タイムズカーの大規模な情報漏えいで免許証の特例再交付-少なくとも14県に

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タイムズカーの大規模な情報漏えいで免許証の特例再交付-少なくとも14県に

カーシェアリングサービス「タイムズカー」の個人情報漏えいを受け、運転免許証の現物を紛失していない利用者についても、免許証の再交付を認める対応が各地に広がっています。セキュリティ対策Labが2026年10月9日朝までに公表情報と報道を確認したところ、宮城、山形、石川、静岡、愛知、岐阜、三重、鳥取、島根、岡山、広島、山口、香川、宮崎の少なくとも14県で、情報漏えいに伴う再交付の特例的な対応が確認できました。

10月8日の報道で新たに確認したのは石川、静岡、愛知、岐阜、三重の5県です。愛知県では10月1日から特例を開始し、県内の運転免許試験場だけで10月7日までに74人が再交付を受けました。一方、特例で再交付できることと、手数料が免除されることは別です。石川県では通常の再交付手数料として、カード型免許証2,600円、マイナ免許証1,500円が案内されています。

再交付しても、すでに流出した免許証画像や氏名・住所などの情報は回収できません。本人確認に画像のみを用いる場合の悪用リスクと、ICチップ・電子署名を利用した本人確認の違いも整理します。

※本記事は2026年10月9日朝までに確認したタイムズモビリティ、警察庁、各都道府県警の公開資料、信用情報機関の案内、報道に基づきます。表中の窓口は通常の再交付受付先を含み、今回の特例における受付場所・書類・時間帯は住所地の運転免許担当窓口への事前確認が必要です。

タイムズカーの情報漏えいと運転免許証再交付のサマリー

  • タイムズモビリティは2026年9月25日にWebシステムへの不正アクセスを検知しました。
  • 9月28日の第2報で、約660万アカウントの個人情報が第三者に取得されたと公表しました。アカウント数は、そのまま異なる人数を表すものではありません。
  • 9月29日の第3報では、約160万アカウントについて、運転免許証画像、現住所確認書類画像、学生証画像などの本人確認書類情報の漏えいを確認しました。160万件すべてが免許証画像という意味ではありません。
  • 10月8日までの報道を照合すると、少なくとも14県で漏えいを理由とした特例的な免許証再交付の対応が確認できます。
  • 愛知県では10月1日から特例が始まり、10月7日までに運転免許試験場で74人に再交付されました。岐阜・三重両県も同様の対応を取っています。
  • 通常の再交付・再記録手数料は保有形態によって異なり、警視庁の例では1,500~2,700円です。石川県もカード型免許証2,600円などの手数料を案内しています。
  • タイムズモビリティは10月6日更新のFAQで、漏えいに伴う補償の全体方針を調査結果に基づき決定すると説明しました。免許証再交付費用の一律補償は確認されていません。
  • 警察庁の通達では再交付後も免許証番号の上11桁は維持されます。末尾の再交付記号の取扱いは、再交付事由と各地の特例運用を確認する必要があります。
  • JICCは10月8日、本人申告コメント登録などの申し込み集中による手続きの遅延を公表しました。

特例再交付に対応する少なくとも14県と運転免許センター一覧

各地の公安委員会による措置は、免許証の紛失や破損がなくても、流出した情報の悪用を懸念する人の申請を受け付けるものです。ただし、再交付の条件や提出資料が全国で統一されていると確認できたわけではありません。

