
物流大手の株式会社ランテックは2025年4月23日、公式にランサムウェアによるサイバー攻撃を受けたことを発表し、全国規模で発生している集配の混乱について謝罪しました。ゴールデンウィーク(GW)の繁忙期直前というタイミングでのサイバー攻撃により、同社の主力サービス「フレッシュ便」を中心に大きな影響が出ています。
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発生の経緯と概要:VPN機器からの不正侵入が発端
システム障害は4月21日未明に発生。当初は単なる機器トラブルが疑われていましたが、専門のセキュリティ会社による調査で、外部からのランサムウェア攻撃であることが確認されました。攻撃者は、同社のVPN機器に対して不正ログインを行い、複数のサーバーに侵入。その後、システムファイルを暗号化し使用不能にするという典型的な手口が確認されています。
被害の範囲:主力物流サービスの中核システムが停止
ランテックの発表によると、被害は広範囲に及んでおり、
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「フレッシュ便」検品システム
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Web配送状況照会システム
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その他サーバーを含む計20数台
にてシステムファイルとデータファイルの暗号化が確認されています。
これにより、商品の検品作業はすべて紙ベースに切り替えられ、現場は深刻な混乱に直面。Web上での配送状況確認も不可能となっており、現在はドライバーへの電話確認で対応している状況です。
顧客情報の漏えいはなし、二次被害も未確認
現時点で、顧客情報の漏えいや外部流出の事実は確認されていません。また、感染疑いのあるサーバーはすでに隔離措置が取られ、ネットワークから遮断されています。福岡県警のサイバー犯罪対策課にも4月22日付で被害を申告済みであり、今後は外部専門家と連携し、さらなる調査と対策強化に取り組むとしています。
復旧までの見通し:フレッシュ便の主力システムは「約3週間」
ランテックは、フレッシュ便検品システムおよびWeb配送状況照会システムの復旧には約3週間を要する見通しを示しています。他のサーバーについては、被害状況に応じて復旧スケジュールが検討されている段階です。
なお、復旧作業にあたっては社内に緊急対策本部を設置し、全社的な体制で対応を進行中としています。