紀陽銀行、「紀陽EBセンター」を騙る電話に注意喚起 表示番号が正規でも発信確認できないケース

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紀陽銀行、「紀陽EBセンター」を騙る電話に注意喚起 表示番号が正規でも発信確認できないケース

紀陽銀行は2026年9月1日、「紀陽EBセンター」を騙る電話などに関する注意喚起を公表しました。

同行によると、一部の顧客から、紀陽EBセンターの電話番号「0120-170-580」から着信があったとの連絡が寄せられています。一方、紀陽銀行側では実際の発信を確認できていないケースがあるとしています。

同行は、第三者によるなりすましの可能性があるとして、不審に感じた場合はその場で電話を切り、取引店やお客様相談室へ連絡するよう呼びかけています。

今回の発表では、実際に不正送金被害が発生したことや、発信者番号が技術的に偽装されたことまでは公表されていません。確認されているのは、正規の紀陽EBセンターの番号から着信したように見える電話について、同行側で発信記録を確認できないケースが報告されていることです。

背景には、銀行関係者を装った電話を起点に、企業をフィッシングサイトへ誘導し、法人向けインターネットバンキングの認証情報を盗んで不正送金する「ボイスフィッシング」の拡大があります。紀陽銀行は2026年7月にも同様の手口について再度注意を呼びかけていました。

紀陽銀行の注意喚起のサマリー

  • 紀陽銀行は2026年9月1日、「紀陽EBセンター」を騙る電話等への注意喚起を公表しました。
  • 一部顧客から、紀陽EBセンターの番号「0120-170-580」から着信があったとの報告が寄せられています。
  • 紀陽銀行では、その電話について発信を確認できていないケースがあります。
  • 同行は第三者によるなりすましの可能性があるとしています。
  • 発信者番号の技術的な偽装が確認された、とまでは公表していません。
  • 今回のリリースでは、この電話を起点とした不正送金被害の発生は公表されていません。
  • 紀陽銀行は、電話やメールでインターネットバンキングのID・パスワード等を問い合わせることはないと明記しています。
  • 「インターネットバンキングの契約情報を更新する」などと案内する電話や自動音声にも応じないよう求めています。
  • 不審な場合は電話を切り、着信履歴から折り返さず、取引店や同行の相談窓口へ確認することが重要です。
  • 警察庁や全国銀行協会も、銀行関係者を騙る電話から法人向けインターネットバンキングの認証情報を盗むボイスフィッシングを継続して注意喚起しています。
  • 警察庁は、法人口座を狙うボイスフィッシングで1社あたり数億円規模の被害も確認しているとしています。
  • 金融庁によると、2024年のインターネットバンキング不正送金は4,369件、被害総額約86億9,000万円でした。
項目 内容
公表日 2026年9月1日
公表組織 株式会社紀陽銀行
注意対象 紀陽EBセンターを騙る電話等
表示されたと報告された番号 0120-170-580
銀行側の確認 発信を確認できていないケースあり
なりすまし 第三者による可能性を銀行が注意喚起
発信者番号偽装 確認済みとは公表されていません
不正送金被害 今回のリリースでは確認できませんでした
主な狙いとして注意される情報 インターネットバンキングのID、パスワード等
銀行からの案内 電話・メールでIDやパスワード等を問い合わせることはない
不審時の対応 電話を切り、取引店またはお客様相談室へ連絡

正規の紀陽EBセンター番号からの着信に見えるケース

紀陽銀行が今回注意喚起したのは、「紀陽EBセンター」の正規の電話番号から着信したように見える電話です。

一部の顧客から、紀陽EBセンターの番号「0120-170-580」から着信があったとの連絡が寄せられた一方、同行では実際にその電話を発信したことを確認できないケースがあるとしています。

この点は、一般的な「知らない番号からの不審電話」とは異なります。

受信画面に銀行の正規番号が表示されていたとしても、その表示だけで銀行からの電話だと判断できないケースがあることを示しています。

ただし、紀陽銀行は今回の発表で、発信者番号が技術的に偽装されたことを確認したとは述べていません。

そのため、「発信者番号偽装が確認された」と断定するのではなく、「銀行側で発信を確認できない着信があり、第三者によるなりすましの可能性がある」と整理するのが正確です。

銀行はIDやパスワードを電話・メールで確認しない

紀陽銀行は、同行からインターネットバンキングのIDやパスワードなどを電話やメールで問い合わせることはないとしています。

電話やメールから誘導されたWebサイトで、

  • ログインID
  • パスワード
  • 契約者情報
  • 認証に必要な情報

などを求められても入力しないよう呼びかけています。

また、銀行のサポートを騙る人物や自動音声から「インターネットバンキングの契約情報を更新する」といった連絡があった場合も、対応せず電話を切るよう案内しています。

不審な電話を受けた場合や、契約者情報などを第三者へ伝えてしまった場合は、直ちに取引店または紀陽銀行のお客様相談室へ連絡する必要があります。

背景に法人口座を狙うボイスフィッシング

紀陽銀行は今回のリリースで、全国的に「ボイスフィッシング」の被害が拡大していることを背景として挙げています。

典型的な手口では、攻撃者が銀行関係者を装って企業へ電話をかけ、インターネットバンキングの手続きや契約更新などを口実にメールアドレスを聞き出します。

その後、フィッシングメールを送り、偽の銀行サイトへ誘導して認証情報を入力させ、取得した情報を使って法人口座から不正送金します。

全国銀行協会も、銀行関係者を装った電話からフィッシングサイトへ誘導する手口に加え、「PC環境の更新」などを理由に遠隔操作ソフトを導入させ、偽画面を表示している間に不正送金する手口を注意喚起しています。

