企業・映画公式を騙る「PR案件詐欺」が横行、共通の手口が判明 健康いぬ生活・映画『さとこはいつも』が相次いで注意喚起

セキュリティニュース

投稿日時: 更新日時:

企業・映画公式を騙る「PR案件詐欺」が横行、共通の手口が判明 健康いぬ生活・映画『さとこはいつも』が相次いで注意喚起

ドッグフードブランド「健康いぬ生活」を運営する株式会社利他フーズと、映画『さとこはいつも』の製作委員会が、2026年6月から8月にかけて相次いで、公式を装ったなりすましアカウントによる詐欺被害について注意喚起を発表しました。両者が確認した手口はほぼ同一で、SNSのダイレクトメッセージからPR案件を持ちかけ、偽の公式LINEアカウントや偽の契約書、偽の報酬管理サイトへと段階的に誘導したうえで、様々な名目で金銭を要求するというものです。映画側の発表では、実際に高額な金銭被害と、マイナンバーカードを含む個人情報の詐取被害が発生したことも明らかにされています。

この記事のサマリー

  • 株式会社利他フーズ(ドッグフードブランド「健康いぬ生活」運営)は2026年6月30日、自社および従業員を騙る偽のSNSアカウントと偽のPR案件による、なりすまし詐欺行為への注意喚起を公表しました。
  • 映画『さとこはいつも』の製作委員会は2026年8月6日に注意喚起を行ったのち、8月12日、実際に高額な金銭被害と、マイナンバーカードの表裏画像を含む個人情報の詐取被害が発生したことを公表しました。
  • 両者が確認した手口はほぼ共通しています。SNSのDMでPR案件を持ちかけ、偽の公式LINEアカウントへ誘導し、実在する企業名・商品名を無断使用した偽の業務委託契約書を締結させ、偽の報酬管理・出金プラットフォームへ登録させたうえで、様々な名目の金銭を要求するという流れです。
  • 報酬が「入金された」ように見せかけたうえで、出金しようとすると「エラー」が発生したと偽り、出金制限の解除や信用スコア回復などの名目で、追加の金銭を繰り返し要求する点が共通しています。
  • 支払先には個人名義のPayPayアカウントや銀行口座が指定される事例が確認されています。
  • 両者とも、企業側からPR案件に関して保証金・登録料・システム認証金などの名目で金銭を要求することは一切ないと明言し、注意を呼びかけています。

整理表

項目 健康いぬ生活(株式会社利他フーズ) 映画『さとこはいつも』
注意喚起の公表日 2026年6月30日 2026年8月6日(初報)、8月12日(続報)
実際の被害の有無 本記事執筆時点で言及なし 高額な金銭被害、個人情報(マイナンバーカード表裏画像含む)の詐取被害が発生
接触経路 TikTok・LINE等のSNS Instagram・TikTok等のSNSのDM
騙られた偽の担当者名 「プロモーション担当:守山洋子」等、実在しない従業員名 本映画関係者を装う(詳細不明)
偽の契約内容 商品名「馬肉自然づくり」を無断使用した業務委託契約書、契約締結日に12万円支払うという条件 広告費等の用途を説明した業務委託契約書
誘導先の偽アカウント 詐欺LINEアカウント(ID:@618myxnb) 偽の公式LINE、偽サイト(45job[.]com、50job[.]comが使用された事例あり)
金銭要求の名目 出金制限解除のための「システム認証金」 「管理主体確認」費用、「信用保証金」、確認用送金の再送要求、マネーロンダリング確認名目の審査費用等
支払先 記載なし 個人名義のPayPayアカウント、個人名義の銀行口座

共通する手口の流れ

両者が確認した手口は、次のような段階を経る点で共通しています。

第1段階:SNSでの接触 公式アカウントになりすましたアカウントから、TikTokやInstagram、LINE等のSNSのダイレクトメッセージを通じて、「PR案件がある」「動画投稿を依頼したい」「報酬を支払う」といった内容で接触が行われます。

