Cloudflareは2026年8月11日、Black Hatセキュリティカンファレンスでの発表とあわせてBleepingComputerに共有した最新データの中で、2026年第2四半期に1Tbpsを超えるネットワーク層のDDoS攻撃を800件以上緩和したと明らかにしました。これは第1四半期の130件と比較して5倍以上の増加にあたります。同社は2026年上半期全体で2,320万件のネットワーク層DDoS攻撃と、29兆6,400億件の悪意あるHTTPリクエストを緩和したとしています。
この記事のサマリー
- Cloudflareは2026年第2四半期、1Tbpsを超えるネットワーク層DDoS攻撃を800件以上緩和しました。第1四半期の130件と比較すると、四半期比で519%増、5倍以上の急増です。
- 500Gbpsから1Tbpsの攻撃も四半期比143%増、100Gbpsから500Gbpsの攻撃も同105%増と、大規模な攻撃全般が増加しています。
- 2026年上半期全体では、ネットワーク層DDoS攻撃が2,320万件、悪意あるHTTPリクエストが29兆6,400億件に達しました。ネットワーク層の攻撃件数は第1四半期の1,004万件から第2四半期には1,317万件へと31.2%増加し、HTTPリクエスト量も12兆7,500億件から16兆8,900億件へと32.4%増加しています。
- 攻撃活動は4月にピークを迎え、単月で6兆4,600億件のHTTP DDoSリクエストと165ペタバイトのネットワーク層攻撃トラフィックが観測されました。その後は活動が低下しており、Cloudflareは国際的な摘発作戦「Operation PowerOFF」による、DDoS代行サービスの取り締まりが一因である可能性を指摘しています。
- 攻撃手法にも変化が見られます。DNSフラッド攻撃の割合は第1四半期の25.7%から第2四半期には40%に上昇し、DNSフラッドとDNS増幅攻撃を合わせると上半期のネットワーク層攻撃の34.3%を占めました。CLDAPフラッド攻撃は四半期比881.9%増と大幅に増加しています。
- 標的の業種別では、メディア・制作・出版業界が上半期のHTTP DDoSリクエストの14.2%と最大のシェアを占めました。政府機関を狙った攻撃も増加しており、Cloudflareは米国とイスラエルによるイランへの軍事作戦に伴うハクティビズムの高まりとの関連を指摘しています。
整理表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年8月11日(Black Hatカンファレンスでの発表、BleepingComputerへの提供) |
| 発表元 | Cloudflare |
| 1Tbps超の攻撃件数(Q1) | 130件 |
| 1Tbps超の攻撃件数(Q2) | 800件超(四半期比519%増、5倍以上) |
| 500Gbps〜1Tbpsの攻撃 | 四半期比143%増 |
| 100Gbps〜500Gbpsの攻撃 | 四半期比105%増 |
| 上半期のネットワーク層DDoS攻撃件数 | 2,320万件 |
| 上半期の悪意あるHTTPリクエスト数 | 29兆6,400億件 |
| ネットワーク層攻撃件数の推移 | Q1:1,004万件→Q2:1,317万件(31.2%増) |
| HTTPリクエスト量の推移 | Q1:12兆7,500億件→Q2:16兆8,900億件(32.4%増) |
| 活動のピーク | 2026年4月(月間6兆4,600億件のHTTP DDoSリクエスト、165PBのネットワーク層攻撃トラフィック) |
| ピーク後の傾向 | 4月以降活動が低下、Operation PowerOFFの影響の可能性 |
| DNSフラッドの割合 | Q1:25.7%→Q2:40% |
| CLDAPフラッドの増加率 | 四半期比881.9%増 |
| 最も標的にされた業種(HTTP DDoS、上半期) | メディア・制作・出版業界(14.2%) |
何が起きたか
Cloudflareが今回明らかにしたデータによると、同社は2026年第2四半期に、1Tbpsを超えるネットワーク層のDDoS攻撃を800件以上緩和しました。第1四半期に観測された130件と比較すると、5倍以上、四半期比で519%の増加にあたります。500Gbpsから1Tbpsの範囲の攻撃も143%増、100Gbpsから500Gbpsの範囲の攻撃も105%増と、大規模な攻撃全般が増加傾向にあります。
一方で、攻撃の大半は依然として小規模かつ短時間のものにとどまっています。Cloudflareによれば、ネットワーク層攻撃の96.62%は50Mbps未満であり、90.6%は10分以内に終了しています。ただし、3時間を超える長時間の攻撃の割合は、第1四半期の0.387%から第2四半期には0.828%へと、わずかながら増加しています。
