新エフエイコム株式会社は2026年7月21日、4月に発生したランサムウェアによるシステム障害について、外部専門機関によるフォレンジック調査の結果を公表しました。
調査の結果、第三者がアカウント情報を窃取したうえで、同社ネットワークへ不正侵入していたことが判明しました。また、攻撃者に閲覧または取得された可能性があるファイルも特定され、一部取引先の従業員に関する個人情報や取引関連情報などが含まれていた可能性があります。
新エフエイコムは、関係者や連絡先を把握できる本人および取引先へ順次個別に連絡しています。一部のファイルは関係者や連絡先の特定が難しいことから、専用の問い合わせ窓口を設置しました。
サマリー
- 新エフエイコムが2026年7月21日、4月のランサムウェア被害に関する続報を公表
- 2026年4月10日未明にランサムウェア感染被害が発生
- 攻撃者はアカウント情報を窃取し、同社ネットワークへ不正侵入
- 外部専門機関によるフォレンジック調査で、閲覧または取得された可能性があるファイルを特定
- 一部取引先の従業員に関する個人情報や取引関連情報などが対象
- 個人情報として氏名、勤務先名、所属部署名が含まれている可能性
- 対象情報はファイルごとに異なり、すべての対象者に全項目が含まれるわけではない
- 現時点で本件に起因すると考えられる二次被害は確認されていない
- 対象者や取引先へ順次個別に連絡
- 図面、仕様書、契約書、見積書などの取引関連資料についても専用窓口で問い合わせを受け付け
- ネットワークとシステムのセキュリティ対策、監視体制、運用ルールを見直しています
概要
新エフエイコムは、製造業や物流業向けに、生産管理・製造実行システム、ロボット制御、自動化設備、画像処理、計装・監視システムなどを提供する企業です。岡谷鋼機グループの一員として、工場自動化やDXを支援しています。
同社では2026年4月10日未明、第三者による不正アクセスとランサムウェア感染被害が発生しました。4月14日の初報では、影響拡大防止のため社内ネットワークを遮断し、個人情報および顧客データの外部流出について調査していると説明していました。
今回の続報では、外部のサイバーセキュリティ専門機関によるフォレンジック調査を経て、侵入の流れと影響を受けた可能性がある情報の一部が明らかになりました。
何が起きたか
新エフエイコムの調査によると、攻撃者は何らかの方法で同社のアカウント情報を窃取し、その認証情報を使って社内ネットワークへ不正侵入しました。
侵入後にランサムウェア感染が発生し、システム障害につながったものとみられます。
また、フォレンジック調査では、第三者に閲覧または取得された可能性があるファイルが特定されました。該当するファイルには、一部取引先の従業員に関する個人情報や、取引関連情報などが含まれていた可能性があります。
一方、公式発表では、アカウント情報が窃取された具体的な方法、最初の侵入日時、ランサムウェアの種類、暗号化されたシステムの範囲、攻撃グループの関与などは公表されていません。
漏えいした可能性がある個人情報
新エフエイコムが公表した、対象となる可能性がある個人情報は以下です。
| 区分 | 情報項目 |
|---|---|
| 個人識別情報 | 氏名 |
| 勤務先情報 | 勤務先名 |
| 所属情報 | 所属部署名 |
対象となる情報の内容はファイルごとに異なり、対象となるすべての方について、氏名、勤務先名、所属部署名の全項目が含まれているわけではありません。
対象となる可能性があるのは、新エフエイコムとの取引、商談、打ち合わせ、そのほかの業務上のやり取りに際して、同社へ個人情報を提供した取引先の担当者です。
現時点では、対象人数やファイル数、情報が実際に外部へ持ち出されたことを示す具体的な件数は公表されていません。
取引関連情報への影響
今回の調査では、個人情報だけでなく、取引関連情報も第三者に閲覧または取得された可能性があります。
新エフエイコムは、取引先から提供された以下のような資料に関する問い合わせも専用窓口で受け付けています。
- 図面
- 仕様書
- 契約書
- 見積書
- その他の取引関連資料
ただし、これらすべての種類の資料が実際に漏えいしたと公表されたわけではありません。同社は問い合わせ内容を確認したうえで、対象データの有無などを個別に回答するとしています。
製造業のシステムインテグレーターには、取引先の製造ライン、設備構成、制御仕様、導入計画、価格、契約条件などに関する資料が集まる場合があります。そのため、個人情報だけでなく、技術情報や取引情報への影響についても確認が必要です。
取引先が確認すべきポイント
新エフエイコムと取引、商談、打ち合わせなどを行った企業は、同社から個別連絡が届いていないか確認してください。
自社や従業員の情報が対象になっているか確認したい場合は、同社が設置した専用窓口へ問い合わせることができます。
また、新エフエイコムや実在する担当者を名乗る以下のような連絡には注意が必要です。
- 見積書や請求書の再送
- 図面や仕様書の確認依頼
- ファイル共有サービスへの誘導
- 契約内容や納期の変更
- 振込先口座の変更
- パスワードや認証コードの入力要求
- 緊急対応を理由とした添付ファイルの開封依頼
過去のやり取りや実在する案件名が記載されていても、メールだけで正当性を判断しないでください。送金先や契約条件の変更を求められた場合は、既知の電話番号や別の連絡経路で担当者本人に確認する必要があります。
再発防止策
新エフエイコムは、本件を重大な事案として受け止め、すでに以下の対応を進めていると説明しています。
- ネットワークのセキュリティ対策強化
- システムのセキュリティ対策強化
- 監視体制の見直し
- 運用ルールの改善
- 外部専門機関と連携した再発防止策の実施
具体的な製品や設定、認証方式、ネットワーク構成の変更内容などは公表されていません。
情シス・セキュリティ担当者が確認すべきポイント
今回の事案では、アカウント情報の窃取が社内ネットワークへの侵入とランサムウェア感染につながりました。
同様の被害を防ぐには、VPN、リモートアクセス、クラウドサービス、管理者アカウントなど、外部から利用できる認証経路を整理する必要があります。
特に確認すべき項目は以下です。
- 外部接続可能なすべてのアカウントへの多要素認証
- 退職者、委託先、保守事業者の不要アカウント削除
- 管理者権限や特権アカウントの利用範囲
- 通常と異なる地域、端末、時間帯からの認証
- 同一アカウントを使った複数拠点への連続ログイン
- 不審な権限変更や新規アカウント作成
- ファイルの大量閲覧、コピー、圧縮
- 外部ストレージやクラウドへのデータ転送
- EDR、VPN、Active Directory、プロキシ、DNSログの統合監視
- バックアップ環境への不審なアクセス
製造業やシステムインテグレーターでは、取引先から預かった図面や仕様書などがファイルサーバーや共有ストレージに蓄積されます。個人情報だけでなく、取引先別の技術情報についても、保存場所、アクセス権、保管期間を棚卸しすることが重要です。
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