逮捕状などの請求と発付をオンライン化する「電子令状」について、最高裁判所が段階的な導入スケジュールを決めたと、読売新聞が2026年10月19日に報じました。まず2026年度中に東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で覚醒剤の所持・使用事件を対象に運用を始め、2027年5月に対象地域などを広げ、同年7月には全国・全事件へ拡大する計画です。
電子令状は、警察官や検察官が裁判所に令状を請求し、裁判官が発付する手続きをデジタル化する制度です。一般市民がウェブサイトで逮捕状を検索したり、警察がLINEなどのSNSで逮捕状の画像を送信したりすることを認める制度ではありません。
逮捕状の電子令状導入のサマリー
- 読売新聞が2026年10月19日、最高裁判所による段階的な運用スケジュールの決定を報道
- 初期導入は2026年度中(2027年3月末まで)を予定
- 最初の対象地域は首都圏の東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県
- 初期段階で取り扱うのは覚醒剤の所持・使用事件
- 2027年5月には大阪や福岡などにも対象を拡大する予定
- 2027年7月には全国の全事件を対象とする計画
- 土日などの令状対応については、東京と大阪の裁判所に集約する方針と報道
- 制度の法的根拠となる改正刑事訴訟法は2025年5月に成立・公布
- 実施日や対象事件の詳細は、今後の正式な案内・施行日によって確認する必要がある
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる手続 | 逮捕状などのオンライン請求・発付 |
| 根拠法 | 情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(2025年法律第39号) |
| 最初の対象地域 | 東京・神奈川・埼玉・千葉 |
| 最初の対象事件 | 覚醒剤の所持・使用事件 |
| 初期運用 | 2026年度中の予定 |
| 対象地域の拡大 | 2027年5月予定 |
| 全国・全事件への拡大 | 2027年7月予定 |
| スケジュールの出典 | 読売新聞の2026年10月19日付報道 |
逮捕状の請求から発付までをオンライン化
これまで逮捕状や捜索差押許可状などの令状を請求する際には、紙の請求書や資料を裁判所に提出し、発付された令状を受け取ることを前提とした運用が行われてきました。電子令状では、令状に関する申立てや発付を電子的な方法で取り扱えるようになります。
法務省によると、2025年5月16日に成立し、同月23日に公布された改正法では、刑事手続で取り扱う書類を電磁的記録として作成・管理・送受信する仕組みに加え、電磁的記録による令状に関する規定を整備しました。これは令状の発付手続きをオンライン化するための制度的な基盤となります。
改正法は、書類の電子化だけでなく、刑事手続におけるビデオリンク方式の活用や電子的記録の取扱いなども対象としています。ただし、電子令状の導入だけをもって、すべての刑事手続が同日に電子化されるわけではありません。
まず東京・神奈川・埼玉・千葉、その後全国へ
読売新聞の報道によると、最高裁判所は運用変更による影響を検証しながら、対象事件と地域を段階的に広げる方針です。
最初は首都圏1都3県の裁判所で、覚醒剤の所持・使用事件から開始します。その後、2027年5月に大阪や福岡などでも運用し、2027年7月には全国で全事件を対象とする計画です。土日などの対応は東京・大阪の裁判所に集約すると報じられています。
一方、法務省が公表している法令上の施行時期は、主要規定について「2027年3月31日までの間に政令で定める日」です。法律が効力を持つ時期と、各地域・事件で実際に電子的な手続が利用される時期は分けて見る必要があります。
電子令状の導入と「ニセ警察詐欺」は別の話
電子令状が導入されても、警察を名乗る人物がSNSのビデオ通話で「電子逮捕状」を見せたり、ウェブサイト上で氏名や番号を入力させて逮捕状を表示したりすることが正規の警察手続になるわけではありません。
警察庁は、警察の偽サイトで「受理番号」を入力すると偽の逮捕状が表示される事例を公表しています。LINEのビデオ通話で偽の警察手帳や逮捕状を提示し、口座への送金を要求する手口も確認されています。
こうした詐欺の実態については、セキュリティ対策Labの警視庁・静岡県警・兵庫県警の偽サイトに関する記事でも整理しています。
「電子令状が始まったので、ウェブサイトで逮捕状を確認してほしい」などと説明されても、それだけで正規の手続だと判断してはいけません。不審な連絡を受けた場合は通話を切り、自分で調べた警察の代表番号や警察相談専用電話「#9110」で確認してください。
電子令状の運用で問われる認証・アクセス管理
刑事手続のオンライン化では、令状請求の権限確認、電子記録の完全性、操作履歴の保存、誤送信の防止などが運用上の論点になります。逮捕状などは人の身体の拘束に関わるため、一般的な業務文書よりも厳格な権限管理や記録の真正性の確保が必要になる領域です。
これらは制度の性質から考えられるセキュリティ上の確認事項であり、今回報じられたシステムに具体的な欠陥があるという意味ではありません。運用開始後は、対象事件の追加だけでなく、利用者認証や令状の検証方法について裁判所・関係機関が示す正式な案内も確認する必要があります。








