中露爆撃機と戦闘機が共同で日本の空域を飛行-2026年6月27日に日本海・東シナ海・西太平洋まで広範囲 飛行

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中露爆撃機と戦闘機が共同で日本の空域を飛行-2026年6月27日に日本海・東シナ海・西太平洋まで広範囲 飛行

2026年6月27日(土)、中国人民解放軍空軍とロシア連邦宇宙航空軍は、日本海・東シナ海・西太平洋の広大な空域において共同空中戦略巡航を実施しました。中国国防部および新華社の公式発表によると通算第11回目にあたります。

防衛省統合幕僚監部が同日公表した公式プレスリリースによると、中国の爆撃機H-6×2機、ロシアの爆撃機Tu-95×2機、ロシアの哨戒機Tu-142×2機、中国の戦闘機J-16×6機(第一・第二フェーズの確認機数の合計)、ロシアの戦闘機Su-30×1機が確認されています。編隊は宮古海峡を通過して太平洋に進入し、四国沖にかけて長距離の共同飛行を実施した後に折り返しました。航空自衛隊の西部航空方面隊等は戦闘機を緊急発進させて対応しており、日本政府は安全保障上の重大な懸念として対処しています。

今回の巡航は、従来の単調な合流・南下パターンから大きく進化しており、二段階のフェーズによる組織的な爆撃機ローテーションが確認されました。

また中国側が公開した映像では空中給油機YY-20と早期警戒管制機KJ-500Aの参加も確認されており、戦闘機の航続距離延伸と統合航空管制を組み込んだ複合的な実戦能力の誇示となっています。これは日本本土の太平洋側「裏口」を実戦において脅かせることを明示するとともに、台湾有事における複合的な軍事行動シナリオが着実に現実化していることを示すものです。

サマリー

  • 2026年6月27日、中露が共同空中戦略巡航を実施(中国側発表によると第11回目)。H-6爆撃機・Tu-95爆撃機・J-16戦闘機・Tu-142哨戒機・Su-30戦闘機が参加し、宮古海峡から太平洋に進入して四国沖まで進出した(防衛省統合幕僚監部公式発表に基づく)
  • 今回の最大の特徴は「二段階フェーズによる爆撃機ローテーション」で、大陸から新たな爆撃機を中継投入する高度な組織的作戦が確認された。中国側公開映像では空中給油機YY-20とAWACSのKJ-500Aの参加も確認された
  • 韓国の防空識別圏(KADIZ)にも中露軍用機10余機が一時進入し、韓国空軍が戦闘機を緊急発進させた。韓国領空侵犯はなし。日本政府は緊急発進で対応し安全保障上の重大な懸念として対処した
  • 危険性は三層に分かれる——①グレーゾーン作戦による日韓の航空消耗戦、②台湾有事における介入拒否(A2/AD)能力の実証と防衛境界線の圧縮、③核・通常両用アセットによる二正面抑止の限界の露呈
  • 戦略意図は①日米韓QUADへの逆牽制、②高市首相の「台湾有事=存立危機事態」答弁への恫喝、③中露互恵型の非公式準同盟の制度化という三軸で構成される
  • 中国空軍の实戦経験不足という弱点を、ウクライナ実戦経験を持つロシア軍との共同訓練で補う構造が今回も確認された
  • 軍事圧力と国家主体サイバー攻撃は連動する。Volt TyphoonやSalt Typhoonが米国および同盟国の重要インフラへの事前侵入についてCISA/FBIが警告しており、地政学的緊張の高まりに比例してサイバー攻撃リスクも上昇する
参加機種 国籍 主な役割
H-6爆撃機(×4機・2フェーズ) 中国 戦略爆撃主力。核・精密通常ミサイル搭載能力。第一島鎖外への打撃力誇示
Tu-95爆撃機(×2機) ロシア 長距離核巡航ミサイル搭載の戦略爆撃機。巡航全体の航続距離を担う
J-16戦闘機(×6機・2フェーズ確認) 中国 爆撃機編隊の護衛(エスコート)任務。第一・第二フェーズにまたがり担当
Tu-142哨戒機(×2機) ロシア 長距離対潜哨戒。電磁情報収集(SIGINT)能力を有するとされる
Su-30戦闘機(×1機) ロシア 第一フェーズでの爆撃機護衛補助
YY-20空中給油機(複数)※中国公表 中国 J-16への空中給油。太平洋上での作戦有効半径の大幅延伸を実証
KJ-500A早期警戒管制機※中国公表 中国 統合航空戦管制・航空優勢確保のためのAWACS機能

