社会福祉法人「母子育成会」の元理事長を業務上横領容疑で逮捕ー約8億5千万円を不適切に流用

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社会福祉法人「母子育成会」の元理事長を業務上横領容疑で逮捕ー約8億5千万円を不適切に流用

神奈川県川崎市に本拠を置く社会福祉法人「母子育成会」において、長年にわたり多額の資金が私的に流用されていた問題で、神奈川県警は2025年5月8日、同法人の元理事長・深瀬亮一容疑者(68)を業務上横領の疑いで逮捕しました。

家賃・旅行・競走馬に資金を流用か

捜査関係者によると、深瀬容疑者は2018年、法人の口座から2回にわたって計200万円を引き出し、知人女性のマンション家賃や旅行費、自身が所有する競走馬の管理施設への預託金などに使用していた疑いがもたれています。

同法人はすでに昨年、内部調査の結果として、深瀬容疑者が2002年以降に約8億5千万円を不適切に流用していたと公表しており、これを受けて刑事告訴していました。県警が受理し、今回の逮捕に至りました。

川崎市の監査にも問題、形骸化したチェック体制

この巨額流用をめぐっては、監督行政機関である川崎市の監査体制の不備も明らかになっています。今年3月、市は外部有識者とともに監査体制の検証を行い、その報告書を公表しました。

報告書では、問題が明るみに出る7年以上前から法人の経営状況が悪化していたことを市が把握していたにもかかわらず、形式的な監査が続けられていたと指摘。必要に応じて実施されるべき「特別監査」の検討もされておらず、実効性のある是正措置が講じられていなかったと結論づけられました。

また、法人の役員に市の退職職員が複数名就任していた点についても調査が行われましたが、監査への不当な影響は確認されなかったとされています。

川崎市健康福祉局の担当課長は「形式的なチェックに終始し、突っ込んだ対応ができなかった点は反省すべきだ」と述べ、再発防止に向けた体制強化の必要性を強調しています。

公金管理の信頼回復へ、問われる行政の責任

今回の事件は、公益的役割を担う社会福祉法人における資金のずさんな管理と、それを見過ごしていた行政の監督責任の両面が問われる事例です。深瀬容疑者は報道機関の取材に対し、「事件について話せることはない」としていましたが、今後の捜査により、全容解明が期待されます。

参照

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20250314/1000115263.html