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2025年4月6日に発生したETCの広域的なシステム障害を受けて、国土交通省は5月7日、運営会社である中日本高速道路(NEXCO中日本)に対し、「対応に一貫性を欠き、混乱を招いた」として厳重注意を行いました。
同日、同社の縄田正社長が国交省を訪問し、中野大臣に経緯を報告。面会後の取材で、「対応の見直しに時間を要し、正常課金ができた人とできなかった人が生じてしまった。不公平感をなくすため方針を転換した」と述べました。
中野大臣は、すでに料金を支払った利用者への丁寧な還元や、今後同様の事態が起きた場合に備えた広域障害対応マニュアルの早期策定を厳しく求めました。
目次
一貫性のない対応で混乱 当初「後日精算」→のちに「請求せず」
問題となったのは、4月6日から7日にかけて発生したETCの障害です。東京・愛知をはじめとする8都県・106カ所の料金所で、ETCレーンが使用不能となり、出口ゲートのバーを開放して無料通行を許可する緊急対応が取られました。
当初、NEXCO中日本は「後日精算」を呼びかけていましたが、5月2日になって一転、「請求しない」と発表。この方針変更が利用者に混乱を与えたとして、今回の厳重注意に至りました。
技術的原因は「削除されるべきデータの蓄積」 改修作業が引き金に
障害の発端は、4月5日に実施されたETC深夜割引見直しに向けたシステム改修作業でした。NEXCO中日本によると、上位サーバーで構成変更が行われた際、本来は削除されるべき「宛先データ」が蓄積し続け、ETCカードの判定処理領域が侵食・破損されました。
この結果、車載器との通信が不安定となり、ETCゲートが開かないなどの不具合が発生。108カ所の料金所で影響が出ました。復旧には、改修前の状態に戻す「切り戻し作業」が行われ、翌7日までに対応が完了しています。
再発防止へ:6月中にマニュアル整備、他高速各社と連携も
NEXCO中日本は今後の対応として、以下を掲げています:
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消去処理未実装の経緯についての技術的な原因究明
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広域障害の早期検知体制の強化
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発生時の情報提供手順の見直し
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6月中を目処に再発防止策およびマニュアルを策定
また、今回の障害を受けて、東日本・西日本高速道路も交えた横断的な危機管理体制の構築が検討されており、ETCという全国共通インフラのリスク管理強化が急がれています。
まとめ
国交省の厳重注意は、単なる障害の発生に対する叱責ではなく、その後手に回った混乱対応に対する強い問題意識を示したものです。IT改修に伴う影響予測、トラブル時の初動、そして利用者への説明責任——今後の高速道路インフラ運営には、これらすべてが問われていくことになります。
一部参照
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250507/k10014798851000.html