二段階フェーズが示す戦術の高度化—第11回共同巡航の全容

防衛省統合幕僚監部の公式発表と航跡図に基づき、今回の作戦を時系列で整理します。

第一フェーズは6月27日午前に展開されました。

東シナ海から日本海へ進出した中国の爆撃機H-6×2機が、日本海においてロシアの爆撃機Tu-95×2機およびロシアの哨戒機Tu-142×2機と合流しました。この合流編隊が東シナ海へ折り返す際、中国の戦闘機J-16×2機とロシアの戦闘機Su-30×1機が伴飛護衛(エスコート)についています。

第二フェーズは同日午後に開始されました。

そこに新たな要素として、大陸方面から新たに飛来した別の中国爆撃機H-6×2機がロシアのTu-95×2機に対して東シナ海上で交代合流しています。

この「爆撃機のリレー投入」が今回最大の戦術的革新点です。

そこにロシアのTu-142哨戒機×2機と中国のJ-16戦闘機×4機を加えた大編隊が、沖縄本島と宮古島の間(宮古海峡)を通過して太平洋に進入し、四国沖にかけて長距離にわたり共同飛行を継続した後に折り返しました。

防衛研究所(NIDS)の過去の分析によれば、従来の共同巡航は中国の爆撃機が東シナ海で待機しロシアの爆撃機と合流するという戦術的に単調なパターンが多くを占めていました。

しかし今回は、中国本土から爆撃機の第二波を中継投入し、燃料と搭乗員を更新することで継続飛行時間を大幅に延伸させています。

さらに中国側が公開した映像では、空中給油機のYY-20(運油-20)とKJ-500A早期警戒管制機(AWACS)の参加が確認されており、J-16戦闘機が中国本土から大きく離れた西太平洋上でも十分な燃料余裕を保ちながら爆撃機をエスコートできる能力が誇示されています。なお防衛省PDFにはYY-20・KJ-500Aの記載はなく、確認は中国側公開映像に基づきます。

韓国合同参謀本部(JCS)の発表によると、同日午前中に中露の軍用機10余機が日本海および東シナ海の韓国防空識別圏(KADIZ)へ順次進入・離脱しており、韓国空軍は戦闘機を緊急発進させて対応しました。韓国領空侵犯は発生していません。日本側は少なくとも航空自衛隊の緊急発進によって対応し、政府は安全保障上の重大な懸念として対処しています。

三層の危険性—グレーゾーン消耗戦・A2/AD・核アセットの現代化

今回の第11回共同巡航が日本・韓国・台湾・米国にもたらす安全保障上の危険性は、それぞれ異なる時間軸と作用機序を持った三つの層に分類できます。

第一の層はグレーゾーン作戦の常態化と航空消耗戦です。

防衛研究所のコメンタリーが繰り返し指摘しているように、事前通告なしに大型軍用機群が防空識別圏(ADIZ)に進入することは、航空自衛隊や韓国空軍に対して突発的かつ反復的なスクランブルを強制します。スクランブルのたびに飛行時間が積み重なり、戦闘機の機体構造に対する金属疲労が加速し、エンジンと機体の整備コストが嵩みます。一方で中露の爆撃機は一定の航路と高度を維持するだけで良く、「防衛コスト」の非対称性が中露に有利に働く構造です。

さらに深刻なのは偶発的な衝突リスクです。

2025年12月に実施された共同飛行の前後、沖縄近海において中国軍機が航空自衛隊機に対して火器管制レーダーを照射(ロックオン)する事案が発生しています。これは一歩間違えれば現場レベルの判断から偶発的な衝突へと発展しかねない行為であり、最前線の緊張度は既に危険域に達していると判断すべき事態です。

