DAIKO NEXT LINK株式会社は2026年9月1日、旧大興ビジネス株式会社が使用していたメールシステムへの不正アクセスについて最終報告を公表しました。
同社では8月、旧大興ビジネスのドメイン「daiko-b.co.jp」で利用していた一部メールアカウントに第三者による不正アクセスが発生し、メールアカウントのパスワードが不正に取得されていたことを確認しています。
8月17日には二次被害や不正送信の拡大を防ぐためメールシステムを一時停止し、翌18日に再稼働しました。その後、DAIKO XTECHのCSIRT部門の支援を受けて調査を進め、8月24日には旧ドメイン「daiko-b.co.jp」のメールサーバー利用を全面的に停止しました。
全従業員のメール環境は新ドメインへ移行済みです。
9月1日時点で、顧客や関係者の個人情報等が外部へ流出した事実は確認されていません。一方、メールアドレスが不正使用された原因については現在も調査を継続しており、具体的な侵入経路やパスワード取得手法は明らかにされていません。
DAIKO NEXT LINKメール不正アクセスのサマリー
- DAIKO NEXT LINKは2026年9月1日、旧大興ビジネスのメールシステム不正アクセスについて最終報告を公表しました。
- 対象は旧大興ビジネスの「@daiko-b.co.jp」を利用していた一部メールアカウントです。
- 第三者による不正アクセスが確認されています。
- 対象アカウントのパスワードが第三者に不正取得されたことも確認されています。
- 2026年8月17日18時30分から、二次被害と不正送信拡大防止のためメールシステムを一時停止しました。
- 8月18日18時にメールシステムを再稼働しました。
- 8月24日時点では、DAIKO XTECHのCSIRT部門の支援を受け、原因と影響範囲の調査を継続していました。
- 8月24日、旧ドメイン「daiko-b.co.jp」のメールサーバー利用を全面停止しました。
- 全従業員のメール環境は新ドメインへ移行済みです。
- 9月1日時点で、顧客・関係者の個人情報等が外部へ流出した事実は確認されていません。
- パスワードが不正取得された具体的原因は現在も調査中です。
- フィッシング、マルウェア、パスワード使い回し等の具体的な手法は公表されていません。
- 同社はパスワード管理強化、多要素認証の導入を含む再発防止策を進めています。
- 「最終報告」と題されていますが、原因究明は継続中です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 最終報告日 | 2026年9月1日 |
| 対象組織 | DAIKO NEXT LINK株式会社 |
| 旧会社 | 大興ビジネス株式会社 |
| 対象ドメイン | daiko-b.co.jp |
| インシデント | 一部メールアカウントへの第三者による不正アクセス |
| パスワード | 第三者による不正取得を確認 |
| 初回公表 | 2026年8月19日 |
| メール停止 | 8月17日18時30分 |
| 一時再稼働 | 8月18日18時 |
| 旧メールサーバー停止 | 8月24日 |
| 新ドメイン移行 | 全従業員で完了 |
| 個人情報流出 | 9月1日時点で確認されていません |
| 原因 | 調査継続中 |
| 侵入経路 | 確認できませんでした |
| 再発防止 | パスワード管理強化、多要素認証導入等 |
8月19日に一部メールアカウントへの不正アクセスを公表
DAIKO NEXT LINKは8月19日、旧大興ビジネスの一部メールアカウントで第三者による不正アクセスが発生したと公表しました。
対象は「@daiko-b.co.jp」を利用していたメールアカウントです。
同社はこの時点で、メールアカウントのパスワードが詐取されたことを確認したと説明しています。
二次被害や不正送信の拡大を防止するため、8月17日18時30分からメールシステムを一時停止し、8月18日18時に再稼働しました。
第一報では、具体的な侵入経路やパスワード詐取の手法、影響を受けたアカウント数、外部への情報流出の有無などは明らかにされていませんでした。
8月24日の続報でパスワードの不正取得を確認
8月24日の続報では、DAIKO XTECHのCSIRT部門の支援を受けながら、原因と影響範囲の詳細調査を継続していることが公表されました。
この時点までの調査で、一部メールアカウントについて、パスワードが第三者により不正取得されたことを確認しています。
一方、顧客や関係者の個人情報等が外部へ流出した事実は確認されていないとしていました。
同社はアクセスログ等の調査を継続するとともに、
- パスワード管理の強化
- 多要素認証の導入
- その他のセキュリティ対策
を含む再発防止策を検討・実施するとしていました。
8月24日に旧メールサーバーを全面停止
9月1日の最終報告で新たに明らかになったのが、旧ドメイン「daiko-b.co.jp」のメールサーバーを8月24日付で全面停止したことです。
DAIKO NEXT LINKは、全従業員のメール環境について新ドメインへの移行を完了したとしています。
この対応により、旧大興ビジネス時代から利用していたメール基盤を継続利用するのではなく、新しいドメイン側へメール環境を切り替えています。
単純なパスワード変更だけではなく、旧メールサーバー自体の利用を終了した点が、今回の最終報告における大きな対応です。