都道府県 漏えいを理由とする再交付の対応(確認日・報道内容) 主な運転免許センター・相談先
宮城県 9月末ごろから特例。10月8日報道で再交付約30件 宮城県運転免許センター(仙台市泉区)など
山形県 9月28日から特例申請を受け付け 山形県総合交通安全センターなど
石川県 10月8日報道で特例の再交付を確認。顔写真・番号末尾を変更する運用 運転免許センター(金沢市)、輪島警察署・穴水庁舎、珠洲警察署・能登庁舎
静岡県 10月8日報道で漏えいを受けた番号変更・再交付措置を確認。10月7日午前までに申請1件 東部・中部・西部運転免許センター、取扱警察署など
愛知県 10月1日から特例。10月7日までに運転免許試験場で74人が再交付 運転免許試験場、東三河運転免許センター、対象の23警察署
岐阜県 10月8日報道で愛知県と同様の対応を確認。申請者あり 県内の運転者講習センターなど(特例窓口は事前確認)
三重県 10月8日報道で同様の対応を確認。申請者あり 三重県運転免許センター(津市)など
鳥取県 9月末から特例措置を開始 東部・中部・西部地区運転免許センター
島根県 10月1日から特例措置を開始 運転免許センター(松江市)、西部運転免許センター(浜田市)、県内警察署
岡山県 10月1日から特例措置を開始 岡山県運転免許センターなど
広島県 10月から特例措置。報道では申請期限を設けていない 広島県運転免許センター、広島県東部運転免許センターなど
山口県 情報漏えいを理由とした再交付を受け付け。漏えいの証明がなくても申し出に応じると報道 山口県総合交通センター、県内の取扱警察署など
香川県 10月1日から特例措置を開始 香川県運転免許センターなど
宮崎県 10月8日から特例措置。開始当日に申請2件と報道 宮崎・都城・延岡の各運転免許センターなど

石川県では金沢市の運転免許センターに加え、能登地域の警察署・庁舎も特例の申請先として報道されています。愛知県では運転免許試験場やセンター以外に23の警察署で受け付けるとされています。通常の手続き案内に掲載される警察署すべてが、今回の特例を同じ条件で受け付けるとは限りません。

和歌山県でも、タイムズカーの漏えいを受けて10月5日までに10件以上の再交付があったとの報道があります。また、鹿児島県でも今回の漏えいに関連した再交付の相談・申請が報じられています。ただし、これらは今回確認した報道だけでは、上表の14県と同じ「特例措置」としての運用を独立に確認できないため、集計には含めていません。

上表にない都道府県で再交付が一切できないという意味ではありません。写真の変更などを理由とした通常の再交付制度が利用できる場合があります。自分の住所地を管轄する公安委員会・運転免許センターに確認してください。

再交付手数料は1,500~2,700円が目安―特例と減免は別

警視庁が公表する運転免許証の再交付・マイナ免許証の再記録手数料は、申請前後の保有形態によって異なります。次の表は、両方を紛失した場合などの一部の組み合わせを除き、主な例を抜き出したものです。

申請前の保有形態 申請・手続き後の保有形態 警視庁公表の通常手数料
運転免許証のみ 運転免許証のみ 2,600円
運転免許証のみ マイナ免許証のみ 1,500円
運転免許証のみ 2枚保有 2,700円
マイナ免許証のみ マイナ免許証のみ(再記録) 1,500円
マイナ免許証のみ 運転免許証のみ 2,550円
マイナ免許証のみ 2枚保有 2,650円

石川県公安委員会の特例対応を伝えた10月8日の北陸放送の報道でも、カード型免許証2,600円、マイナ免許証1,500円という手数料が示されています。一方、申請理由や免許証の保有形態、更新手続きとの同時申請などによって負担額は変わり得ます。上の表を今回の特例の全国一律料金とみなすことはできません。

タイムズモビリティは10月6日更新の公式FAQで、漏えいに伴う補償について「外部専門機関による調査の結果を踏まえて、全体方針を決定する予定」と説明しています。10月9日朝の確認時点で、免許証再交付費用を一律に補償するという発表は確認できていません。再交付の手数料や証明写真代の領収書は、今後の案内に備えて保管する方法があります。

免許証を再交付しても番号の上11桁は変わらない

警察庁が2025年3月10日付で発出した「運転免許証の番号等の形式及び内容について」によると、運転免許証番号は12桁です。再交付後も、直近の免許証番号の上11桁は維持する運用とされています。

12桁目は再交付記号で、同通達では、免許証の亡失・滅失を理由とする再交付で繰り上げると規定しています。一方、今回の特例措置について愛知県や石川県の報道では、顔写真と免許証番号の末尾を変更すると案内されています。

つまり、今回の特例で番号が変わると案内された場合も、12桁すべてが別の番号になるわけではありません。また、通達上の再交付記号の扱いと個々の特例手続きの運用は分けて確認する必要があります。特例で末尾が変わるか、顔写真を再撮影するか、古い免許証を返納するかは、申請先に尋ねてください。