第二の層は台湾有事における介入拒否(A2/AD)能力の実証です。

台湾国防安全研究院(INDSR)の分析は、今回の第11回巡航が台湾周辺の軍事圧力と深く連動していることを明確に指摘しています。

2026年6月中旬、台湾軍は5日間にわたる戦闘準備演習を完了し、中国による海上封鎖のシミュレーションを実施しました。その直後に中露が共同戦略爆撃機群を宮古海峡から太平洋へ進入させたことは、台湾包囲網を補強する意思として受け止める必要があります。

宮古海峡から四国沖まで進出したこと自体が、日本本土の太平洋側を「裏口」から脅かす能力の実証です。

太平洋側ルートへの進出は、台湾有事において日本本土が西(東シナ海)側だけでなく東(太平洋)側からも同時に中露の超音速巡航ミサイルの射程に入ることを意味します。台湾国防部は先制攻撃の定義を「ミサイルの着弾」から「中国軍機・艦船が台湾の領海・領空境界に最初に進入した時点」に改定しています。仮に台湾有事が勃発した場合、現在の戦力配置では防衛側に3分未満しか反応時間が残されないとの分析があります。

第三の層は核アセットの近代化と米国の二正面ジレンマです。

今回の巡航に参加したH-6爆撃機とTu-95爆撃機はいずれも核・通常両用アセットです。中国は核近代化を急ピッチで進めており、SIPRI 2026年版の推計では現在保有する核弾頭数は約620発に達しています。中距離弾道ミサイルDF-26の核配備化、094型戦略原子力潜水艦への長射程JL-3(巨浪-3)潜水艦発射弾道ミサイルの搭載、そして爆撃機が搭載可能な空中発射型核弾頭巡航ミサイルなど、核抑止ドクトリンは全方位で拡張されています。

米国上院軍事委員会のデブ・フィッシャー議員は「INDOPAC 2026」の場で、米国が史上初めて「二つの対等な核競合国(ロシアと中国)」に同時に直面していると警告しています。

現行の爆撃機調達計画のままではロシアと中国に対する同時抑止は不可能であるとの危機感が米側軍事当局に広まっており、ペンタゴンはその対抗策として、少なくとも1,850キロメートル(約1,150マイル)以上の有効射程を持つ超長距離空対空兵器(AFLRW:Air Force Long Range Weapon)の開発計画を明らかにしました。このミサイルはKJ-500AなどのAWACS機とYY-20などの空中給油機を長距離から直接無力化してキルチェーンを断ち切ることを目的としていると分析されています。

今回の飛行目的とは

中露が今回の第11回共同巡航を選択した戦略意図は、単一の目的では説明できない複合的なものです。防衛研究所と台湾国防安全研究院の分析、そして米国議会調査局の報告書を統合すると、三軸の戦略意図が浮かびあがります。

第一の軸は日米韓防衛協力・QUADへの逆牽制です。

防衛研究所のレポートが指摘するように、中露の共同巡航はQUAD首脳会議・日米韓共同演習「フリーダム・エッジ」・G7サミットにおける台湾海峡の現状維持支持声明など、西側の同盟協力が高まった直後というタイミングに高い相関性を持って実施されてきました。今回も同様に、西太平洋における「対中包囲網」を実力で突き破ることを西側に見せつけ、同盟側に信頼性の動揺(デカップリング)を誘発させる意図があると考えられます。

第二の軸は日本の安全保障政策の変化に対する直接的な恫喝です。

台湾国防安全研究院の専門家は、第10回・第11回巡航が日本周辺、とりわけ四国沖や日本海まで執拗に延伸されている要因として、日本の指導部による安全保障政策の変化をトリガーとしていると分析しています。

