ジャガー・ランドローバー(JLR)は2025年7–9月期(Q2 FY26)の決算で、
9月のサイバー攻撃に関連する四半期の特別費用が1億9,600万ポンド(約392億円)に達したと公表しました。
攻撃発生は9月2日で、同社は一時的に世界の生産とITシステムを停止。10月8日から段階的に生産を再開し、現在は通常水準に戻っています。
事案の経緯と復旧
JLRは9月2日にサイバーインシデントの発生を公表し、被害拡大の防止を優先して全世界のシステムを一時停止しました。主要工場の生産も停止されましたが、安全性確認と段階的な検証を経て10月8日に製造を再開し、その後は計画どおり復旧が進み現在は通常操業に戻っています。
犯行についてはセールスフォースにもサイバー攻撃を行ったScattered Lapsus$ Huntersが声明を出しており、JLRの後続説明では情報窃取が伴った攻撃だったことが示されています。
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財務・損益インパクト(2025年Q2)
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売上高:49億ポンド(約9,800億円、前年同期比▲24%)
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税引前・特別項目除く損失:4億8,500万ポンド(約970億円)
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特別項目:2億3,800万ポンド(約476億円)
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内訳:サイバー関連コスト1億9,600万ポンド(約392億円)、希望退職関連4,200万ポンド(約84億円)
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EBITマージン:▲8.6%(前年同期5.1%)
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フリーキャッシュフロー:▲7億9,100万ポンド(約1,582億円)
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当期純損失:5億5,900万ポンド(約1,118億円)
資金繰り・支援策
同社はバランスシート防衛のための措置を迅速に講じ、35億ポンド(約7,000億円)規模の追加流動性バックストップを確保しました。さらに20億ポンド(約4,000億円)のブリッジファシリティを9月下旬に締結し、10月には英輸出金融(UKEF)保証付きの15億ポンド(約3,000億円)の商業ローンも確保しています。生産再開局面では、対象サプライヤーに即時資金を提供できる5億ポンド(約1,000億円)のサプライヤーファイナンスを導入しました。9月末時点の現金残高は30億ポンド(約6,000億円)、総流動性は66億ポンド(約1兆3,200億円)で、当面の資金需要に耐えうる態勢を整えています。
マクロへの波及
イングランド銀行(BoE)は11月の金融政策報告で、2025年Q3の英国GDPが想定より弱含んだ要因の一つとしてJLRのサイバー攻撃に伴う生産停止を挙げました。JLRは現在、ホールセール、部品物流、サプライヤー金融の各機能を完全復旧させ、オペレーションは安定化していると説明しています。








