警視庁交通局交通総務課を装う偽メールが相次ぐ、105件の相談 免許更新を口実に偽サイトへ誘導

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警視庁交通局交通総務課を装う偽メールが相次ぐ、105件の相談 免許更新を口実に偽サイトへ誘導

警視庁に存在しない「交通局」を名乗り、運転免許証の記載内容に不一致があるとして偽サイトへ誘導するメールの相談が相次いでいると、TBS NEWS DIGが報じました。報道によれば、2026年7月31日から8月3日午前8時半までに「警視庁交通局交通総務課」からのメールに関する相談が105件寄せられ、警視庁はにせメールと断定して注意を呼びかけています。

今回の手口は、実在する公的機関名と運転免許更新という生活に近い手続きを組み合わせ、短い期限を示してリンクをクリックさせる典型的なフィッシングです。警察や行政機関を装うメールは、個人情報の入力だけでなく、マルウェア感染、特殊詐欺への誘導、本人確認書類情報の悪用につながるおそれがあります。

警視庁交通局交通総務課を装う偽メールのサマリー

  • TBS NEWS DIGによれば、2026年7月31日から8月3日午前8時半までに「警視庁交通局交通総務課」を名乗る偽メールに関する相談が105件確認されています
  • 偽メールは、運転免許更新期限が近い、住民基本台帳情報との照合で免許証記載事項に不一致がある、といった内容で受信者を不安にさせ、照合手続きと称するリンクへ誘導するものです
  • 警視庁は、警視庁に「交通局」は存在しないこと、個人に対して警視庁から突然メールが届くことはないこと、警視庁からの連絡で「お客様」と表現することはないことを注意点として示しています
  • 7月末には「警視庁サイバーセキュリティ対策本部」を装う別の偽メールについても相談が相次いでおり、公的機関をかたるフィッシングの題材が短期間で変化している点に注意が必要です
  • 情報システム部門は、業務メールだけでなく従業員個人宛の偽警察メールが端末感染やアカウント窃取の入口になり得ることを前提に、周知、報告窓口、URLアクセス時の初動確認を整備する必要があります
項目 内容
確認された事象 「警視庁交通局交通総務課」を装う偽メール
報道日 2026年8月3日
相談件数 2026年7月31日から8月3日午前8時半までに105件と報道
偽装された組織名 警視庁交通局交通総務課
実在性 警視庁に「交通局」は存在しないと警視庁が説明
偽メールの主な内容 運転免許更新期限、住民基本台帳情報との照合、免許証記載事項の不一致、照合期限、オンライン手続きへの誘導
誘導の目的 偽サイトへのアクセス、個人情報入力、マルウェア感染、特殊詐欺への接続などが想定されます
関連する周辺事例 7月末に「警視庁サイバーセキュリティ対策本部」を装う偽メールの相談も相次いだと報道
推奨される対応 メールへ返信しない、リンクを開かない、送信元を信用しない、公式サイトや公式窓口から確認する、受信拒否や迷惑メール報告を行う
企業側の確認事項 従業員周知、メール訓練、URLフィルタリング、EDR確認、クリック時の報告フロー、端末隔離とパスワード変更手順

何が起きたか

TBS NEWS DIGの報道によると、警視庁に存在しない「交通局」を名乗る偽メールが相次いで確認されています。メールは「警視庁交通局交通総務課」から送られたように見せかけ、運転免許更新期限が近づいていることを確認した、住民基本台帳情報との照合で免許証記載事項に不一致が認められた、といった内容で受信者を誘導するものです。

メール内には照合期限が設定され、「照合手続きはこちら」といった表示でサイトへ誘導する文面が含まれていると報じられています。警視庁はこのメールをにせメールと断定し、返信やリンク先へのアクセスをしないよう注意を呼びかけています。

