総務省、郵便不正めぐる情報公開請求で「ほとぼりさめさせる」投稿か 朝日新聞報道、事実関係を確認中

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総務省、郵便不正めぐる情報公開請求で「ほとぼりさめさせる」投稿か 朝日新聞報道、事実関係を確認中

日本郵便の郵便物「放棄・隠匿」事案をめぐり、監督官庁である総務省の業務用Microsoft Teamsに、情報公開請求への対応を意図的に遅らせることを示唆する投稿があったと朝日新聞が2026年8月31日に報じました。

朝日新聞によると、総務省郵政行政部内に設けられた「放棄・隠匿」と題するグループチャットで、同紙による情報公開請求が受理された直後の2025年10月2日、「特別延長してほとぼりをさめさせる」などの投稿が確認されたとしています。開示決定は実際に遅れ、開示された文書の多くが非開示部分を含んでいたとも報じています。

一方、総務省は朝日新聞の取材に対し「事実関係を確認中」と回答しており、本稿執筆時点でTeamsの投稿内容、投稿者、開示期限延長の判断理由を公式に確認した発表はありません。

背景には、日本郵便が郵便物の放棄・隠匿などの一部事案を公表していなかった問題があります。総務省は2025年9月26日、日本郵便に対して公表基準を明確化し、郵便法に抵触する事案などを原則公表するよう行政指導しました。日本郵便は10月31日、公表範囲の拡大と2020年度以降の過去の非公表事案の公表を含む対応方針を報告しています。

総務省の情報公開請求対応をめぐる報道のサマリー

  • 朝日新聞は2026年8月31日、総務省内のMicrosoft Teamsで情報公開請求を意図的に遅らせることを示唆する投稿があったと報じました。
  • 問題のチャットは、郵政行政部内で日本郵便の郵便物「放棄・隠匿」事案への対応を協議するため設けられたと報じられています。
  • 投稿は2025年10月2日、朝日新聞による情報公開請求が受理された直後に行われたとされています。
  • 朝日新聞が確認した投稿には「特別延長してほとぼりをさめさせる」との文言が含まれていたとされています。
  • 朝日新聞によると、開示は実際に遅れ、開示された文書の内容も限定的でした。
  • 同紙がチャット本文などを改めて情報公開請求したところ、当該文書は不開示になったと報じています。
  • 総務省大臣官房総務課は朝日新聞に「事実関係を確認中」と回答しています。
  • 総務省は2025年9月26日、日本郵便に郵便物の放棄・隠匿等の公表を徹底するよう行政指導していました。
  • 日本郵便は同年10月31日、公表対象を拡大し、2020年度以降の過去の非公表事案も公表する方針を報告しています。
  • 衆議院総務調査室の資料では、総務省は2024年6月にも日本郵便の非公表姿勢について、利用者目線に欠けるとして改善を促していたと整理されています。
  • 情報公開法は開示決定を原則30日以内とし、通常延長と大量文書を対象とする期限特例にそれぞれ要件を設けています。
  • 今回、総務省が実際にどの条項を適用し、どのような理由で開示期限を延長したかは、公開された一次資料から確認できませんでした。
  • Teamsなどのチャットも、職務上作成され、組織的に利用され、行政機関が保有する電磁的記録であれば行政文書に該当し得ます。
  • 現時点では、投稿の存在や開示遅延の目的について総務省による公式な事実認定はなく、違法行為が確認されたと断定することはできません。
項目 内容
報道日 2026年8月31日
報道機関 朝日新聞
対象組織 総務省 郵政行政部
対象事案 日本郵便の郵便物放棄・隠匿等をめぐる監督対応と情報公開請求
チャット Microsoft Teams上の「放棄・隠匿」と題するグループと報道
問題とされた投稿 「特別延長してほとぼりをさめさせる」など
投稿時期 2025年10月2日と報道
総務省の公式見解 「事実関係を確認中」と朝日新聞に回答
開示期限延長 朝日新聞は実際に開示が遅れたと報道
適用された法的根拠 公開一次資料では確認できませんでした
Teams投稿の公式確認 確認できませんでした
懲戒・処分 確認できませんでした
日本郵便への行政指導 2025年9月26日
日本郵便の対応報告 2025年10月31日

