じられています。

さらに2025年7月には、神奈川県警の現職警察官が暴力団と共謀して強要事件を起こし逮捕される事案が発生しました。警察官が暴力団の行動に直接関与するという極めて異常な事案であり、県警内では組織全体での再発防止策の検討が始まったとされていました。

2026年2月には、暴力団と共謀した警察官が官舎管理費を横領し、飲酒運転も行っていたとして懲戒免職となる事案も報じられています。

これらの事案に共通するのは、暴力団捜査を担当する部署に所属する捜査員が、捜査対象である暴力団関係者との個人的な関係を持ち、その関係の中で情報が流出しているという構造です。今回の警部補の「暴力団に対する優位性を保ちたかった」という供述と、2024年の巡査長の「必要な時にやり取りができる関係をつくりたかった」という供述は、いずれも捜査員が情報提供を関係構築の手段として使っていたことを示しています。

組織における情報漏洩統制への示唆

本件は警察組織における事案ですが、情報管理の観点から企業組織にも共通する論点を含んでいます。

第一に、業務上必要な外部接触が抜け道になるという構造です。暴力団捜査を担当する捜査員は、職務上、暴力団関係者と接触する機会を持ちます。この正当な業務上の接点が、私的な関係へと転化した場合に情報漏洩の経路となります。企業においても、取引先・委託先・顧客との日常的な接触が業務に必須である一方、それが機密情報の流出経路になり得るという同じ構造が存在します。取引先との長期的な関係が不正を隠蔽する構造は、業種を問わず共通する内部不正のパターンです。

第二に、禁止規定の実効性です。神奈川県警は2025年春に連絡禁止の指示を出していましたが、その後も事案が発生しました。規定の周知だけでは不十分であり、通信記録の監査、担当者のローテーション、複数人での対応の義務化といった、行動を物理的に制約する仕組みが必要になります。

第三に、対価のない情報提供の検知困難性です。今回の事案では金銭の授受が確認されていません。情報漏洩というと金銭目的が想起されがちですが、人間関係における立場の優位、承認欲求、自己顕示欲といった非金銭的な動機による漏洩は珍しくありません。自衛隊員が自己顕示欲から部内限り情報をSNSに投稿した事案も同様の構造を持ちます。財務監査や資金トレースでは検知できないため、情報アクセスログの分析と、外部との通信の記録・監査が対策の中心となります。


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