Pマーク(プライバシーマーク)とは?個人情報を保護するための認証制度を解説

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Pマーク(プライバシーマーク)とは?個人情報を保護するための認証制度を解説

近年、情報の取り扱いについて対外的な証明を求められるケースが増えています。

顧客や取引先からの信頼を得るためには、情報を適切に扱う仕組みの整備が欠かせません。

そして、その仕組みが適切に構築されていることを第三者が認証する制度として、ISMSPマークが普及しています。これらは入札や取引条件として求められる場面も多く、認証取得の重要性は一層高まっています。

本記事では、個人情報の保護に重点を置くPマーク(プライバシーマーク)について、その仕組みや認証取得に必要な対応を解説します。

Pマーク(プライバシーマーク)とは

プライバシーマーク(Pマーク)とは、事業者が個人情報を適切に取り扱う体制を整備・運用していることを、第三者機関が認定する制度です。正式には「個人情報保護マネジメントシステム(PMS)」が、JIS Q 15001(個人情報保護マネジメントシステム-要求事項)に適合していることを認証するもので、取得した事業者は「プライバシーマーク」のロゴを名刺やWebサイト、パンフレットなどに掲示することができます。

Pマーク制度の目的は、企業や団体が個人情報を保護する意識と仕組みを持ち、継続的に改善していくことを促進することにあります。特に日本国内においては、取引先や顧客からの信頼を得るうえで、Pマークの取得がひとつの信頼の証明として機能しているケースも多く見られます。

取得企業の特徴

Pマーク取得の対象となるのは、民間企業・団体などの法人格を持つ事業者だけでなく、個人事業主も含まれます。業種や企業規模による制限はなく、個人情報を取り扱うあらゆる事業者が対象です。実際には、コールセンター、人材サービス業、EC事業者、医療・福祉系など、比較的個人情報を多く扱う業種での取得が目立ちます。背景には、取引要件としてPマークの取得を求められるケースが多いことが挙げられます。とくに公的機関の入札、大手企業からの受注では必須要件としてPマーク取得が含まれる傾向が強いため、取得せざるを得ないケースも少なくありません。

このような事情も相まってPマークの取得件数は2024年までは増加の一途を辿っており、17,793社が取得していました。2025818日時点では17,750社となっているため、40社ほど減少しているものの、依然として18,000件近い企業が取得している状況です。

ISMSとの違い

情報セキュリティの国際認証である「ISMSISO/IEC 27001)」との違いとして、Pマークはあくまで「個人情報の保護」に特化している点が挙げられます。ISMSが組織の情報資産全体を保護するマネジメントシステムであるのに対し、Pマークは個人情報という特定のカテゴリに焦点を絞っています。個人情報に特化しているため、個人情報の取得目的や利用範囲の明示、個人情報の保有数の明確化、業務委託先との契約と監督、苦情対応など、より具体的な実務対応が求められる点が、ISMSと比較したときの大きな違いと言えます。

このように、Pマークは個人情報の取り扱いに信頼を与える認証として、国内において一定の地位を確立している制度です。

また、ISMSでは適用範囲を目的に応じて決められますが、Pマークでは組織全体に適用する必要があることも、注意しておきたい重要な違いとなります。

ISMSとPマークの違いはこちらの記事で詳しく説明しています。

認証制度(適格性審査)

Pマークを取得するには、制度を運営する団体であるJIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)またはJIPDECが認定する指定審査機関による適格性審査を受ける必要があります。

この審査では、PMSの整備状況だけでなく、実際に運用されているかどうかを確認されます。つまりマニュアルがあるだけではなく、日常の業務において個人情報が適切に管理されているかという観点で、日々の運用の記録が重視されます。そのため、認証取得に向けては社内体制の構築、規程類の整備、教育訓練の実施、記録の保存といった継続的な取り組みが求められます。

認証は一度取得すれば終わりではなく、少なくとも年に一回の内部監査と、監査に対応できる継続的な運用が求められます。また、有効期間である2年ごとに更新審査があり、PMS(個人情報保護マネジメントシステム)が効果的に運用されているか確認されます。このとき、法令やガイドラインの改訂に応じた見直しが適切に行われているかも、確認されるポイントとなります。

JIPDECとは

JIPDEC(ジップデック:Japan Institute for Promotion of Digital Economy and Community)は、Pマーク制度の創設および運営主体であり、認証のガイドライン策定、審査基準の管理、審査機関の認定などを担っています。また、公式サイト上では、取得事業者の一覧を検索できる「プライバシーマーク付与事業者検索システム」や、審査の申請手続きに関する各種情報が提供されています。

実際の審査は、JIPDEC自身が行うケースもありますが、全国の「指定審査機関」が事業者との個別契約に基づき審査を実施するケースも一般的です。指定審査機関には、財団法人や一般社団法人、業界団体などが含まれており、地域性や業界特性に応じた審査が可能となっています。

要求事項の特徴

Pマークは、JIS Q 15001という規格に基づいて構築と運用をおこないます。JIPDECでは、JIS Q 15001 の要求事項に準拠した指針を公開しており、実際の構築ではこの指針をベースに対応していくことになります。

JIPDEC 審査基準と構築・運用指針

この規格と指針の中での要求事項は多岐にわたりますが、特徴として、体制、安全管理措置、マイナンバー対応、個人情報保護法との違いの4つの観点があります。

体制

Pマークでは、組織として個人情報を適切に管理するための体制を明確に構築しなければなりません。個人情報保護管理者の選任、役割と責任の明確化、組織全体への周知といった基本的な枠組みを整備した上で、それらを実際に機能させていく必要があります。

