創立122年の鎌倉女学院中学校高等学校を運営する学校法人鎌倉女学院(神奈川県鎌倉市)は2026年7月17日、元理事長の女性が2016年から2022年にかけて、法人資金約6,686万円を横領していたと発表しました。法人は今年6月の緊急理事会で元理事長を解任しており、今後刑事・民事双方の責任を追及する方針です。
サマリー
- 学校法人鎌倉女学院は2026年7月17日、元理事長の杉山美智子氏が2016年6月から2022年にかけて、法人資金約6,686万円を横領していたとウェブサイトで公表した
- 杉山氏は1971年に学校職員となり、法人事務局長・常務理事等を経て2017年に理事長に就任。理事長就任後も長年務めてきた事務局長職を兼任していた
- 手口は、経理担当者に対し法人の預金口座へ入金するかのように偽って小切手を発行させ、その小切手を換金したうえで自身の個人口座へ入金するというもの。6年間でこの行為を10回繰り返した
- 横領した金の大半は私的に使われたと法人は判断している
- 発覚のきっかけは内部調査で、小切手の入金先とされていた法人口座がそもそも存在しないことが判明したこと。追及したところ杉山氏は不正を認め、個人口座の取引履歴の開示にも応じたことで横領の事実が確認された
- 法人は今年6月の緊急理事会で、杉山氏の理事長職・事務局長職を解いた
- 法人は弁護士・公認会計士による第三者委員会を設置し、2026年9月に報告書をまとめる予定。杉山氏に対しては刑事・民事双方の責任を追及する方針
- 法人は「法人トップによる不祥事は、卒業生や在校生、保護者の皆さまを裏切ったもので、深くおわび申し上げます」とコメントしており、生徒の教育活動には支障がないと説明している
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年7月17日 |
| 対象法人 | 学校法人鎌倉女学院(神奈川県鎌倉市) |
| 元理事長 | 杉山美智子氏(2017年理事長就任、事務局長兼任) |
| 横領期間 | 2016年6月〜2022年(約6年間) |
| 横領回数 | 10回 |
| 横領総額 | 約6,686万円 |
| 手口 | 存在しない法人口座への入金を装い小切手を発行させ換金、個人口座へ入金 |
| 発覚のきっかけ | 内部調査で入金先とされた法人口座が実在しないことが判明 |
| 解任日 | 2026年6月(緊急理事会) |
| 第三者委員会の報告予定 | 2026年9月 |
| 今後の対応 | 刑事・民事双方の責任を追及 |
何が起きたか
学校法人鎌倉女学院の発表によれば、元理事長の杉山美智子氏は1971年に学校職員となり、法人事務局長・常務理事等の要職を歴任したのち、2017年に理事長へ就任しました。理事長就任後も、長年務めてきた事務局長職を兼任し続けていたことが、今回の不正の背景として指摘されています。
杉山氏の手口は、経理担当者に対し、あたかも法人の預金口座へ入金するかのように偽って小切手を発行させ、その小切手を換金したうえで自身の個人口座へ入金するというものでした。この行為を2016年6月から6年間にわたり10回繰り返し、総額約6,686万円を横領したとされています。法人は、横領された資金の大半が私的に使われたと判断しています。
発覚したきっかけは、内部調査により、小切手の入金先として記録されていた法人の預金口座が、そもそも存在しないことが判明したことでした。法人がこの点を追及したところ、杉山氏は不正を認め、自身の個人口座の取引履歴の開示にも応じたため、横領の事実が確認されました。法人は今年6月の緊急理事会で、杉山氏の理事長職および事務局長職を解いています。
今後の対応
法人は現在、弁護士・公認会計士による第三者委員会を立ち上げて調査を進めており、2026年9月に報告書をまとめる予定です。杉山氏に対しては、刑事・民事双方の責任を追及する方針を示しています。法人は「法人トップによる不祥事は、卒業生や在校生、保護者の皆さまを裏切ったもので、深くおわび申し上げます」とコメントを発表しており、あわせて生徒の教育活動には支障がないと説明しています。
情報システム部門・管理部門への示唆
今回の事案は、経理担当者に虚偽の入金先を伝えて小切手を発行させるという、システム上の不正アクセスを伴わない、極めてアナログな手口による横領です。しかし、6年間・10回という長期にわたり発覚しなかった背景には、横領を行った本人が理事長という組織のトップでありながら、同時に事務局長という実務の要職も兼任していたという、権限の集中構造があったとみられます。組織のトップが実務の承認プロセスにも直接関与できる立場を兼務する場合、経理担当者による独立したチェック機能が事実上働きにくくなるリスクがあります。
今回の発覚のきっかけが、小切手の入金先とされた法人口座が実在しないという、比較的初歩的な確認によるものだった点も注目に値します。裏を返せば、入金先の口座情報を定期的に照合・検証する体制が、これまで十分に機能していなかった可能性を示唆しています。組織のトップであっても例外なく、資金移動を伴う取引について複数人でのダブルチェックや、入金先口座の定期的な照合を行う内部統制の仕組みを構築しておくことが、こうした長期にわたる不正の早期発見につながります。特に学校法人・公益法人のように、理事長が長期間同一の役職に留まりやすい組織形態では、権限の集中を防ぐガバナンス設計と、外部監査による定期的な資金移動の検証が、重要な予防策になります。