なお、再交付によって免許証の券面が変わっても、すでに第三者が取得した可能性のある氏名、住所、生年月日、過去の免許証画像は消去されません。番号変更だけでなりすまし被害を完全に防げるものではありません。

流出画像だけの本人確認と、ICチップの真正性確認は異なる

デジタル庁が2026年2月に公表した本人確認ガイドライン解説書は、運転免許証などのICチップ付き本人確認書類を読み取り、付与されたデジタル署名を検証することで、発行元や記録内容の偽造・改ざんを検知できると説明しています。運転免許証のICチップからデータを読み取る際には、暗証番号が必要です。

これに対して、本人確認書類の画像をアップロードして審査する方式では、書類画像が不正に取得された場合、その画像が別の申込みで利用される余地があります。ただし、金融機関などで行われる非対面の本人確認は、画像の提出だけで完了するとは限りません。タイムズモビリティの公式FAQも、本人の容貌画像との照合や本人名義口座による確認など、追加手続きが用いられると説明しています。

本人確認を提供する事業者がICチップの読取結果と電子署名の検証を必須とする場合、流出した券面画像だけでは同じ確認を通過できません。一方、ICチップが真正であることの確認と、手元にある書類が再交付後の最新のものかどうかの確認は別の問題です。対面・非対面の方式に応じ、顔照合、ライブネス確認、必要な本人操作、書類の有効性を確認する仕組みを組み合わせる必要があります。

免許証を再交付する利用者側の対策には限界があるため、本人確認事業者側でも画像だけに依存しない確認方法と、提出された本人確認画像の保存期間・アクセス権限・削除ルールを点検する必要があります。

なお、タイムズモビリティは10月6日更新のFAQで、退会した利用者の運転免許情報と画像を、なりすまし対策や問い合わせ対応のため7年間保管すると説明しています。退会済み会員にも10月1日から順次通知を開始しています。

関連:運転免許証や免許証情報が漏洩した場合の悪用シナリオと対策|AIで住所・顔写真を改変されたらクレジットカードやローン契約はできるのか

漏えい通知を受け取った利用者が確認する手続き

運転免許証画像など本人確認書類情報の漏えいについて通知を受け取った場合は、メールを保存し、どの書類が対象になっているか確認してください。タイムズモビリティは対象者へ個別通知を進めています。通知を装った偽メールも考えられるため、記載されたURLを不用意に開かず、公式サイトの案内から内容を確認します。

再交付を希望する場合は、住所地の免許センターへ「タイムズカーの本人確認書類情報漏えいに伴う再交付」と伝え、対象者の要件、持参書類、通常の免許証の要否、手数料、交付日を確認してください。現物を紛失していないのに、紛失したと偽って申告する必要はありません。

信用情報機関への本人申告も検討できます。日本信用情報機構(JICC)は、免許証の現物が手元にあり、画像だけが流出した場合も本人申告コメントを登録できると明記しています。この場合の選択項目は「名義の悪用防止」です。また、全国銀行個人信用情報センターも本人確認書類の画像流出に関する本人申告を受け付けています。

ただし、本人申告は契約を自動的に停止する制度ではなく、加盟事業者が与信判断などの参考として利用する仕組みです。JICCは10月8日、申し込みの集中により、信用情報開示書の発送や本人申告コメントの登録完了まで通常より時間を要すると案内しました。全国銀行個人信用情報センターも、本人申告の処理に時間がかかる場合があると案内しています。

漏えい情報を悪用したフィッシングや、銀行・警察・タイムズカーを装う電話にも注意が必要です。タイムズモビリティは電話やメールで、SMS認証コード、サービスのパスワード、運転免許証・マイナンバーカードの暗証番号を尋ねることはないと案内しています。

運転免許証画像の具体的な悪用リスクは、セキュリティ対策Labの運転免許証や免許証情報が漏えいした場合の悪用シナリオと対策で整理しています。事件の経緯はタイムズカー不正アクセスの記事、便乗詐欺への注意点は情報漏えい後のおわびを装うフィッシング詐欺の記事で確認できます。

出典

企業・公的機関の一次情報

都道府県警察の通常再交付案内(特例専用の受付案内とは限りません)

特例対応と再交付実績を確認した報道