高市早苗首相が衆議院の答弁において、「武力行使を伴う台湾有事が発生した場合、集団的自衛権を行使できる存立危機事態を構成する可能性がある」と言及したことは、中国の最も敏感なレッドラインである台湾問題に直接触れるものでした。さらに小泉進次郎防衛大臣のもとで進むアメリカの中距離ミサイルシステムの日本への展開協議、海底サブマリンケーブルの強靭化、自衛隊の潜水艦調達の加速といった政策の具体化が、中国側の軍事的反応を引き出しています。

第三の軸は、中露の非公式準同盟の制度化です。

2026年3月にオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が発表したレポートは、中露の「制限なきパートナーシップ」が一時的な便宜的協力を超え、グローバル秩序の解体を目指す「権威主義軸」の核心基盤として制度化されていると評価しています。米国議会調査局の2026年6月報告書は、中露の共同軍事演習数が2019年の7回から歴史的ピークである2024年の11回まで増加したことを示しています。

この準同盟は相互に非対称な利益をもたらしています。ロシア側は、ウクライナ戦争と欧米制裁で孤立が深まる中で、中国との強固な安保関係が国際的孤立を回避するための支柱となっています。また、日本・韓国・台湾方面で米国の注目と防衛リソースを分散させることで、ウクライナ正面への西側の集中を妨げる間接的な戦略的価値があります。

中国側にはより重要な利得があります。中国空軍(PLAAF)は1979年の中越国境紛争以来、実戦経験が半世紀近く途絶えています。ウクライナの戦場でリアルな「国家レベルの航空戦・電子戦」を体験し、西側統合防空網の弱点を実際に探り続けているロシア軍から直接的なドクトリンとノウハウを吸収できることは、中国軍にとって何物にも代えがたい学習機会です。現代戦におけるドローンの軍事革命で分析したように、ウクライナの戦場はドローン・電子戦・センサー統合という現代戦の教科書を提供しており、北朝鮮軍がウクライナで実戦経験を積んで帰還したのと同様の論理が、中露の軍事技術共有にも当てはまります。

軍事的圧力と連動するサイバー・情報インフラへの脅威

軍事的な示威行動とサイバー攻撃は独立した事象ではありません。地政学的緊張が高まる局面では、国家支援型のサイバー攻撃活動も活発化するという相関性が、複数の情報機関および研究機関によって指摘されています。

特に注目すべきは中国APTグループの重要インフラへの侵入活動です。

米国CISA・FBIが繰り返し警告しているVolt Typhoonは、米国および同盟国の電力・通信・水道などの重要インフラに対して「キル・スイッチ」を事前に設置する目的での侵入活動を行っていると分析されています。有事が発生した瞬間に重要インフラを機能停止させるための事前準備であり、物理的な軍事行動と連動したハイブリッド戦争ドクトリンの一環と位置づけられています。Salt Typhoonについては米国の主要通信事業者への侵害が確認されており、通話記録や一部の私的通信、法執行関連情報の窃取が行われたとFBIが公式に発表しています。日本でもJPCERTがVolt Typhoonの攻撃キャンペーンについて注意喚起を行っています。

今回の共同巡航に参加したTu-142哨戒機は、対潜水艦任務を主任務としつつ、電磁情報収集(SIGINT)能力も有するとされています。

四国沖の太平洋にかけて長距離の飛行を行うことは、沿岸レーダー網の電波特性・周波数パターン、軍事通信の信号、海底ケーブルの通過ルートに関連する電磁情報を収集する機会になり得ると専門家は指摘しています。こうした物理的な偵察活動で蓄積された情報が、将来のサイバー作戦においてターゲットの特定と脆弱性の絞り込みに活用される可能性があります。

日本政府が防衛大臣の下で進める海底ケーブルの強靭化整備への言及は、まさにこの文脈から重要性を持ちます。台湾の海底ケーブル切断事件でも示されたように、グレーゾーン活動の一環として重要インフラの物理的破壊や妨害が実施されるリスクは現実のものとなっています。インターネット通信の大半を担う海底ケーブルが切断・妨害された場合、企業の国際通信・クラウドサービスへのアクセス・金融決済システムが広範囲で影響を受けます。


出典