名鉄協商株式会社は2026年7月22日、6月23日に発生した不正アクセスに起因するシステム障害について、各種Webサイトの一部サービスを再開したと発表しました。カーシェアサービス「カリテコ」やシェアサイクル「カリテコバイク」、MKPビジネスカードなどで一部手続きが利用できるようになった一方、MKPポイントカードなど一部機能では引き続き停止が続いています。
サマリー
- 名鉄協商は2026年7月22日、不正アクセスに起因するシステム障害について一部サービス再開を公表しました
- 障害は2026年6月23日8時ごろに発生し、外部専門機関の調査で6月19日にランサムウェアによる不正アクセスの痕跡が確認されています
- カーシェア「カリテコ」では新規入会申込みやマイページからの契約内容変更手続きが再開しています
- シェアサイクル「カリテコバイク」では法人プランの新規登録や変更手続きが再開しています
- MKPビジネスカードでは利用明細の閲覧と請求書のダウンロードが利用可能になっています
- 本稿執筆時点で、外部への個人情報漏えいの事実は確認されていないと案内されています
- 個人情報保護委員会への報告有無は、公式発表上は明示されていません
- 一部機能の停止が続くため、利用者は公式サイトの最新案内と不審な連絡への注意が必要です
整理表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年7月22日 |
| 被害企業 | 名鉄協商株式会社 |
| 発生日 | 2026年6月23日8時ごろ |
| 事案の概要 | 第三者による不正アクセスに起因するシステム障害 |
| 確認されている原因 | 外部専門機関の調査により、6月19日にランサムウェアによる不正アクセスの痕跡を確認 |
| 漏洩情報の内容 | 本稿執筆時点で、外部への個人情報漏えいの事実は確認されていないと案内 |
| 個人情報保護委員会への報告状況 | 公式発表上は明示なし。7月2日の発表では警察および関係当局への相談・報告を実施と説明 |
| 再開した主なサービス | カリテコの新規入会申込み・契約内容変更、カリテコバイク法人プランの新規登録・変更手続き、MKPビジネスカードの利用明細閲覧・請求書ダウンロード |
| 停止中または制限中の主なサービス | MKPポイントカードなど一部機能、名鉄カナエルショップでのマンスリーパスポート販売など |
| 対応状況 | システム切り離し、ネットワーク遮断、外部専門機関との調査、警察および関係当局への相談・報告、順次復旧対応 |
何が起きたか
名鉄協商株式会社は、2026年6月23日8時ごろから各種Webサイトや関連サービスでシステム障害が発生していると案内していました。その後、同社は7月2日に、同社が運用するサーバーに対する第三者の不正アクセスを確認したと発表しています。
同社の発表では、6月23日にサーバーへの不審なアクセスを検知し、一部サーバーが停止したため、直ちにシステムの切り離しとネットワーク遮断を実施したとされています。外部専門機関の支援を受けた調査の結果、6月19日にランサムウェアによる不正アクセスの痕跡があったことも確認されました。
セキュリティ対策Labでは既報の名鉄協商、ランサムウェアによる不正アクセスの痕跡を確認 各種Webサービスでシステム障害 継続で、発生当初の影響範囲を整理しています。今回の7月22日の発表は、その後の復旧状況を示す続報と位置付けられます。
再開されたサービス
今回の発表で目立つのは、すべてのサービスが一斉に復旧したわけではなく、業務影響が大きい機能から段階的に再開している点です。法人利用や契約変更、請求関連の確認など、利用者側の事務処理に直結する部分が先に戻されている印象です。
| サービス | 再開された内容 |
| カーシェア「カリテコ」 | 新規入会の申込み、マイページからの各種契約内容の変更手続き |
| シェアサイクル「カリテコバイク」 | 法人プランの新規登録、法人プランに関する各種変更手続き、ICカード追加の新規発行 |
| MKPビジネスカード | 利用明細の閲覧、請求書のダウンロード |
一方で、各種手続きの完了までには通常より時間を要する場合があると案内されています。復旧直後は問い合わせや申請が集中しやすく、バックオフィス側の確認作業も平常時より慎重になるため、利用企業側も請求処理や社内精算の締め日に余裕を持った運用が必要です。
臨時対応が続くサービス
名鉄協商パーキングの駐車サービス券やMKPギフトカードについては、臨時フォームで注文を受け付けています。マンスリーパスポートについては、ECサイト「名鉄カナエルショップ」での販売停止が続いており、専用フォームによる購入受付に切り替えています。
2026年8月分のマンスリーパスポートは、システム障害の影響により通常枚数の用意が難しいとして抽選販売になると案内されています。9月分の販売については、名鉄協商パーキングのホームページなどで後日案内する予定です。
情報漏えいの状況と問い合わせ対応
名鉄協商は、7月2日の発表で現時点で外部への情報漏洩の事実は確認されていないと説明していました。7月7日のコールセンター開設案内でも、外部への個人情報漏えいの事実は確認されていない一方、引き続き調査を進めているとしています。
今回の7月22日の一部サービス再開発表では、個人情報漏えいの有無に関する新たな変更は確認できませんでした。個人情報保護委員会への報告についても、公式発表上は明示されていません。7月2日の発表では、警察および関係当局への相談・報告を実施していると記載されていますが、個人情報保護委員会を名指しした記載ではないため、現時点では報告済みと断定しないほうが適切です。
利用者向けには、名鉄協商お客様相談窓口としてフリーダイヤル「0120-353-276」が設けられています。受付時間は月曜日から金曜日の9時から17時までで、土日祝日は除かれます。不審な連絡を受けた場合は対応せず、公式窓口に確認するよう案内されています。
情報システム部門への示唆
今回の事案は、ランサムウェアによる侵入や暗号化だけでなく、復旧過程でどの機能をどの順番で戻すかが事業継続に直結することを示しています。駐車場、カーシェア、シェアサイクル、法人カード、ECサイトのように複数サービスを運営する企業では、認証基盤、会員管理、請求、問い合わせ、外部公開サイトが相互に依存しやすく、一部のサーバー停止が広い範囲の業務停止につながります。
情報システム部門としては、サービスごとの復旧優先順位を平時から定義しておくことが重要です。売上に直結する機能だけでなく、請求書ダウンロード、契約変更、法人向けカード追加発行といった事務処理系の機能も、取引先の業務に影響します。ランサムウェア対応計画では、基幹システムだけでなく、会員向けマイページやフォーム、FAQ、コールセンター運用まで含めた復旧手順を用意しておくべきです。
二次被害の観点では、障害時に臨時フォームや代替手続きが増えるほど、利用者が偽サイトやフィッシングにだまされるリスクが上がります。公式サイト上に臨時窓口を集約し、メールやSNSで案内する場合もドメイン、差出人、リンク先を明確に示す必要があります。利用者に対しては、電話番号やフォームURLを検索結果やSNS投稿から直接利用せず、公式サイトの告知ページから確認するよう促す運用が現実的です。
自社で同様の障害が起きた場合に備え、外部公開サイトの切り離し手順、バックアップからの復元訓練、EDRやログ基盤による横断的な調査、代替受付フォームの作成ルール、個人情報保護委員会や警察への報告判断をインシデント対応手順に落とし込んでおきたいところです。復旧の早さだけを追うと再侵入や証跡消失のリスクが残るため、再開判断にはセキュリティ確認と業務影響の両面を入れる必要があります。