上半期全体では、ネットワーク層DDoS攻撃が2,320万件、悪意あるHTTPリクエストが29兆6,400億件に達しました。ネットワーク層の攻撃件数は第1四半期の1,004万件から第2四半期の1,317万件へ31.2%増加し、HTTPリクエスト量も12兆7,500億件から16兆8,900億件へ32.4%増加しています。攻撃活動は4月にピークを迎え、単月で6兆4,600億件のHTTP DDoSリクエストと165ペタバイトのネットワーク層攻撃トラフィックが観測されました。
この活動水準は4月以降低下しており、Cloudflareはこれについて、DDoS代行サービス(ブーター・ストレッサー)を対象とした国際的な摘発作戦「Operation PowerOFF」の影響である可能性を、慎重な留保つきで指摘しています。同作戦では4人が逮捕され、53のドメインが停止し、こうしたサービスの利用者7万5,000人に対して警告が行われています。
なお、Cloudflareは直近、Aisuru/Kimwolfボットネットによる、ピーク時31.4Tbps・毎秒2億リクエストという記録的な規模のDDoS攻撃も緩和したことを公表しており、今回のデータはこうした極端な事例だけでなく、より広範な攻撃動向の増加を裏づける内容になっています。
攻撃手法の変化——DNS・CLDAPを狙った反射・増幅攻撃の増加
今回のデータでは、攻撃手法の構成にも変化が見られます。DNSフラッド攻撃の割合は、第1四半期の25.7%から第2四半期には40%へ上昇しました。DNSフラッドとDNS増幅攻撃を合わせると、上半期のネットワーク層攻撃全体の34.3%を占めています。あわせて、CLDAP(Connectionless LDAP)を悪用したフラッド攻撃が四半期比881.9%増と大幅に増加しており、UDPフラッド攻撃も第2四半期に14.06%で2位につけています。
反射・増幅型の攻撃手法が拡大している傾向は、比較的小規模な送信元リソースから、大規模な攻撃トラフィックを生成できてしまう、この種の攻撃手法の効率性の高さを反映していると考えられます。
標的の業種・地政学的要因との関連
標的の業種別では、メディア・制作・出版業界が、上半期に緩和されたHTTP DDoSリクエストのうち14.2%と、最大のシェアを占めました。あわせて、政府機関を狙った攻撃の増加も確認されており、Cloudflareはこれについて、米国とイスラエルによるイランへの軍事作戦をめぐるハクティビズムの高まりとの関連を指摘しています。地政学的な緊張の高まりが、政府機関や関連組織を標的にしたDDoS攻撃の増加要因になり得ることを示す事例といえます。
情報システム部門が確認すべき対策ポイント
- 自社のWebサイト・オンラインサービスが、CDN・DDoS対策サービスによる保護を受けているかを確認してください。大規模な攻撃だけでなく、96%超を占める小規模・短時間の攻撃への備えも重要です。
- DNSサーバーを自社で運用している場合、DNSフラッド・DNS増幅攻撃への耐性を確認してください。CLDAPやその他のUDPベースのプロトコルを外部に公開している場合は、増幅攻撃の踏み台として悪用されるリスクがないか、あわせて点検することをおすすめします。
- 自社が政府機関、メディア・出版関連事業者、あるいは地政学的に注目されやすい業種に属する場合、通常より高いDDoS攻撃リスクを前提とした監視体制・対応計画を検討してください。
- 攻撃活動が特定の月に集中する傾向があることを踏まえ、繁忙期や社会的注目度の高いイベントの前後には、監視体制を一時的に強化することも有効です。
- 自社のネットワーク機器・IoT機器が、ボットネットに悪用されていないか(不審な外向き通信、リソース使用率の異常等)を定期的に確認してください。
今後注目すべき点
Cloudflareは4月以降の活動低下について、Operation PowerOFFの影響を慎重に示唆するにとどめています。今後は以下の点が焦点になると考えられます。
- 第3四半期以降、1Tbps超の攻撃件数の増加傾向が継続するかどうか
- Operation PowerOFFなど法執行機関の摘発活動が、DDoS攻撃全体の傾向にどの程度の影響を与えているか
- DNS・CLDAPを狙った反射・増幅攻撃のさらなる拡大の有無
- 地政学的な緊張の高まりが、今後どの業種・地域への攻撃増加につながるか
出典
DDoS attacks over 1 Tbps surged fivefold in the second quarter——BleepingComputer
クラウドフレア、2,050万件のDDoS攻撃を防御 前年比358%増加-2025年第1四半期レポート——セキュリティ対策Lab