発端は日本郵便の「放棄・隠匿」事案の非公表問題

今回の報道の背景にあるのは、日本郵便で郵便物が捨てられたり、放置・隠匿されたりした事案の一部が公表されていなかった問題です。

朝日新聞は2025年9月、一部の放棄・隠匿事案が公表されていなかったと報道しました。

総務省は同年9月26日、日本郵便に「郵便物の放棄・隠匿等に関する公表等について(要請)」の行政指導を実施しました。

要請では、郵便法第5章の規定に抵触する事実があった場合は原則として総務省への報告と公表を行うこと、法令違反の有無にかかわらず郵便物の紛失などで配達・返還が困難になった場合も利用者保護の観点から原則公表すること、全国で統一した判断基準を設けることなどを求めています。

衆議院総務調査室の資料では、総務省は2024年6月にも、放棄・隠匿事案を報道発表しない日本郵便の姿勢について「利用者の目線に欠けている」として改善を促していたと整理されています。

つまり、2025年9月の行政指導は、総務省が日本郵便に情報公開・説明責任の改善を改めて求めたものと位置付けられます。

日本郵便は2020年度以降の非公表事案を開示

日本郵便は2025年10月31日、総務省への対応方針を公表しました。

それまで日本郵便は、郵便法第5章に抵触する事案のうち第77条の「放棄・隠匿」に係る事案を原則公表していましたが、今後は第5章に抵触する社員による事案を個別に公表するとしました。

行為者が特定できない場合でも、通常は郵便物を取り扱わない場所から郵便物が発見されるなど、放棄・隠匿等が強く推認される場合は個別公表するとしています。

さらに、郵便物を紛失し、差出人や受取人への配達・返還が困難な場合についても利用者保護の観点から公表する方針に変更しました。

過去の非公表事案についても、遡及可能な2020年度以降の事案を整理して公表しています。

行政指導の6日後に情報公開請求を巡る投稿と朝日新聞が報道

朝日新聞によると、総務省郵政行政部では2025年9月の報道後、業務用Microsoft Teams上に「放棄・隠匿」と題するグループチャットが作られました。

日本郵便への行政指導から6日後の10月2日、朝日新聞による情報公開請求が総務省で受理された直後、同チャットで開示請求への対応が話し合われたとしています。

その中で「特別延長してほとぼりをさめさせる」など、開示を意図的に遅らせる趣旨と受け取れる投稿があったと朝日新聞は報じました。

朝日新聞は、総務省が日本郵便へ速やかな公表や説明責任を求める一方、自らに対する情報公開請求では開示を遅らせる趣旨のやり取りが行われていた可能性を問題視しています。

ただし、このチャットの内容について総務省はまだ公式な調査結果を公表していません。

現時点で確認できるのは「朝日新聞がチャットを独自に確認したと報じていること」と「総務省が事実関係を確認中としていること」です。

情報公開法は原則30日、延長には要件

行政機関への情報公開請求は「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」、いわゆる情報公開法に基づいて行われます。

同法第10条は、開示請求があった日から原則30日以内に開示・不開示を決定するよう定めています。

事務処理上の困難など正当な理由がある場合には、30日以内に限って延長できます。その場合、行政機関は延長後の期間と延長理由を書面で通知しなければなりません。

さらに第11条には「開示決定等の期限の特例」があります。

対象文書が著しく大量で、60日以内に全ての開示決定を行うことで通常業務に著しい支障が生じるおそれがある場合、相当部分を60日以内に処理し、残りを相当な期間内に処理できる制度です。

この場合も、特例を適用する理由と残りの文書について開示決定する期限を請求者へ書面で通知する必要があります。

朝日新聞が報じたチャットの「特別延長」が情報公開法第11条の期限特例を意味していたのか、実際の開示決定でどの条文が適用されたのかは、現在公開されている一次資料だけでは確認できません。

また、仮に報道された投稿が事実だったとしても、実際の延長に法定要件が存在したかどうかは別途確認が必要です。投稿内容だけから情報公開法違反と断定することはできません。

