米国のサイバーセキュリティ関連求人が減少する一方、AIを専門とする一部の職種では採用需要が拡大しています。サイバーセキュリティ人材の採用支援を手がけるCyberSNが公開した「Cybersecurity Jobs Report」によると、2026年1〜9月の米国内の関連求人掲載数は23万5,786件で、前年同期の32万210件から26.4%減少しました。比較可能な2023年以降の同期間では最少です。
一方、AI Security Engineer(AIセキュリティエンジニア)の求人は前年同期比268.3%増、Cyber Data Scientist(サイバーデータサイエンティスト)は203.5%増でした。求人市場全体の縮小と、特定技能への需要増加が同時に進んでいます。
米国のサイバーセキュリティ求人動向のサマリー
- 調査対象は米国内の求人掲載情報。2026年1〜9月の掲載数は23万5,786件で、前年同期比26.4%減。
- 同期間の掲載数は2023年27万3,498件、2024年24万4,911件、2025年32万210件、2026年23万5,786件。
- AIセキュリティエンジニアは2,409件で前年同期比268.3%増、サイバーデータサイエンティストは1,493件で203.5%増。
- ペネトレーションテスターは3,063件で45.9%減、サイバーリスクアナリストは4,031件で51.5%減。
- 全求人の14.6%がAI・機械学習に関連する用語を記載。前年同期の15.1%からは0.5ポイント低下したものの、2026年9月単月では20.0%に上昇。
- 調査は求人広告の掲載件数を集計したもので、実際の採用人数、就業者数、解雇人数を示すものではない。
| 項目 | 調査結果 |
|---|---|
| 調査・公表元 | CyberSN「Cybersecurity Jobs Report, 2026 through September」 |
| データの対象地域 | 米国 |
| 比較期間 | 各年1〜9月 |
| 2026年の求人掲載件数 | 235,786件 |
| 2025年同期 | 320,210件 |
| 前年同期比 | 26.4%減 |
| 元データ | JobSpikrの求人掲載情報(重複掲載を除外) |
| データ取得日 | 2026年10月7日 |
2026年の求人掲載数は過去4年間の同期間で最少
CyberSNはJobSpikrの求人データを重複排除した上で、同社の職務分類(CyberSN Taxonomy)に沿って集計しています。求人票上の肩書だけでは業務内容が一致しないことがあるため、職種を機能別に分類して比較している点が特徴です。
2026年1〜9月の9カ月のうち、前年同月を下回ったのは8カ月でした。9月は2万7,951件で、前年同月の2万7,582件をわずかに上回っています。したがって、年間を通じて一様に減少しているわけではありません。
求人機能別の構成比では、防御・運用(Defense)が41.5%、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)が14.8%、製品セキュリティ(Product Security)が12.8%でした。GRCの構成比は2023年の9.4%から5.4ポイント上昇しています。ただし、これは全体に占める割合の変化であり、GRCの求人件数そのものが同じ比率で増えたことを意味しません。
AIセキュリティエンジニアの求人は268.3%増
職種別では、AIセキュリティエンジニアが2,409件と前年同期比268.3%増、サイバーデータサイエンティストが1,493件と203.5%増でした。伸び率は大きい一方、掲載件数の規模はセキュリティエンジニア全体などと比較すると限定的です。
主な職種の前年同期比は次のとおりです。
| 職種(CyberSN分類) | 2026年1〜9月の求人掲載数 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| AI Security Engineer | 2,409件 | +268.3% |
| Cyber Data Scientist | 1,493件 | +203.5% |
| Cybersecurity / Privacy Attorney | 24,193件 | +9.1% |
| Security Engineer | 44,083件 | -32.3% |
| Security Analyst | 24,095件 | -30.5% |
| Penetration Tester | 3,063件 | -45.9% |
| Cyber Risk Analyst | 4,031件 | -51.5% |
| Chief Information Security Officer(CISO) | 2,832件 | -38.9% |
※AI Security EngineerはSecurity Engineerの内訳として扱われるため、表の職種別掲載数を単純に合算して全体件数を算出することはできません。
CISO関連の掲載数は前年同期から38.9%減少しましたが、2024年同期の2,808件に対して2026年同期は2,832件で、ほぼ同水準です。また、2026年第3四半期の掲載数は第2四半期比で19.5%増でした。前年同期比の大幅減少だけで需要の持続的な縮小を判断することはできません。
AI関連の記載がある求人は全体の14.6%、9月には20.0%に
CyberSNは「artificial intelligence」「machine learning」「generative AI」「GenAI」「large language model」「LLM」などの用語が求人票に含まれるかも分析しています。
2026年1〜9月にこうした用語を含んだ求人の割合は14.6%でした。前年同期は15.1%であり、年間累計ではAIへの言及が増加したわけではありません。一方、2026年9月単月の割合は20.0%に達しました。
機能別では、研究(Research)の32.7%、攻撃・テスト関連(Offense)の23.3%、GRCの19.8%、設計・企画(Plan)の18.9%にAI関連用語が含まれました。特に研究分野は前年同期から11.7ポイント上昇しています。
ここで示すのはAI関連の語句が求人票に登場する割合です。AI業務に専従する採用枠の割合や、生成AIの導入によって既存業務が置き換わった割合を意味するものではありません。
情報システム・セキュリティ部門の採用計画で確認したい点
今回の結果は米国市場の求人広告を対象としたもので、日本国内の採用動向を直接示すものではありません。また、CyberSNのレポートは掲載数と職務構成の変化を示しており、求人減少の原因をAIによる自動化と特定していません。
国内企業が採用計画を検討する際には、単に「セキュリティ人材の求人が減少している」と捉えるのではなく、SOC運用、セキュリティ設計、GRC、AIシステムの保護といった業務を分けて、必要な技能と担当体制を定義することが考えられます。AIシステムの導入・運用に伴うセキュリティ業務と、従来の監視・インシデント対応業務は同一ではありません。
求人市場を評価する際は、求人掲載件数のほか、実際の採用実績、欠員期間、応募者の技能、外部委託の利用状況を別々に確認する必要があります。








