富士通、英の郵便局 冤罪事件で英政府と3億ポンド(約570億円)の賠償金に関して協議開始

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富士通、英の郵便局 冤罪事件で英政府と3億ポンド(約570億円)の賠償金に関して協議開始

富士通はイギリスの郵便局の冤罪事件に関連して、イギリス政府に3億ポンド(約570億円)の中間賠償金を支払うよう求められています。2025年3月7日、来日していたレイノルズ・ビジネス貿易相は、富士通の時田隆仁社長らと都内で会談し、被害者への補償について協議を始めることで合意したということです。

冤罪事件の概要

1999年から2015年にかけて、富士通UKが開発しイギリスの郵便事業会社へ納品した 会計システムホライズン(Horizon)の不具合により、イギリス全土の数百人の郵便局支店の管理者が不正に告発され、窃盗や不正会計の罪で有罪判決を受けるという深刻な冤罪事件が発生しました。

この会計システムは、バグによってエラーを頻発させていましたがイギリス郵便会社はこの問題を認識しながらも、

「Horizonは堅牢であり、支局長による支局口座の不足や不一致はHorizonに起因する問題ではないと」と主張し、

誤った情報を根拠にして900人以上の管理者を窃盗や詐欺で訴追。

その結果、数百人が有罪判決を受け、人生を破壊されました。被害者の中には、破産や離婚、無実の罪を苦にして自殺に至ったケースも報告されています。

この問題は2009年に調査報道メディア「Computer Weekly」がスクープし、

2019年、ロンドン高等法院において「Horizonシステムには深刻な欠陥がある」との判決が下され、被害者の無罪が次々と確定。

イギリス史上最大級の冤罪事件として社会問題となりました。

現在のところ、賠償金の額は確定していないとされていますが一部報道では中間賠償金が3億ポンド(約570億円)程度になるのではないか?とされています。

富士通の対応と謝罪

1年以上前、富士通ヨーロッパCEOのポール・パターソン氏は、同社に「道義的責任がある」ことを認め、被害者への補償に関与する意向を示していました。

そして、2025年3月7日、日本で行われた会談において、イギリスのジョナサン・レイノルズ(Jonathan Reynolds)ビジネス大臣とパターソン氏が面会し、補償交渉の開始に合意しました。

参照

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