Becoming Chinese(Chinamaxxing)」とは何か、誰が起こしたのか
「Becoming Chinese(またはChinamaxxing)」とは、主に西側のGen Z(Z世代)がTikTokなどのプラットフォーム上で、
- 白湯を飲む
- スリッパを履く
- お粥を食べる
- 伝統中医学(TCM)に基づく食生活を取り入れるといった
中国の日常的な習慣を模倣し、「自分は中国人だ(または中国の時代に入った)」と宣言するデジタル・トレンドです。
白湯を飲んだりスリッパを履く事が中国に近づくのか?というツッコミは置いておき
この現象の直接的な発端は、2025年3月の米国インフルエンサー「IShowSpeed」による中国訪問でのポジティブな配信や、中国系米国人のTikTokクリエイターであるSherry Zhuによる「イケてる中国人(Chinese baddie)」のライフスタイルを取り入れる方法を説く一連のバイラル動画(数百万回以上の再生)にあります。
しかし、これらが単発の流行で終わらず、広範なムーブメントへと発展した背景には、より構造的な要因が存在します。
Becoming Chineseが流行する背景と、米国若年層の対中感情の変化
このトレンドの根底にあるのは、米国の政治的分断、社会インフラの老朽化、経済的不安に対する西側若年層の強い「幻滅」です。
彼らはTikTokや、米国での規制論議を逃れて流入した中国製アプリ「RedNote(小紅書)」を通じて、安全で効率的な公共交通機関や高度な都市インフラ、そして90%を超える持ち家率といった中国の日常を直接目撃し、自国のシステムに対するオルタナティブとして中国を消費しています。
この認知の変容(Cognitive Shift)は、統計にも明確に表れています。
Pew Research Centerの2025年の調査によれば、米国の成人全体の対中悪感情は前年の81%から77%に低下しました。特に30歳未満の層では「中国を非常に好ましくない」と見る割合は21%に留まっており、中国を「敵」と見なす米国人の割合も全体で前年の42%から33%に減少しています。
中国発グローバルブランドの台頭と文化輸出
BYDがテスラを抜いて世界最大のEVメーカーとなったほか、中国のAI企業DeepSeekが米国のOpenAI(1億ドル以上のコスト)のほんのわずかな費用(約600万ドル)で高性能なモデルを開発し、米国のテクノロジー業界を震撼させています。またLabubu(ラブブ)人形で知られるPop Mart(ポップマート)は、売上の40%を中国国外で生み出しており、その企業価値は米国のMattelやHasbroの3倍に達しています
戦狼外交からのシフトチェンジ:中国の新たなソフトパワー戦略
中国政府は、この草の根のデジタル動向を自国の戦略的コミュニケーションに巧みに統合しています。これまで中国の外交官は、国内のナショナリズムに応える形で極めて好戦的な「戦狼外交(Wolf Warrior Diplomacy)」を展開してきましたが、これは結果として西側諸国の警戒を強め、国際的な評判を落とす逆効果を招いていました。
近年、習近平政権は老子の「不争の徳」などの概念を援用し、直接的な対立を避けつつ、文化やライフスタイルの魅力(ソフトパワー)を通じて「多数派を勝ち取る」戦略へと舵を切りました。
大国としてのハードパワーを直接誇示するのではなく、「日常のウェルネス」や「安定した社会」という包摂的なパッケージを提示することで、西側の若年層を取り込む「Diplomacy 2.0」へのシフトチェンジを完了させつつあります。
なお、日本は前年4位から英国を抜き3位に上昇しています。
日本への影響:日中外交危機とソフトパワーの逆転
中国の新たなアプローチとソフトパワーの拡大は、2025年11月の高市首相による台湾有事関連の発言以降、深刻な外交危機に陥っている日本に対して重大な波及リスクをもたらします。
中国がソフトパワーを拡大し、自国のナラティブを国際的に浸透させる中で、日本企業が意図的な情報工作(ディスインフォメーション)の標的となるリスクが高まっています。過去の外交危機と同様に、日本企業に対する不買運動(ボイコット)の呼びかけや、日本製品の通関手続きの遅延などが発生しています。また、中国国内での文化交流イベントや日本の映画、アーティストの公演が相次いで中止・延期に追い込まれるなど、文化・エンターテインメント産業にも直接的な被害が及んでいます
強硬な経済的威圧(Economic Coercion)の正当化と拡大
中国は「Diplomacy 2.0」を通じて自国の国際的な評判(ソフトパワー)を高める一方で、
日本に対しては「軍国主義の復活」や「第二次世界大戦の結果への挑戦」といったナラティブを展開しています。
中国の魅力や安定性が西側諸国やグローバル・サウスで評価されるようになるにつれ、日本に対する水産物の禁輸措置や観光制限といった「経済的威圧」が、「軍国主義化する日本への正当な対抗措置」として国際社会で容認・正当化されやすくなるリスクがあります
日本企業・ブランドに対する情報工作とボイコットのリスク
中国がソフトパワーを拡大し、自国のナラティブを国際的に浸透させる中で、日本企業が意図的な情報工作(ディスインフォメーション)の標的となるリスクが高まっています。過去の外交危機と同様に、日本企業に対する不買運動(ボイコット)の呼びかけや、日本製品の通関手続きの遅延などが発生しています。また、中国国内での文化交流イベントや日本の映画、アーティストの公演が相次いで中止・延期に追い込まれるなど、文化・エンターテインメント産業にも直接的な被害が及んでいます
既に中国で活躍する日本の芸能人が1つの中国に同意する発言
中国は一貫して「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部である」と主張していますが、日本は中国と台湾は別の国で、西欧諸国も1つの中国としての見解に不同意もしくは曖昧にしています。
2025年に高市早苗首相が国会答弁で、台湾有事が存立危機事態になり得ると答弁し、1つの中国としての見解に反発しました。
これによりインターネットでも中国による世論戦が展開され以下の芸能人は既に日本ではなく中国で活躍している為、中国政府/国民向けの発言をしています。
中国は『人民日報』などの官製メディアを通じてこの発言を取り上げ、高市政権を「軍国主義の復活」と非難する一方で、日本の野党や左派層に働きかけ、「高市首相が発言を撤回すれば問題は解決する」というナラティブを形成し、日本国内の政治的分断を狙っていました。
日本人歌手のメイリア(MARiA)-永遠に一つの中国を支持する
日本人歌手のメイリア(MARiA)さんが今月18日、微博(ウェイボー)に「私にとって、中国は第二の故郷。中国の友人はみんな私が大切にする家族。永遠に一つの中国を支持する」と書き込んだ。
矢野浩二氏 浩歌(ハオゴー)-、永遠に一つの中国を支持する
日本人俳優の「浩歌(ハオゴー)」(旧芸名・矢野浩二)さんは今月18日、微博(ウェイボー)に、「中国は僕の第二の故郷であるだけでなく、『家』とは何か再認識させてくれた所でもある。それらを永遠に大切にし、永遠に一つの中国を支持する」と書き込んだ。
国際舞台での反論と「日本イメージ」の再構築
中国が国連等で展開する「日本の軍国主義復活」や「敵国条項」を利用したナラティブ(物語)に対し、日本は事実に基づいて国際社会で冷静に反論・抗議する必要がああります。また、今後は単なる反論にとどまらず、「平和国家」「法の支配を重んじる穏健な社会」「海洋国家」としての日本のポジティブな国家アイデンティティを国際社会へ戦略的に発信することが求められています。