日本郵政グループ、顧客の非公開金融情報を無断利用 約1000万人に影響

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日本郵政グループ、顧客の非公開金融情報を無断利用 約1000万人に影響

日本郵政、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の4社(以下、日本郵政グループ)は、顧客の貯金や資産に関する非公開金融情報を、本人の同意なく保険や投資信託の勧誘目的で利用していたことを公表しました。対象となる顧客は約1000万人に上ります。

顧客情報の不正流用問題の概要

日本郵政グループは本人の同意を得ずに、ゆうちょ銀行の顧客情報を利用し、かんぽ生命保険を販売したい顧客リストを作成し対象は約155万人であったことが発覚。

2024年9月27日に金融庁および総務省に報告し、調査を進めてきました。

その結果、問題の範囲が拡大し、より詳細な再発防止策の策定が必要であると判断。2025年3月18日に追加の調査結果と再発防止策を発表しました。

問題点

今回の問題の核心は、顧客の資産情報が、事前の同意なしに営業活動に利用されていたことです。

具体的には、日本郵便が以下の金融商品の勧誘リストを作成していたことが判明しました。

追加調査で判明した判明した勧誘リスト

  • かんぽ生命保険の勧誘対象:約155万人
  • 投資信託の勧誘対象約775万人
  • 国債の勧誘対象約52万人
  • かんぽ生命以外の保険商品の勧誘対象約16万人

これらのリストは、日本郵便が「貯金営業担当顧客システム」を用いて作成。顧客の口座残高や取引履歴などをもとに、保険や投資商品を提案する対象者を選定していたと考えられます。

発生した理由

調査の結果、問題の背景として以下の4つの要因が挙げられています。

  1. 営業ノルマの優先
     顧客本位の営業方針が徹底されず、販売目標(数値)の達成が優先されていた。
  2. 組織の競争意識の強さ
     営業成績を重視しすぎた文化が、適切なリスク管理を軽視する結果につながった。
  3. リスク認識の欠如
     個人情報の扱いに対するリスク意識が不足していた。
  4. グループ全体のガバナンスの問題
     親会社である日本郵政の管理体制が不十分だった。

経営陣の処分

日本郵政グループは、本件の責任を取る形で役員報酬の減額を発表しました。

【日本郵便株式会社】

  • 千田 哲也(代表取締役社長兼執行役員社長):月額報酬の30% × 3か月
  • 西口 彰人(代表取締役副社長兼執行役員副社長(郵便局窓口事業運営総括)):月額報酬の25% × 3か月
  • 仲摩 義信(常務執行役員(金融営業部担当)):月額報酬の20% × 2か月
  • 目黒 健司(執行役員(コンプライアンス企画部・コンプライアンス調査部担当)):月額報酬の20% × 2か月 ※事案発覚当時

【株式会社かんぽ生命保険】

  • 谷垣 邦夫(取締役兼代表執行役社長):月額報酬の25% × 3か月
  • 大西 徹(取締役兼代表執行役副社長):月額報酬の20% × 3か月
  • 志摩 俊臣(代表執行役副社長(コンプライアンス統括部・募集管理統括部担当)):月額報酬の15% × 2か月
  • 阪本 秀一(専務執行役(営業統括・リテール営業本部担当)):月額報酬の15% × 2か月

【株式会社ゆうちょ銀行】

  • 笠間 貴之(取締役兼代表執行役社長):月額報酬の20% × 3か月
  • 田中 進(取締役兼代表執行役副社長):月額報酬の15% × 3か月
  • 小方 憲治(執行役副社長(コンプライアンス部門担当)):月額報酬の10% × 2か月
  • 岸 悦子(常務執行役(営業部門担当)):月額報酬の10% × 2か月

【日本郵政株式会社】

  • 増田 寬也(取締役兼代表執行役社長):月額報酬の25% × 3か月
  • 飯塚 厚(取締役兼代表執行役上席副社長):月額報酬の20% × 3か月

参照

日本郵政グループにおける非公開金融情報の適切な取り扱いの確保に向けた取組等について