つまり、電話そのものが最終的な攻撃ではなく、メール、SMS、偽サイト、遠隔操作などを組み合わせる起点として使われる点が特徴です。

警察庁は1社数億円規模の被害も確認

警察庁は、2024年秋ごろから法人口座を狙うボイスフィッシングの被害が継続しているとして注意を呼びかけています。

警察庁の「サイバー警察局便り 2025 Vol.1」では、全国的に被害が拡大し、1社あたり数億円規模の被害も確認されているとしています。

その後、警察庁が公表した2025年のサイバー情勢では、ボイスフィッシングによる法人口座の不正送金被害が2024年秋から2025年4月にかけて急増し、いったん落ち着いた後、2025年11月に再び増加したと整理されています。

2025年11月には、被害法人1社で4億円を超える被害も確認されています。

紀陽銀行も2025年11月、法人向けインターネットバンキング「紀陽インターネットFB」の利用者に対するボイスフィッシングを確認したとして、当日振込を一時停止する措置を取っていました。

今回の9月1日の注意喚起は、こうした攻撃が過去のものではなく、手口を変えながら継続している状況で出されたものです。

紀陽銀行は7月にもボイスフィッシングを再注意喚起

紀陽銀行は2026年7月16日にも、「ボイスフィッシングによる不正送金に関する注意喚起」を再度掲載しています。

同行の金融犯罪対策ページでは、ボイスフィッシングの一例として、

  • 銀行担当者を騙る電話を企業へかける
  • メールアドレスなどを聞き出す
  • フィッシングメールを送る
  • 偽サイトへ誘導する
  • インターネットバンキングのアカウント情報等を入力させる
  • 電子証明書を失効させるよう誘導する
  • 取得した情報を使い口座から不正送金する

という流れを示しています。

今回の「紀陽EBセンターを騙る電話」も、こうした全国的な攻撃動向を踏まえて警戒すべき事象です。

ただし、今回報告された電話が実際に上記の不正送金攻撃へつながったとの発表はありません。

2024年のネットバンキング不正送金は4,369件、約86億9,000万円

金融庁によると、2024年に発生したインターネットバンキングに係る不正送金事犯は4,369件、被害総額は約86億9,000万円でした。

金融庁は、2024年秋ごろから銀行関係者を騙って企業へ電話をかけ、フィッシングメールを送る「ボイスフィッシング」による法人口座の不正送金被害が急増したとして、金融機関へ顧客への注意喚起を徹底するよう求めています。

また、2026年6月に公表した不正送金被害の集計でも、インターネットバンキングによる不正送金が引き続き増加しているとしています。

多くの事案では、メールやSMS、メッセージツールなどから偽のログインサイトへ誘導し、IDやパスワードなどを盗む手口が利用されています。

「表示された電話番号」だけで本人確認しない

今回の注意喚起で、企業側が特に見直したいのは、電話の真正性確認です。

電話の画面に登録済みの銀行番号や、Webサイトに掲載された番号が表示されている場合、従業員は正規の電話だと信じやすくなります。

しかし今回、紀陽銀行は正規の紀陽EBセンター番号からの着信として顧客から報告を受けながら、同行側では発信を確認できないケースがあるとしています。

企業側では、

「画面に銀行名が表示された」
「公式サイトと同じ電話番号だった」
「担当者が自社名や口座情報の一部を知っていた」

といった要素だけで本人確認を完了させない運用が必要です。

不審な連絡を受けた場合は、その電話をいったん終了し、銀行の公式Webサイトや契約書、既知の連絡先から取得した番号を使って、自社側から改めて確認する方法が有効です。

法人向けインターネットバンキングでは振込権限も見直す

紀陽銀行は、法人向けインターネットバンキング「紀陽インターネットFB」のセキュリティ対策として、電子証明書の利用、ログイン履歴の確認、振込受付メールの確認などを案内しています。

また、不特定の相手へ振り込める「都度指定振込」については、契約・利用を必要最低限にとどめ、振込限度額を通常の取引額まで引き下げることも推奨しています。

ボイスフィッシング対策では、「認証情報を盗まれない」ことだけに依存しない設計が重要です。

仮に認証情報の一部が攻撃者へ渡った場合でも、

  • 振込限度額
  • 承認者の分離
  • 電子証明書
  • 取引通知
  • 利用時間
  • 振込先制御

などで被害拡大を防げるようにしておく必要があります。

情報システム・経理部門への示唆

法人口座を狙うボイスフィッシングは、情報システム部門だけで防ぐことはできません。

銀行からの電話を受ける可能性がある経理、総務、財務、経営企画なども含め、共通の確認ルールを設ける必要があります。

特に、

  • 銀行から電話でIDやパスワードを聞かれることはない
  • 契約更新を理由に送られたURLをその場で開かない
  • 電話相手の指示で電子証明書を失効させない
  • 遠隔操作ソフトをインストールしない
  • 正規番号が表示されても一度切って既知の番号へかけ直す
  • 不審な操作をした場合は即座に銀行へ連絡する

というルールは、経理担当者だけでなく、代表電話を受ける従業員にも共有しておく必要があります。

また、銀行口座からの不正送金は、認証情報を盗まれた時点ではなく、送金が実行されて初めて大きな損失になります。

そのため、インターネットバンキングの利用履歴や振込通知を日常的に確認し、通常と異なるログインや振込を早期に検知できる体制も重要です。

今回の紀陽銀行の発表では、不正送金被害そのものは確認されていません。一方、銀行側で発信を確認できない着信が正規のEBセンター番号として報告されている点は、「着信番号を信用の根拠にしない」という運用を改めて確認する材料になります。

出典