今回の事案で分かりやすい違和感は、「警視庁交通局交通総務課」という組織名です。警視庁の交通関係業務は「交通部」として案内されており、TBS NEWS DIGの報道でも警視庁に「交通局」は存在しないと説明されています。一方で、受信者側が警察組織の正確な部局名まで把握しているとは限らないため、攻撃者はこのような細かい誤りがあっても、運転免許という身近な手続きと期限を組み合わせることでクリックを誘いやすくしていると考えられます。

偽メールの問題点

この偽メールの問題は、単に不自然な差出人名を使っていることではありません。運転免許、住民基本台帳、記載事項の不一致、照合期限といった言葉は、受信者に「放置すると行政手続きに支障が出るのではないか」と思わせやすい要素です。

フィッシングでは、利用停止、更新期限、不一致、本人確認、未払い、捜査対象といった言葉がよく使われます。いずれも受信者の判断時間を削り、冷静に公式サイトを確認する前にリンクを押させるための文脈です。今回の偽メールも、免許更新という生活上の重要手続きを題材にし、短い照合期限を示すことで急がせる構成になっています。

警視庁は、個人に対して警視庁から突然メールが届くことはないこと、警視庁からの連絡で「お客様」と表現することはないことも注意点として挙げています。官公庁や警察を名乗るメールであっても、宛名、表現、部局名、リンク先、期限の切り方を総合的に見て、不自然な点があればメール本文内のリンクから手続きしない判断が必要です。

先月末の警視庁サイバーセキュリティ対策本部を装う偽メールとの共通点

TBS NEWS DIG系の報道では、2026年7月30日夕方から31日午後にかけて「警視庁サイバーセキュリティ対策本部」を装う偽メールの相談も相次いだとされています。この偽メールでは、マイナポータル関連アカウントに第三者による不審なアクセスが記録されたといった内容で、制限時間を設定したうえで「オンライン確認画面」と称するサイトへ誘導していたと報じられています。相談件数は7月31日午後2時半までに64件とされています。

今回の「警視庁交通局交通総務課」偽メールと、先月末の「警視庁サイバーセキュリティ対策本部」偽メールには共通点があります。いずれも警察組織を装い、受信者本人の情報やアカウントに問題があると告げ、制限時間を示し、オンライン手続きへ誘導する構造です。

セキュリティ対策Labでは、フィッシング詐欺とは? 手口や対策を解説で、実在する企業・機関になりすました偽メッセージが認証情報や個人情報の入力を促す手口を整理しています。今回のような警察なりすましメールは、金融機関や配送業者を装う従来型のフィッシングに比べ、心理的な圧力が強く、被害者が第三者に相談しにくくなる点も厄介です。

なぜ警察なりすましメールは危険なのか

警察をかたるメールは、一般的なキャンペーン型フィッシングよりも、受信者の心理に強く作用します。警察からの連絡だと思い込むと、内容に疑問があっても「確認しなければならない」と感じやすくなります。運転免許やマイナポータルを題材にされると、本人確認情報、住所、氏名、生年月日、電話番号、メールアドレス、アカウント情報などを入力してしまう危険があります。

こうした情報は、単体でも迷惑メールや詐欺電話に悪用されますが、複数の情報が組み合わさると、より精巧ななりすましや特殊詐欺の材料になります。免許証関連の情報を入力させる偽サイトであれば、本人確認書類の画像提出や顔写真提出へ誘導される可能性も考える必要があります。

警視庁は、警察官をかたる者が偽ホームページへ誘導し、逮捕状の画像を見せて現金を振り込ませる手口にも注意を呼びかけています。今回の偽メールは運転免許を題材にしたものですが、入口がメールか、SNSか、電話かの違いはあっても、最終的に偽サイト、個人情報入力、金銭要求、マルウェア感染へつながるリスクは共通しています。

受信者が確認すべきこと

警察庁はフィッシング対策として、電子メールの送信元名称や送信元メールアドレスは偽装できるため、表示だけで真偽を判断することは困難だと説明しています。スマートフォンでは表示項目が少ない場合もあり、差出人名が本物らしく見えるだけで信用するのは危険です。

