CrowdStrike・AWS・NVIDIA、サイバーセキュリティスタートアップ支援を拡大―Agentic AI時代の新興企業を世界で募集

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CrowdStrike・AWS・NVIDIA、サイバーセキュリティスタートアップ支援を拡大―Agentic AI時代の新興企業を世界で募集

CrowdStrikeは2026年10月6日、Amazon Web Services(AWS)、NVIDIAと共同で、第4回「Cybersecurity Startup Accelerator」を実施すると発表しました。

今回のプログラムは、AI Security、Agentic SecOps、Cloud Security、Identity Security、AppSec & Supply Chain、Data Securityなどの領域で製品を開発するシード期のサイバーセキュリティスタートアップを世界から募集します。

8週間のエクイティ不要プログラムで、CrowdStrike、AWS、NVIDIAの技術・事業開発担当者から支援を受けるほか、CrowdStrike Falconとの製品統合、AWS Partner NetworkやAWS Marketplaceへの展開、NVIDIA Inceptionを通じた技術支援などが提供されます。

応募締め切りは2026年11月2日。プログラムは2027年1月11日から3月8日まで実施され、最大10社が4月のRSAC 2027で最終ピッチに進む予定です。

Cybersecurity Startup Acceleratorのサマリー

  • CrowdStrike、AWS、NVIDIAが第4回Cybersecurity Startup Acceleratorを実施
  • 世界のシード期サイバーセキュリティスタートアップが対象
  • エクイティ不要の8週間プログラム
  • 応募期間は2026年10月5日から11月2日
  • 本プログラムは2027年1月11日から3月8日まで実施
  • 1月5~6日にニューヨークで対面キックオフを予定
  • 対象領域はAI Security、Agentic SecOps、Cloud Security、Identity Security、AppSec & Supply Chain、Data Security
  • CrowdStrike Falcon Foundry、Falcon APIなどを使った製品開発・連携支援を強化
  • AWS Partner Networkへの参加やAWS Marketplace掲載に向けた支援を提供
  • NVIDIA Inceptionを通じて技術トレーニングや開発リソースを提供
  • 最大10社がRSAC 2027で最終ピッチへ進出
  • 有望企業はCrowdStrike Falcon Fundからの投資候補になる可能性がある
  • これまで90社以上を支援し、参加企業は累計約10億ドルの資金調達を実施

第4回はAgentic AI時代のサイバーセキュリティを重点領域に

今回のアクセラレータでは、従来のクラウドセキュリティやID管理だけでなく、Agentic AIを前提としたセキュリティ技術が主要テーマに置かれています。

公式プログラムページで示されている対象領域は次の6分野です。

分野 主なテーマ
AI Security AI・LLMワークロード保護、モデルサプライチェーン、AIレッドチーミング
Agentic SecOps 自律型SOC、AIによるトリアージ、インシデント対応
Cloud Security CNAPP、ランタイム保護、コンテナ、サーバーレス
Identity Security 非人間ID、マシンID、ITDR
AppSec & Supply Chain Shift Left、コードセキュリティ、SBOM
Data Security DSPM、データ分類、プライバシーエンジニアリング

AIがセキュリティ製品へ組み込まれるだけでなく、SOCやインシデント対応そのものを自律化する技術が明確な対象になっています。

企業側でもAIエージェントがSaaS、API、ファイル、クラウド環境へ直接アクセスする構成が増えており、AIエージェントのセキュリティでは、間接的プロンプトインジェクション、過剰権限、ツール連携、監査不能などが新たなリスクになります。

CrowdStrikeはFalcon Foundry・API・Marketplace連携を強化

2027年向けプログラムでは、CrowdStrikeとの製品連携が従来より強化されています。

参加企業は、

  • Falcon FoundryでのAIエージェント作成
  • Falcon APIの利用
  • CrowdStrikeとの検証済みインテグレーション開発
  • CrowdStrike Marketplaceへの掲載

などを通じて、自社製品をFalconエコシステムへ組み込む機会を得ます。

単なる技術メンタリングではなく、CrowdStrikeの顧客基盤や販売チャネルに接続できる製品へ成長させることがプログラムの一部になっています。

CrowdStrikeは、自社プラットフォームを中心としたセキュリティエコシステムの拡大を進めており、スタートアップ側には大企業向け市場へ入るための技術・販売両面の支援が提供されます。

AWSはPartner NetworkとMarketplaceへの展開を支援

AWSは今回、Go-To-Market支援を拡大します。

参加企業には、

  • AWS Partner Network(APN)へのオンボーディング
  • 技術検証
  • AWS Marketplaceへの掲載
  • AWS Solution Architectとの1対1の技術支援
  • クラウドアーキテクチャや製品設計支援

などが提供されます。

セキュリティスタートアップにとっては、製品をクラウド上で動かすだけでなく、AWS Marketplaceを通じて企業顧客が調達しやすい形へ整備する点まで支援対象になります。

BtoBセキュリティ製品では、技術性能だけでなく、

  • クラウド上での導入容易性
  • 企業システムとの連携
  • セキュリティ審査
  • Marketplace調達
  • パートナープログラム

が商用展開の障壁になるため、AWS側の支援は市場投入を前提としたものになっています。

NVIDIA Inceptionを通じAI技術・GPU・開発支援へアクセス

NVIDIAは「NVIDIA Inception」を通じて参加企業を支援します。

NVIDIA InceptionはAIスタートアップ向けの無料プログラムで、

  • 技術トレーニング
  • NVIDIA Developer Forums
  • SDK、モデルライブラリ、開発プラットフォーム
  • NVIDIAハードウェア・ソフトウェアの優遇
  • パートナー提供のクラウドクレジット
  • 投資家とのネットワーク
  • マーケティング・Go-To-Market支援

