ガンホー元システム本部長を背任容疑で逮捕、警視庁-架空発注で4,000万円だまし取る、被害総額は3億4,600万円

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ガンホー元システム本部長を背任容疑で逮捕、警視庁-架空発注で4,000万円だまし取る、被害総額は3億4,600万円

警視庁丸の内署は2026年7月8日、ゲーム大手ガンホー・オンライン・エンターテイメントの元システム本部長である菊池貴則容疑者(48、東京都葛飾区)を、背任の疑いで逮捕しました。ガンホーは同日、公式サイトを通じて元従業員の逮捕についてコメントを発表し謝罪しています。

当サイトでは以前、ガンホーが幹部社員による約3億4,600万円規模の不正行為が判明したと公表した件を取り上げましたが、今回の逮捕は、その不正行為の一部について刑事責任が問われる段階に進んだことを意味します。

サマリー

  • 警視庁丸の内署は2026年7月8日、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの元システム本部長・菊池貴則容疑者(48)を背任の疑いで逮捕した
  • 逮捕容疑は2022年1月から12月にかけて、インターネット上の業務委託(クラウドソーシング)サイトに個人事業主を装ったアカウントを偽名で開設し、製品の不具合確認などとする架空の業務をガンホーから自身へ発注させ、12回にわたり委託費名目で計約4,000万円を自分名義の口座へ振り込ませ、会社に損害を与えたというもの
  • 菊池容疑者は容疑を認めている
  • 警視庁によれば、菊池容疑者は2017年ごろから2025年にかけて同様の手口で不正に金銭を得ていたとみられ、余罪があるとみて捜査を継続している
  • ガンホーは2025年8月14日、外部の弁護士・会計士によるフォレンジック調査の結果、この元従業員が架空発注により約2億4,600万円を着服し、さらに業務実態のない取引先へ約1億円を不正に支払わせていたことを公表しており、被害総額は合計約3億4,600万円にのぼる
  • 同社は2025年7月24日付で当該元従業員を懲戒解雇していたが、刑事告訴が2025年10月3日付で受理されていたことは、捜査への影響を考慮しこれまで公表を控えていたと説明している
項目 内容
逮捕日 2026年7月8日(警視庁丸の内署)
被疑者 菊池貴則容疑者(48)、ガンホー元システム本部長
容疑 背任
逮捕容疑の期間・被害額 2022年1〜12月、12回にわたり計約4,000万円
手口 クラウドソーシングサイトで個人事業主を偽装し、自身へ架空発注、委託費名目で送金させる
容疑者の対応 容疑を認めている
不正の疑われる期間(社内調査) 2017年ごろ〜2025年
内部調査で判明した被害総額 約3億4,600万円(自己発注による着服約2億4,600万円+取引先への不正支払い約1億円)
懲戒解雇日 2025年7月24日
刑事告訴受理日 2025年10月3日(これまで非公表)

何が起きたか

警視庁丸の内署によると、菊池貴則容疑者はガンホー・オンライン・エンターテイメントのシステム本部長を務めていた当時、インターネット上で仕事を発注・受注できるクラウドソーシングサイトに、個人事業主を装った偽名のアカウントを開設していました。そのうえで、ガンホー側から製品の不具合を確認するなどとする架空の業務を、自身が受注者となる形で発注させ、部下に稟議書を作成させていたとみられています。逮捕容疑となっているのは2022年1月から12月にかけての行為で、この期間だけで12回にわたり、委託費名目で計約4,000万円を自分名義の口座へ振り込ませ、会社に損害を与えたというものです。菊池容疑者は容疑を認めています。

 

同社は外部の法律事務所および会計事務所によるフォレンジックチームの支援のもと初動調査を行い、菊池元本部長が仕事依頼サービスサイトを介した架空発注により約2億4,600万円を着服していたことに加え、業務実態のない取引先に対しても不正に約1億円を支払わせていた事実を確認しました。被害総額は合計で約3億4,600万円にのぼり、調査の結果、この不正は組織的な関与のない単独犯行であり、発覚を免れるための隠蔽工作も行われていたとされています。同社はこれを受けて2025年7月24日付で菊池元本部長を懲戒解雇していました。

ガンホーの公式コメントと、これまで非公表だった経緯

ガンホーは今回の逮捕を受け、公式サイトで元従業員の逮捕についてのお知らせを公表し、謝罪しています。同社の説明によれば、初動調査で不正の事実関係が判明した直後から捜査機関との間で告訴受理に向けた協議を進めており、2025年10月3日付で告訴が受理されていたとのことです。しかし、捜査機関による捜査活動への支障を考慮し、これまで公表を差し控えていたと説明しています。同社は株主・投資家、取引先をはじめとする関係者に対して改めて深く謝罪したうえで、引き続き捜査機関の捜査活動に全面的に協力する方針を示しています。

原因

ガンホーが2025年8月の公表時点で示していた原因分析によれば、この不正が長期間発覚しなかった背景には、いくつかの社内体制上の問題があったとされています。具体的には、幹部職員に過度な裁量と権限が集中していたこと、発注に関する稟議プロセスにおける適正性の確認が発注部門自身に委ねられていたこと、機密性の保持や業務効率化を名目に業務実態が他部門から把握しにくい状況が生まれていたこと、そして内部監査が不正リスクに応じた監視機能を十分に果たしていなかったことが挙げられています。今回の逮捕は、こうした権限とチェック機能のバランスの崩れが、実際に刑事事件にまで発展した典型的な事例だといえます。

情報システム部門への示唆

今回の事案は、外部からのサイバー攻撃ではなく、社内の権限を持つ人物による内部不正が刑事事件に発展した事例ですが、業務委託や外部発注のプロセスにおけるチェック体制という点では、情報システム部門にとっても無関係ではありません。

特に、システム部門のように専門性が高く、他部門から業務の実態を把握しにくい領域では、発注者と承認者、あるいは発注者と実際の業務内容の検証者を分離する仕組みが機能しているかを、改めて点検する価値があります。当サイトで以前紹介したガンホーの内部統制の不備に関する分析でも指摘した通り、外部の仕事依頼サイトやクラウドソーシングサービスを介した業務委託は、発注先が実在する第三者かどうか、実際に成果物が納品されているかどうかを機械的に確認しにくいという構造的な弱点を抱えています。自組織で同様の外部委託の仕組みを利用している場合は、発注担当者自身が受注者になり得る取引がないか、稟議の承認プロセスが発注部門の自己申告だけに依存していないかを、この機会に確認することをお勧めします。

出典