警視庁も、フィッシングメールやSMS内のURLを安易にクリックせず、真偽の判断ができないときはブックマークやお気に入りに登録した公式サイト、公式アプリなどから確認するよう案内しています。警視庁のウェブサイトを模倣した偽サイトへの注意喚起では、警視庁の正しいアドレスを確認し、不審なアドレスにアクセスしないことも示されています。

今回のようなメールを受け取った場合は、本文内のリンクを開かず、返信もせず、メールを保存したうえで、公式サイトや警察相談窓口から確認するのが安全です。すでにリンクを開いた場合でも、個人情報や認証情報を入力していなければ被害が発生していないとは限りません。ブラウザのダウンロード履歴、インストールされたアプリ、端末のセキュリティ警告を確認し、不審な挙動があれば相談窓口へ連絡するべきです。

企業や組織が見落としやすい点

この種の偽メールは、一見すると個人向けの詐欺に見えます。しかし、企業の情報システム部門にとっても無関係ではありません。従業員が会社支給端末や業務用スマートフォンで偽メールを開き、リンク先でマルウェアを実行したり、ブラウザ通知を許可したり、個人アカウントと同じパスワードを業務システムにも使い回していた場合、組織内のインシデントに発展します。

特に、警察や行政機関を装うメールは、受信者が社内に相談しにくい内容になりがちです。「免許証の記載事項に問題がある」「捜査対象になっている」「アカウントが不正アクセスされた」といった文面は、本人が恥ずかしさや不安から一人で処理しようとする可能性があります。組織としては、従業員個人に届いたメールであっても、業務端末で開いた場合は報告してよい、責めない、早期報告を評価するという運用を明文化しておくことが重要です。

セキュリティ対策Labでは、国税庁を騙るフィッシングメールの実例-DKIM認証を通過しスパムフィルター通過でも、官公庁を装うメールが技術的なフィルターをすり抜ける場合があることを取り上げています。警察なりすましメールも、単に「日本語が不自然なら見抜ける」という前提では対応しきれません。

情報システム部門への示唆

情報システム部門は、今回のような警察なりすましメールを単なる個人向け注意喚起で終わらせず、従業員が業務端末で受信・閲覧・クリックする可能性のある脅威として扱う必要があります。

具体的には、警察、税務署、自治体、マイナポータル、運転免許更新、交通違反、本人確認といった件名・文面を使う偽メールが増えていることを社内周知し、本文内リンクから手続きしないことを繰り返し伝えるべきです。周知文では「警察からのメールは全部偽物」と言い切るよりも、不審なメールはリンクを開かず、公式サイトや公式窓口で確認する、業務端末で開いた場合は情報システム部門へ報告する、という実務手順を明確にした方が運用に落ちます。

メールセキュリティの面では、URLフィルタリング、ブラウザ保護、EDRの検知、DNSログやプロキシログの確認体制を整備しておくことが重要です。偽メールのURLが社内でクリックされた場合、誰が、どの端末で、いつアクセスしたのかを追える状態でなければ、被害の有無を判断できません。添付ファイルがないメールでも、リンク先でマルウェアが配布されたり、認証情報を入力させられたりするため、リンククリック後の確認フローを準備しておく必要があります。

従業員教育では、警察・行政機関・金融機関を装うメールを題材にした訓練が有効です。ただし、訓練の目的は従業員を引っかけることではなく、迷ったときに報告できる文化を作ることです。偽メールを見つけた従業員が、メールヘッダー、送信元、本文、リンク先を不用意に転送せず、専用の報告ボタンや窓口へ提出できる仕組みを用意するべきです。

被害が疑われる場合は、入力した情報の種類に応じて対応を分けます。ID・パスワードを入力した場合は、同じパスワードを使っているすべてのサービスで変更が必要です。免許証情報や住所・電話番号などを入力した場合は、特殊詐欺やなりすまし連絡への警戒を強める必要があります。業務端末で不審サイトにアクセスした場合は、端末をネットワークから切り離し、EDRログ、ブラウザ履歴、ダウンロード履歴、プロキシログを確認する初動を定めておくことが望まれます。

出典