などを提供しています。

今回のCybersecurity Startup Accelerator参加企業も、条件や参加状況に応じて追加の技術・事業支援を受けられます。

Agentic AIやAI-SOCでは、LLMそのものだけでなく、大量のセキュリティテレメトリーをリアルタイム処理する計算基盤も必要になります。

NVIDIAは、Agentic AIが脅威の検知・分析・対応方法を変化させるとして、スタートアップにGPU、AIフレームワーク、技術支援を提供します。

AI Securityでは「AIを守る」と「AIで守る」の両方を対象

今回の対象分野にはAI SecurityとAgentic SecOpsの双方が含まれています。

これは、

  • AIモデルやLLMを攻撃から守る
  • AIエージェントの権限・データアクセスを保護する
  • AIを使ってSOCやインシデント対応を自動化する

という異なる方向の市場を同時に育成する構成です。

企業のAIセキュリティでは、生成AIへの情報入力だけでなく、モデル、API、RAG、AIエージェント、ソフトウェアサプライチェーンまで管理対象になります。

今回のアクセラレータの対象分野も、この市場変化を反映したものになっています。

2026年は約1,000社が応募、35社を採択

前回の2026年プログラムには、世界から約1,000社のスタートアップが応募しました。

その中から35社が8週間のアクセラレータへ採択されています。

2026年の最終ピッチでは、AIを利用したData Loss Prevention(DLP)を開発するJazzが優勝しました。

Jazzは、AIエージェント「Melody」とコンテキスト分析技術を利用して、企業内のデータ移動を分析し、従来型DLPで発生する大量アラートを削減する製品を開発しています。

CrowdStrikeによると、2026年のプログラム参加後、Jazzは、

  • Book of Businessを2倍以上
  • 売上を約3倍
  • インバウンドリードを5倍
  • 営業パイプラインを10倍

に拡大しました。

Jazzはその後、CrowdStrikeとの連携を拡大し、Falcon Foundry上でMelodyを提供しています。

これまで90社超を支援、累計資金調達は約10億ドル

CrowdStrikeによると、Cybersecurity Startup Acceleratorはこれまで世界で90社以上のスタートアップを支援しています。

参加企業による累計資金調達額は約10億ドルに達しています。

過去の参加企業では、

  • Onum:CrowdStrikeが買収
  • Terra Security:3,800万ドルを調達
  • Remedio(旧GYTPOL):6,500万ドルを調達
  • Fabrix Security:Silverfortが買収
  • Above Security:CrowdStrike Falcon Fundが戦略投資

などの実績があります。

アクセラレータ終了後も、CrowdStrikeとの製品統合や投資、買収などへつながるケースがあります。

最大10社がRSAC 2027で最終ピッチ

8週間のプログラム終了後、最大10社が最終選考へ進みます。

最終選考に残った企業は2027年4月5日~8日に開催されるRSAC 2027でライブピッチを行い、2027年のCybersecurity Startup Accelerator winnerが選出されます。

また、優れた企業はCrowdStrikeの戦略投資部門「Falcon Fund」による投資候補となる可能性があります。

ただし、アクセラレータへの参加自体がFalcon Fundからの投資を保証するものではありません。

世界のシード期スタートアップが応募可能

今回のプログラムは世界のシード期サイバーセキュリティスタートアップを対象としています。

公式プログラムページでは「global seed cybersecurity startups」として募集しており、日本企業も応募対象になり得ます。

スケジュールは次の通りです。

日程 内容
2026年10月5日 応募開始
2026年11月2日 応募締め切り
11月3~17日 選考
11月30日~12月4日 採択企業発表・AWS re:Inventでイベント
2027年1月5~6日 ニューヨークでキックオフ
1月11日~3月8日 8週間のオンラインプログラム
3月15日 Top 10選出
4月5~8日 RSAC 2027で最終ピッチ

プログラムはエクイティ不要で、参加そのものによる株式取得はありません。

サイバーセキュリティ市場でも「単独製品」からエコシステム型へ

今回のアクセラレータは、AIスタートアップ育成だけでなく、サイバーセキュリティ製品の市場投入方法が変化していることも示しています。

参加企業は、

  • CrowdStrike Falconへ統合
  • AWS上で製品を構築・検証
  • AWS Marketplaceで販売
  • NVIDIAのAI・GPU技術を利用

という形で、複数の大手プラットフォームへ同時に接続できます。

セキュリティスタートアップにとっては、自社製品単独で顧客を開拓するだけでなく、大手セキュリティプラットフォーム、クラウド、AI基盤のエコシステムへ組み込まれることが販売戦略の一部になっています。

一方、企業側では、今後AI Security、Agentic SecOps、Machine Identity、SBOM、DSPMなどの領域で、大手プラットフォームと連携する新興製品が増える可能性があります。

製品選定時には単機能の比較だけでなく、

  • 既存EDR・SIEMとの連携
  • AWSなどクラウド基盤との統合
  • ID・権限管理との接続
  • AIエージェントの監査性
  • Marketplace経由での調達
  • データの保存場所や処理方法

まで確認する必要があります。

出典