個人情報等の外部流出は確認されず
DAIKO NEXT LINKは、9月1日までの調査において、不正アクセスによって顧客や関係者の個人情報等が外部へ流出した事実は確認されていないとしています。
これは「個人情報流出が確認された」事案ではありません。
一方、メールアカウントへの不正アクセス自体と、対象アカウントのパスワードが第三者に取得されたことは確認されています。
したがって、
「メールアカウントへの不正アクセスは確認」
「個人情報等の外部流出は現時点で未確認」
という2点を分けて整理する必要があります。
また、メール本文や添付ファイルが第三者に閲覧されたか、メールボックス内の情報がどこまで調査対象となったかについて、公開情報では詳細は明らかにされていません。
原因は「最終報告」後も調査継続
9月1日の公表は「最終報告」と題されています。
しかし、DAIKO NEXT LINKは、メールアドレスが不正使用された原因について、現在も詳細な調査を継続しているとしています。
つまり、「最終報告」は本件に関する公表の区切りを示すものであり、原因究明がすべて完了したことを意味していません。
現時点で公表されていないのは、
- パスワードの具体的な取得手法
- フィッシングの有無
- マルウェア感染の有無
- パスワード使い回しの有無
- 認証情報窃取型マルウェアの有無
- MFAが導入されていたか
- 対象アカウント数
- 不正アクセスの期間
- 不正送信されたメールの件数
- 攻撃者
- 外部サービスへの横展開の有無
などです。
これらを推測で補うことはできません。
大興ビジネスは2026年4月にDAIKO NEXT LINKへ
今回対象となった「旧大興ビジネス」は、2026年4月1日に大興テクノサービスと合併し、「DAIKO NEXT LINK株式会社」へ商号変更しています。
大興ビジネスはSESや人材派遣、大興テクノサービスは保守・コールセンター事業などを展開しており、両社の事業統合に伴い新会社としてスタートしました。
今回の不正アクセスでは、合併後も旧大興ビジネス時代のドメイン「daiko-b.co.jp」で利用していたメールシステムが残っていました。
企業合併や商号変更では、メール、DNS、クラウドサービス、SaaSアカウント、証明書、認証基盤など、旧会社のIT資産が一定期間残る場合があります。
今回の事案は、組織再編後の旧メール基盤をどのタイミングで停止し、新環境へ完全移行するかという課題も含んでいます。
多要素認証の導入を再発防止策に
DAIKO NEXT LINKは8月24日の続報で、再発防止策としてパスワード管理の強化と多要素認証の導入を挙げています。
メールアカウントでは、パスワードだけで認証する構成の場合、認証情報が第三者に取得されると、そのまま不正ログインにつながる可能性があります。
MFAを有効にすることで、パスワード単独での不正ログインを防げる可能性が高まります。
一方、MFAも万能ではありません。
リアルタイム型フィッシングやセッショントークン窃取など、MFAを回避する手法も存在するため、
- FIDO2/パスキーなどフィッシング耐性の高い認証
- 条件付きアクセス
- 不審なログイン検知
- 海外IPや匿名化ネットワークからのアクセス制御
- セッション監視
- メール転送ルールの監査
などを組み合わせる必要があります。
合併・商号変更時の旧アカウント管理も確認
今回の対象が旧大興ビジネスのメールドメインだった点は、組織再編時のIT資産管理という観点でも重要です。
企業合併や社名変更では、新ドメインを導入しても、
- 旧メールアドレス
- 旧ドメイン
- 旧Active Directoryアカウント
- 旧Microsoft 365/Google Workspace
- 旧VPNアカウント
- 旧SaaS
- 旧APIキー
- 旧DNS
- 旧証明書
が残ることがあります。
旧環境を「移行期間中だから」と長期間維持すると、監視やセキュリティ設定が新環境より弱いまま残る可能性があります。
特にメールでは、旧アドレス宛の受信を維持する必要がある場合でも、旧メールボックスをそのまま残すのではなく、新ドメインへの転送やゲートウェイ経由の受信など、認証対象を減らす設計も検討できます。
情報システム部門への示唆
今回の事案から情報システム部門が確認したいのは、メールアカウント侵害への対応と、旧IT資産の廃止管理です。
まず、メールアカウントで不正アクセスが確認された場合は、対象アカウントのパスワード変更だけで完了させず、
- 全セッションの失効
- MFA再登録
- 不審な転送ルール
- OAuthアプリの認可
- 自動転送設定
- 受信トレイルール
- 不審なログイン履歴
- 管理者権限の変更
- 他サービスでのパスワード使い回し
を確認する必要があります。
また、組織再編時には旧ドメインや旧メール環境を資産台帳に残し、「いつ廃止するか」を明確に決める必要があります。
移行完了後も旧メールアカウントがログイン可能な状態で残っていれば、攻撃対象は新旧両方に広がります。
今回DAIKO NEXT LINKは、最終的に旧「daiko-b.co.jp」のメールサーバーを全面停止し、新ドメインへの移行を完了しました。
一方、パスワードが第三者に不正取得された原因は依然として調査中です。
最終報告後も、原因分析の結果に応じて認証方式、メール運用、旧環境廃止手順を見直す必要があります。








