鳥取県伯耆町は2026年8月27日、町立植田正治写真美術館の前館長が入館料約2,600万円を横領していたとして、同職員を懲戒免職にしたと公表しました。
町によると、横領は2019年度から2025年度末までの7年間にわたって行われ、現金で受け取った写真美術館の入館料を町の会計へ入金していませんでした。さらに、不正を隠蔽するため、伯耆町の一般会計決算資料と一般財団法人植田正治写真美術財団の理事会資料を改ざんしていました。
管理監督責任を問い、前教育次長だった課長と現教育次長の2人も減給処分となりました。伯耆町は二重・三重のチェック体制を構築するとともに、横領された公金の全額回収に向け、法的措置も含めて対応するとしています。
植田正治写真美術館の横領事案のサマリー
- 確認済み:伯耆町は2026年8月27日、植田正治写真美術館の前館長を公金横領で懲戒免職にしました。
- 確認済み:横領額は約2,600万円と把握されています。
- 確認済み:不正は2019年度から2025年度末までの7年間にわたりました。
- 確認済み:現金で受け取った入館料を町の会計へ入金しない手口でした。
- 確認済み:不正を隠蔽するため、町の一般会計決算資料と植田正治写真美術財団の理事会資料を改ざんしていました。
- 確認済み:前教育次長だった課長と現教育次長の2人を、管理監督責任として減給10分の1、3か月の懲戒処分としました。
- 確認済み:町長、副町長、教育長についても給与の減額措置を町議会へ提案する方針です。
- 確認済み:町は公金の全額回収に向け、法的措置を含む対応を行う方針です。
- 報道情報:TSKさんいん中央テレビによると、現在の館長が決算資料を作成した際、入館者数や収入の集計値が実態より少ないことに気づき、不正が発覚しました。
- 報道情報:同局は、前館長が横領金を生活費や住宅などのローン返済に充てたと説明しているほか、町が刑事告訴に向けて準備していると報じています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年8月27日 |
| 対象組織 | 伯耆町立植田正治写真美術館 |
| 行為者 | 前館長だった伯耆町職員 |
| 非違行為 | 公金横領 |
| 横領額 | 約2,600万円 |
| 期間 | 2019年度~2025年度末 |
| 手口 | 現金で受け取った入館料を町の会計へ入金しない |
| 隠蔽行為 | 町の一般会計決算資料、植田正治写真美術財団の理事会資料を改ざん |
| 本人の処分 | 懲戒免職 |
| 管理監督者の処分 | 2人を減給10分の1、3か月 |
| 公金回収 | 全額回収に向け、法的措置を含め対応 |
| 刑事対応 | 公式発表では法的措置を明記。TSKさんいん中央テレビは刑事告訴に向け準備と報道 |
7年間にわたり入館料を町会計へ入金せず横領
伯耆町の公式発表によると、前館長は2019年度から館長として植田正治写真美術館に在籍し、2019年度から2025年度末までの期間、現金で受け取った入館料を町の会計へ入金せず横領していました。
町が把握している横領額は約2,600万円です。伯耆町は非違行為の種類を「公金横領」と明記し、8月27日付で前館長を懲戒免職としました。
内部不正の記事では、企業や捜査機関が使用していない罪名を独自に付けることは適切ではありません。本件について伯耆町の公式発表が確認しているのは「公金横領」であり、本稿もこの表現を使用します。
一般会計決算資料と財団理事会資料を改ざん
本件では、現金を入金しなかっただけではなく、不正を長期間隠すための資料改ざんも行われていました。
伯耆町によると、前館長は横領の事実を隠蔽するため、町の一般会計決算資料と一般財団法人植田正治写真美術財団の理事会資料を改ざんしました。
町は、この行為が地方公務員法上の法令等に従う義務や信用失墜行為の禁止などに違反すると判断し、懲戒免職としています。
現金の受け取りから会計への入金、集計、決算資料の作成までを同じ担当者または限られた範囲で完結できる状態では、実際の現金収入と帳簿上の数字の両方を操作され、不正が長期化するおそれがあります。
現館長が決算資料の数値の不一致を確認したと報道
伯耆町の公式発表では、横領がどのように発覚したかまでは説明されていません。
TSKさんいん中央テレビによると、今年度着任した現在の館長が決算資料を作成した際、入館者数や収入の集計データが実際より少なく記載されていることに気づき、前館長による数値改ざんが発覚したとしています。
同局は、前館長が横領の事実を認め、横領した金銭を生活費や住宅などのローン返済に充てたと説明しているとも報じています。
これらは伯耆町の8月27日付公式発表には記載されていない報道情報であり、公式確認事項とは分けて扱う必要があります。
管理監督者2人も減給処分
伯耆町は前館長本人だけでなく、当時の管理監督者にも処分を行いました。
前教育次長だった53歳の課長と、51歳の教育次長を、それぞれ減給10分の1、3か月の懲戒処分としています。町は、2人が不正を行った職員を管理監督すべき立場にあったことを処分理由としています。
さらに、職員の不祥事に対する管理監督責任と町民への謝罪、社会的信用の回復を目的として、町長、副町長、教育長の給与を減額する措置を町議会へ提案する方針です。
約7年間にわたり不正が続いた事案であることから、個人の不正行為だけでなく、長期間発見できなかった管理・監督の仕組みも再発防止上の焦点になります。
全額回収へ法的措置も検討、報道では刑事告訴の準備
小澤敦彦町長は、今回の事案を受けて、業務における厳格な二重・三重のチェック体制を構築し、全庁的な管理体制の総点検と、職員のコンプライアンス意識の徹底に取り組むとしています。
失われた公金については、全額回収に向けて法的措置を含むあらゆる手段を講じる方針を示しました。
一方、伯耆町の公式発表では具体的な刑事手続きについては記載されていません。TSKさんいん中央テレビは、町が刑事告訴に向けた準備を進めていると報じています。
公式発表と報道の内容を分けると、8月27日時点で伯耆町が公式に確認しているのは「全額回収に向け、法的措置を含めて厳正に対処する」という方針です。
内部監査・コンプライアンス部門への示唆
本件で最も重要なのは、約7年間にわたって現金収入の横領と資料改ざんが続いた点です。内部不正対策では、個人の倫理や注意力だけに依存せず、一人では不正を完結できない業務設計にする必要があります。
入館料のような現金収入では、現金を受領する担当、入金する担当、帳簿へ記録する担当、決算資料を確認する担当を可能な範囲で分離します。小規模な組織で完全な職務分掌が難しい場合でも、管理者や別部署による定期確認を組み合わせることが重要です。
また、入館者数、発券記録、現金・キャッシュレス決済額、金融機関への入金額、会計システムの売上記録を別々のデータとして照合すれば、どこか一つの資料を改ざんしても不整合を検出しやすくなります。
決算資料や理事会資料についても、作成者自身だけで確定できる運用を避け、元データとの照合や承認履歴を残す必要があります。電子化する場合は、変更履歴や監査ログを保存し、後から誰がどの数値を変更したかを確認できる状態にすることが重要です。
さらに、担当者の異動は内部統制上の確認機会にもなります。本件では報道によると新しい館長が数値の不一致に気づいたとされています。引き継ぎ時に現金、帳簿、入金、契約、在庫などを独立して照合する手続きを設けることで、長期化した不正を発見できる可能性があります。
セキュリティ対策Labでは、20年以上にわたる横領と監査体制の機能不全が問題となった別事案も「福島県郡山 ビッグアイ 管理組合で約3,755万円横領、20年以上続いた不正と監査体制の機能不全」で整理しています。








