ベネズエラ・マドゥロ大統領捕縛の裏側-米軍がインフラへサイバー攻撃し電力と通信機能を遮断

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ベネズエラ・マドゥロ大統領捕縛の裏側-米軍がインフラへサイバー攻撃し電力と通信機能を遮断

2026年1月、米軍によるベネズエラのマドゥロ大統領捕縛作戦(Operation Absolute Resolve)が実行されました。この作戦成功の要因として、米軍による高度なサイバー攻撃があったことが明らかになりつつあります。

米軍は首都カラカスへサイバー攻撃で電力インフラを麻痺させ、防空網を無力化したと指摘されています。

1月3日前後:首都の停電と「サイバーの関与」示唆

2026年1月3日、ベネズエラの首都カラカスで大規模な停電が発生しました。ネット監視団体であるNetBlocksの報告によれば、同日早朝、カラカス全域でインターネット接続が途絶し、電力供給が遮断されたことが確認されています。

米国のドナルド・トランプ大統領は作戦を説明する場で、カラカスの広い範囲が暗くなったことを示唆する発言を行い、それがサイバー攻撃を含む技術的手段によるものではないかと受け止められました。

加えて、米軍高官が「複数領域の効果を重ねる」形で作戦の通り道を作った趣旨を語り、米サイバー軍(USCYBERCOM)や宇宙軍の関与が取り沙汰されています。

一方で、停電がサイバー単独で引き起こされたのか、妨害電波や物理的破壊(キネティック)を組み合わせたのかは、確定的に語れる材料が限られています。

OT(制御系)を叩いた可能性は合理的、ただし断定はできない

インフラ(電力網や防空レーダーなど)は、情報システムだけでなくOT(Operational Technology:制御系)を含むため、手段の選択肢が広がります。産業サイバー領域で知られるDragosのロバート・M・リー氏は、公開情報が少ない前提を置きつつも、

OTへのサイバー攻撃で停電や防空能力の低下を狙う可能性自体は「合理的に評価できる」との見方を示しています。

Living off the Land(環境寄生型)攻撃の可能性

リー氏は、今回の攻撃手法について、2016年にウクライナのインフラ攻撃で悪用されたような「特注のマルウェア(Industroyerなど)を用いた攻撃」というよりも、2015年のウクライナ停電のような「既存の機能を悪用する(abuse of native functionality)」スタイルに近かったのではないかと推測しています。

これは「Living off the Land(環境寄生型)」攻撃と呼ばれる手法で、攻撃対象のシステムに元々備わっている管理ツールやコマンドを悪用するものです。OT環境においても、専用の破壊用マルウェアを使用せず、制御システムが本来持っている正規のコマンドを外部から実行させることで、検知を回避しつつ攻撃を行うことが可能です。

直前のインシデント

この作戦以前から、ベネズエラの重要インフラをめぐってサイバー攻撃が取り沙汰されてきました。たとえばロイターは、2025年末のベネズエラ国営石油会社PDVSAの動き(輸出・制裁・差し押さえなどの文脈)に触れる中で、サイバー攻撃が業務に影響したとの情報にも言及しています。

今回の「首都の停電・通信断」と直接につながるかは別として、インフラ側がサイバーの影響を受けうる状態だったことは無視できません。

情報システム部門への示唆

この事例から、情報システム部門として以下の点を認識する必要があります。

重要インフラ保護の現実

電力、通信、交通といった重要インフラは、有事の際には標的となります。ロバート・M・リー氏が指摘するように、各国の軍隊は民間のインフラであっても正当な軍事目標と見なす傾向があります。企業におけるBCP(事業継続計画)においても、「意図的なインフラ遮断」を想定したシナリオ検討が必要です。

OTセキュリティの重要性

工場やプラント、ビル管理システムなどのOT領域は、現在ではネットワーク接続が一般的になっています。今回の事例のように、OTシステムが侵害されれば、物理的な稼働停止に直結します。情報システム部門としても、IT領域だけでなくOT領域のセキュリティガバナンス確保が急務です。

「見えない攻撃」への備え

インフラ停止の原因が、物理的な故障なのか、サイバー攻撃なのか、あるいはその両方なのかを即座に判断することは困難です。ログの監視、異常検知、そして「システムが侵害されている可能性」を前提としたインシデントレスポンス体制の構築が求められます。

参照

Trump suggests US used cyberattacks to turn off lights in Venezuela during strikes