Teamsチャットも行政文書になり得る

今回の問題では、業務チャットそのものの公文書管理も論点になります。

e-Gov文書管理は「行政文書」について、行政機関の職員が職務上作成・取得した文書で、職員が組織的に用いるものとして行政機関が保有するものと説明しています。

対象には紙文書だけでなく、電子的・磁気的な「電磁的記録」も含まれます。

したがって、Teamsの投稿であっても、職務上作成され、組織的に利用され、行政機関が保有しているという条件を満たせば行政文書に該当し得ます。

2026年6月には、厚生労働省のMicrosoft Teamsチャットなどが委託事業者の作業ミスで消失した際、厚労省自身が消失データに「行政文書が含まれる」と公式発表しています。

ただし、Teamsの全ての雑談や日常連絡が自動的に長期保存や情報公開の対象になるわけではありません。個々の記録について行政文書への該当性、保存期間、情報公開法上の不開示情報に該当するかをそれぞれ判断する必要があります。

セキュリティ対策Labでは、Teamsチャットと行政文書管理の問題について「厚生労働省のMicrosoft Teamsチャット約750万件が東芝の誤実施で消失・復元不能」でも整理しています。

朝日新聞による再請求ではチャット等が不開示と報道

朝日新聞は、今回確認したTeamsチャットの文面や、総務省幹部向けに共有された「判明した問題点」とする文書について、改めて情報公開請求を行ったとしています。

しかし、これらは不開示になったと報じています。

現時点では、不開示決定の通知全文や、総務省がどの不開示事由を適用したのかを確認できる一次資料は公開されていません。

情報公開法には、個人情報、法人の正当な利益を害する情報、公共の安全に関する情報、行政機関内部の審議・検討・協議に関する情報など、一定の不開示情報が定められています。

したがって「黒塗りや不開示だった」という事実だけで隠蔽と断定することはできず、具体的な不開示理由と対象情報を確認する必要があります。

総務省は「事実関係を確認中」

朝日新聞の記事によると、総務省大臣官房総務課は今回のTeams投稿について「事実関係を確認中」と回答しています。

8月31日時点で、総務省からは投稿の真正性、投稿者、開示期限延長の経緯、内部調査、関係職員への処分などに関する公式発表は確認できません。

そのため、本件は現段階では「総務省職員による不適切な情報公開対応が確定した事案」ではなく、「朝日新聞が内部チャットを確認したと報じ、総務省が事実関係を確認している段階」と整理する必要があります。

今後、総務省が調査結果を公表した場合には、投稿の真正性と文脈、開示延長の正式な理由、情報公開法上の手続きとの整合性、Teamsチャットの文書管理状況などが確認ポイントになります。

行政機関・企業の内部監査・コンプライアンス部門への示唆

今回の報道は、行政機関に限らず、企業がMicrosoft Teams、Slack、Google Chatなどの業務チャットを利用する際の記録管理とガバナンスにも関係します。

第一に、業務チャットを「消える会話」として扱わないことです。

重要な意思決定、法務判断、監督・調査対応、顧客対応などをチャット上で行う場合、その記録は後から監査・訴訟・情報公開・内部調査の対象になる可能性があります。保存期間と削除ルールを明確にする必要があります。

第二に、正式な意思決定と日常的な会話を切り分けます。

チャットで重要な判断を行った場合は、承認システム、議事録、稟議、チケットなど正式な記録へ反映し、後から判断経緯を再現できる状態にすることが重要です。

第三に、Litigation Holdや調査保全の仕組みを準備します。

問題が発覚した後に通常の保持期限でチャットが自動削除されると、調査に必要な証拠が失われる可能性があります。インシデントや訴訟、監査が始まった時点で対象アカウント・チャネルを保全できる運用が必要です。

第四に、チャットログへのアクセス権を限定します。

内部調査のために全社員のチャットへ無制限にアクセスできる状態も別のリスクになります。閲覧権限、監査ログ、承認フロー、目的外利用の禁止を含めた管理が必要です。

第五に、「法的に可能な対応」と「組織として適切な対応」を分けて考えます。

法令上、情報公開や回答期限の延長が認められる場合でも、意図的に説明を遅らせることを目的とした運用であれば、組織の信頼や説明責任を損なう可能性があります。コンプライアンス部門は、手続きが形式的に適法かだけでなく、その判断目的と記録内容まで確認する必要があります。

今回の問題は、内部チャットが単なるコミュニケーションツールではなく、行政や企業の意思決定を検証する重要な記録になり得ることを改めて示しています。

出典