福井市の専門商社、実在する取締役を騙るBEC詐欺で3,000万円被害-同市内で7月2日にも同様の手口、警察が関連捜査

セキュリティニュース

投稿日時: 更新日時:

福井市の専門商社、実在する取締役を騙るBEC詐欺で3,000万円被害-同市内で7月2日にも同様の手口、警察が関連捜査

福井市内の専門商社が2026年7月14日、社内に実在する取締役になりすました人物からの指示により、現金3,000万円をだまし取られる特殊詐欺被害に遭いました。当サイトで既報の通り、同じ福井市内では7月2日にも就労支援事業所が同様の手口で500万円をだまし取られる被害が発生しており、警察は両事案の関連性も含めて捜査を進めています。

サマリー

  • 福井市内の専門商社が2026年7月14日、社内に実在する取締役を名乗る人物からの指示に従い、現金3,000万円を指定口座へ振り込み、だまし取られる被害に遭った
  • 手口は、同社の経理担当社員宛てに、社内に実在する取締役になりすました人物から「LINEのグループを新規に作ってください」というメールが届くことから始まった
  • 社員が指示通りLINEグループを作成し、取締役を名乗る人物とやり取りを始めたところ、「これから3,000万円の支払いがある。振り込みの手配を進めて」という業務指示を受け、指定された口座に3,000万円を振り込んだ
  • 翌日、さらに「1,700万円を振り込んでほしい」という追加の指示があったため、社員が不審に思い取締役本人に電話で直接確認したところ「身に覚えがない」との回答があり、詐欺と発覚した。この追加の1,700万円については実際の送金には至っていない
  • この社員は、これまでにも当該役員から業務上の指示がメールで届くことがあったといい、これが今回の詐欺への警戒を弱めた一因になった可能性がある
  • 警察によれば、同じ福井市内では2026年7月2日にも就労支援事業所が理事長になりすました人物からの指示で500万円をだまし取られる同様の手口の被害が発生しており、両事案の関連性も含めて捜査を進めている
  • 警察は、LINEグループを新たに作らせたうえでそこで金銭の話をするというのがニセ社長詐欺の常套手口であり、この2つの要素が組み合わさって出てきた場合は疑うよう注意を呼びかけている
項目 内容
発生日 2026年7月14日(被害発覚は7月15日)
被害企業 福井市内の専門商社
手口 実在する取締役になりすましたメール→LINEグループ作成の指示→送金指示
被害額 3,000万円(振込済み)、追加の1,700万円要求は未送金
発覚のきっかけ 追加送金要求を受け、取締役本人へ電話確認
同一市内の類似事案 2026年7月2日、就労支援事業所で500万円被害(当サイト既報)
警察の対応 両事案の関連性を含め捜査中
常套手口の特徴 LINEグループの新規作成+その場での金銭に関する指示

何が起きたか

警察の調べによれば、2026年7月14日、福井市内の専門商社の代表メールアドレス(経理担当社員宛て)に、社内に実在する取締役を名乗る人物から「LINEのグループを新規に作ってください」というメールが届きました。メールを確認した社員が指示通りLINEグループを作成し、取締役を名乗る人物を招待してやり取りを始めたところ、「これから3,000万円の支払いがある。振り込みの手続きを進めて」という業務指示が届きました。これを受けた社員は、指定された口座に現金3,000万円を振り込みました。

しかし翌日、同じ人物からさらに「1,700万円を振り込んでほしい」という追加の指示がLINE上で届きました。この社員は不審に思い、今度は取締役本人に電話で直接確認したところ、「身に覚えがない」との回答があり、一連のやり取りが詐欺であったことが発覚しました。この社員は、これまでにも当該役員から業務上の指示がメールで届くことがあったといい、こうした過去のやり取りの実績が、当初の指示に対する警戒心を弱めた一因になった可能性があります。

同一市内で相次ぐ同種の被害

当サイトで既報の通り、同じ福井市内では2026年7月2日にも、就労支援事業所が理事長になりすました人物からの指示に従い、現金500万円をだまし取られる特殊詐欺被害が発生していました。この事案でも、法人の代表メールアドレスに理事長をかたる人物から「後続の業務調整に備え、LINEの業務グループを新規に作ってください」というメールが届き、職員が指示通りLINEグループを作成してその人物を招待したところ、「支払いが必要な分がありますので、先に支払いを済ませてから行ってください」と、指定口座への送金を指示されるという、今回の専門商社への手口とほぼ同一の流れをたどっていました。

警察は、両事案が発生した時期・場所の近さを踏まえ、関連性も含めて捜査を進めているとしています。警察はあわせて、ニセ社長詐欺(ビジネスメール詐欺)の常套手口として、LINEのグループを新たに作らせたうえで、その中で金銭に関する話を進めるという点を挙げ、この2つの要素(LINEグループの新規作成の指示と、その場での送金指示)が組み合わさって出てきた場合には、強く疑うよう注意を呼びかけています。

情報システム部門・経理部門への示唆

今回の事案が示す重要な教訓は、たとえ普段からメールで業務指示を受けている実在の役員であっても、なりすましのリスクが常に存在するという点です。今回の被害企業では、過去に本物の役員からメールで業務指示を受けた実績があったことが、詐欺への警戒心を弱める要因になった可能性が指摘されています。しかし、最終的に詐欺が発覚したのは、2回目の追加送金要求を受けた社員が、LINE上でのやり取りだけで判断せず、役員本人に電話で直接確認したことによるものでした。この「電話での本人確認」という基本的な対応が、被害の拡大(追加の1,700万円)を防いだ決め手になっています。

自組織においても、役員・取締役を名乗る人物からLINEグループの新規作成を求められた場合、そして作成したグループ内で送金指示を受けた場合には、この2つの組み合わせ自体を強い警戒シグナルとして扱うべきです。金額の大小や、過去にその人物と業務上のやり取りをした実績の有無にかかわらず、送金指示を受けた際には必ず、メール・LINE以外の経路(電話・対面)で本人確認を行うルールを、経理・財務担当者だけでなく全社的に徹底してください。特に、1回目の送金が成立してしまうと、詐欺師側がその成功体験を足がかりにさらなる追加送金を要求してくるケースが多いため、一度送金してしまった後であっても、次の指示に対しては同様に厳格な確認プロセスを適用することが重要です。

出典