また、経営層の関与も重要なポイントです。個人情報保護を単なる現場任せの業務とせず、方針の策定やマネジメントレビューに経営層が関与することは絶対的な条件となります。

加えて、年間計画の策定、個人情報の棚卸し、個人情報保護リスクアセスメント、教育訓練の実施、内部監査の計画と実施、是正措置の運用といったPDCAサイクルの継続的な運用も要求事項に含まれます。これらを通じて、組織全体として個人情報保護を推進する体制の整備と維持が、Pマークの基本要件となります。

体制面においては、ISMSで実施するPDCAと非常に近いものになっているため、ISMSの経験があれば運用していくイメージを持つことは難しくないでしょう。

安全管理措置

Pマークでは、個人情報の漏えいや滅失、き損などを防止するために、組織として適切な安全管理措置を講じることが求められます。これらの措置は、組織的、人的、物理的、技術的の4つの観点で分類でき、それぞれに対して具体的な対策の検討と実施が必要です。

たとえば組織的安全管理措置では、取扱規程の整備や、アクセス権限の管理、外部委託先への監督などがあり、人的措置では、従業者への教育訓練や誓約書の取得など、個人への意識付けが重視されます。

物理的措置には、施錠管理や書類の廃棄ルールの策定、入退室管理などが含まれ、技術的措置では、アクセス制御やウイルス対策ソフトの導入、ログ取得などが対象となります。

これらは個人情報保護法でも求められている内容ですが、Pマークではそれらが計画的かつ継続的に実施されていることが重要になります。

また、安全管理措置のレベルは組織の状況によって変わるため、適切な安全管理措置が実施されていることを証明する重要なファクターとして、個人情報保護リスクアセスメントが関わってきます。このリスクアセスメントの結果に応じて、そもそも安全管理措置が必要なのか、どの程度の措置を取るのか、ということが決ります。

リスクアセスメントの結果をもとに、必要な安全管理措置を決定・実施していくという一連の流れを、日々の運用の中で意識することが重要です。

マイナンバー(特定個人情報)への対応

Pマークの要求事項では、通常の個人情報とは別に、特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)に対して、より厳格な管理が求められます。これは、マイナンバー法(番号法)に基づいて定められた保護措置であり、法令上も取り扱いが明確に区別されています。

特定個人情報に対する管理では、利用目的の限定、目的外利用の禁止、保存期間の制限、廃棄の厳格化といった要件があります。たとえば、マイナンバー法に基づく事務手続きに利用する場合は取得の際に本人の同意は不要である一方、本人の同意があっても目的外利用は許されないという特徴があります。また、取得時には本人確認が義務付けられており、保管期間も必要最小限に限定されます。委託や再委託を行うときには、契約内容の明確化や、再委託時に元の委託元から許諾を得るといった、通常の個人情報よりも厳格な管理が求められます。さらには、マイナンバーを取り扱う業務に従事する従業者を特定し、その教育や取扱記録の保持も求められるなど、一般の個人情報以上に細かな運用ルールが必要になります。

Pマークを取得する際には、これら番号法に基づく保護措置がきちんと構築・運用されていることも審査対象となるため、個人情報保護法の対応だけでなく、特定個人情報としての適切な管理体制を別途意識する必要があります。

個人情報保護法との差

Pマークは、個人情報保護法の内容を土台としつつ、さらに一歩踏み込んだ体制整備と運用が求められる制度です。個人情報保護法が守るべき法令であるのに対し、Pマークはその法令をどのように運用体制として定着させているかを、第三者が審査・認証する点に大きな違いがあります。

たとえば、個人情報保護法では安全管理措置を講じることが求められますが、Pマークではそれが文書化され、日常的に運用され、見直されているかまでが審査対象になります。また、内部監査や教育訓練といった仕組みを実際に回していることも要件の一つです。

そのため、個人情報保護法に準拠しているだけではPマークは取得できません。法令遵守に加えて、マネジメントシステムとしてのPDCA運用が構築・実施されているかどうかが、Pマーク審査での大きな焦点となります。

また、漏えい事故等の対応においても違いがあります。個人情報保護法では、原則として漏えい件数が1,000件以上である場合や、本人の権利利益が害されるおそれがある場合に、個人情報保護委員会への報告が義務付けられています。一方、Pマークではこれよりも厳格に、1件の漏えいであっても審査機関への速報・確報の提出が求められることがあり、日常の運用水準に加え、インシデント対応の基準も高く設定されていることが特徴です。

まとめ

プライバシーマーク(Pマーク)は、事業者が個人情報を適切に管理・運用していることを第三者が認証する制度です。JIS Q 15001に基づくマネジメントシステムの構築と、継続的な運用が求められる点が特徴であり、単なる法令遵守にとどまらない組織としての信頼性を対外的に示す手段として、多くの企業で活用されています。

本記事で見てきたように、Pマークは体制整備や安全管理措置の実施に加え、マイナンバー(特定個人情報)といった機微性の高い情報への厳格な対応、そして個人情報保護法よりも一段踏み込んだ管理体制が求められます。実際の審査では整備された文書や記録が中心となるため、形式的な側面が強くなる傾向もありますが、それでも運用上の仕組みやルールが組織内に定着しているかどうかは重要な視点となります。

そのため、単に審査を通すだけでなく、自社の業務に即した運用設計や、現場の理解・協力を得たルール整備を意識することで、形骸化を防ぎ、制度をより価値あるものにできます。

もし自社が個人情報を日常的に取り扱っているのであれば、社内外に対する信頼の証として、Pマークの取得を検討してみてはいかがでしょうか。