第2段階:偽の公式LINEアカウントへの誘導 やり取りの中で、公式ではない偽のLINEアカウントへの友だち追加を促されます。

第3段階:偽の業務委託契約書の締結 実在する企業名・代表者名・商品名を無断で使用した、偽の業務委託契約書が電子契約等の形で交わされます。契約締結日に一定額(数万円から10万円台)を支払うといった、具体的な条件が提示される点も特徴です。

第4段階:偽の報酬管理・出金プラットフォームへの登録 報酬を支払う名目で、犯行グループが用意した外部の偽サイト(契約・出金プラットフォーム)への登録を求められ、個人情報を入力させられます。

第5段階:「システムエラー」を口実にした金銭の要求 プラットフォーム上で架空の報酬額が入金されたように見せかけたのち、実際に出金しようとすると「口座情報に誤りがある」「信用スコアが低下した」などと偽りのエラーが発生します。その後、出金手続きを再開させるためと称し、「システム認証金」「信用保証金」「マネーロンダリング確認のための審査費用」など、複数の名目で次々と送金を要求されます。一部の事例では「確認用の少額が振り込まれていなかったため、全額を再送してほしい」といった、追加の口実で再度の送金を求められるケースも確認されています。

情報システム部門・広報担当者、個人が確認すべき対策ポイント

企業・ブランド側の対策

  • 自社・自社ブランドの公式SNSアカウント・LINEアカウントのIDを、公式サイト上で明確に公開し、これ以外からの連絡はなりすましである旨を周知してください。
  • PR案件や業務委託において、保証金・登録料・システム認証金等の名目で金銭を要求することが絶対にないという方針を、あらかじめ公式に明示しておくことをおすすめします。
  • 自社を騙るなりすましアカウントや偽サイトを発見した場合は、プラットフォーム運営元への通報、警察への相談、必要に応じて弁護士と連携した削除要請など、速やかな対応体制を整えてください。

個人(インフルエンサー・一般ユーザー)の対策

  • SNSのDMで届いたPR案件の依頼について、実在する企業からの連絡かどうかを、必ず公式サイト・公式SNSアカウントで確認してください。
  • 「実質無料」「高額報酬」といった魅力的な条件を提示された場合でも、契約前に安易に個人情報や振込先情報を提供しないでください。
  • 報酬の受け取りに際して、保証金・登録料・システム認証金などの名目で金銭の先払いを求められた場合は、詐欺を疑ってください。信頼できる企業が、報酬の支払い前に金銭を要求することは通常ありません。
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)の画像は、別の詐欺に悪用されるリスクが極めて高いため、要求されても絶対に送信しないでください。
  • 万が一被害に遭った場合は、最寄りの警察署(サイバー犯罪相談窓口)や消費生活センター、警察相談専用電話「#9110」、消費者ホットライン「188」に相談してください。金銭を振り込んでしまった場合は、利用した金融機関・決済サービス会社にも直ちに連絡してください。
  • 被害に遭った後、「返金を代行する」などと持ちかけて手数料を要求する二次被害の連絡にも注意してください。

今後注目すべき点

本記事執筆時点で、これら2件のなりすまし詐欺が同一の犯行グループによるものかどうかは確認されていません。しかし、手口の類似性は極めて高く、同種の攻撃が他の企業・ブランド・コンテンツ関連でも展開されている可能性があります。

  • 同様の手口を用いた、他の企業・ブランドへのなりすまし詐欺の有無
  • 両事案が同一の犯行グループによるものかどうかの捜査の進展
  • 偽サイトのドメインパターン(「◯◯job.com」等)の変化や、新たな手口の出現

出典

【健康いぬ生活】当社および当社従業員を騙る偽のSNSアカウント、ならびに偽のPR案件に関する注意喚起——RITAグループホールディングス株式会社

【重要】映画『さとこはいつも』公式アカウント/本映画関係者を装った悪質な詐欺被害の発生及び手口に関する重要なお知らせ——映画『さとこはいつも』製作委員会