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何が起きたか
報道によると、職員は2026年4月17日、自宅で作業するため業務用ノートパソコンの貸与を受けました。その夜、飲酒を伴う会合に参加し、午後11時ごろ、帰宅途中に地下鉄大通駅構内のトイレで、ノートパソコンを入れたセカンドバッグを置き忘れたとされています。翌18日午前10時ごろ、自宅で作業しようとした際に紛失に気付き、地下鉄忘れ物センターへの照会や札幌中央警察署への紛失届提出を行いましたが、発見には至っていません。
影響
札幌市は、端末のSIMカード回線を停止し、外部通信を遮断したと説明しています。これまでに不正ログインや不正アクセスの記録は確認されておらず、また端末の記憶媒体には情報を直接保存できない仕組みのため、個人情報などの漏えいのおそれはないとしています。現時点で確認されているのは端末紛失そのもので、情報流出被害までは確認されていない段階です。
原因
今回の事案は、サイバー攻撃ではなく、職員による端末管理上のミスが原因です。特に、業務用端末を持ち出した状態で飲酒を伴う会合に参加し、その後に駅構内で置き忘れていることから、貸与物の管理と服務規律の両面が問われる事案といえます。札幌市は、貸与物の取り扱いや飲酒を含む服務規律の確保について注意喚起し、再発防止を徹底するとしています。
飲酒後のインシデント事例と注意点
飲酒後の情報管理事故は、今回が特別な例というわけではありません。
2025年10月には川崎市立中原中学校の教員が、個人情報を含むハードディスク、USBメモリ、GIGA端末、紙書類をリュックに入れて持ち出したまま飲酒し、帰宅途中に路上で就寝して紛失した事案が整理されています。影響件数は延べ約1,770件以上とされ、許可なく媒体や紙資料を持ち出したこと、さらに飲酒後に管理不能な状態になったことが問題の中心でした。
関連:川崎市立中原中の教員が飲酒後に個人情報を含むリュックを紛失
また、2025年2月には財務省関税局職員が、横浜税関での打ち合わせ後に飲酒し、帰宅途中にカバンを紛失した事案も紹介されています。カバンには、不正薬物の密輸事件に関する容疑者187人の氏名や住所が記載された機密書類と業務用ノートパソコンが含まれていたとされ、飲酒後の判断力低下が機密情報の紛失リスクを高める典型例として扱われていました。
関連:財務省関税局職員が飲酒後に機密書類を紛失、密輸事件の容疑者187人の情報流出の可能性
これらの事例に共通するのは、技術的な防御だけでは防げない点です。飲酒を伴う場に業務端末や紙資料を持ち込まない、やむを得ず持ち出す場合でも会合前に自宅や職場へ置く、端末にはデータを保存しない、暗号化や遠隔ロックを前提にする、といった運用ルールを平時から徹底しないと、同種事故は繰り返されやすくなります。特に、飲酒後は置き忘れ、紛失、SNS投稿、口頭での機密漏えいなど複数のリスクが同時に高まるため、持ち出し可否そのものを厳しく見直す必要があります。
情報システム部門が見るべきポイント
今回の件は、端末紛失そのものに加え、端末側の設計が被害拡大防止に機能した事例として見ることができます。報道ベースでは、端末内に情報を直接保存できない仕組みと、紛失判明後の回線遮断が効いており、結果として漏えい確認には至っていません。一方で、こうした技術的対策があっても、持ち出し端末の運用ルールや職員の行動管理が崩れるとインシデントは発生します。端末暗号化や外部通信遮断だけでなく、持ち出し条件、飲酒時の携行ルール、紛失時の即時報告を含めた運用統制が重要です。
一部参照
市の職員が「業務用ノートパソコン」紛失…飲酒後に地下鉄の駅トイレにバッグを置き忘れ…何者かが持ち去る…セキュリティ設定で個人情報の漏えいなし<北海道札幌市
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投稿者:三村
セキュリティ製品を手がける上場企業にて、SOC(セキュリティオペレーションセンター)運営およびWebアプリケーション脆弱性診断の営業に8年間従事。その後、システムエンジニアへ転身し、MDMや人事系SaaSの開発に携わる。
8年の実務経験と開発者としての知見を活かし、「セキュリティ対策Lab」ではダークウェブ調査、セキュリティインシデントの分析、および高度なセキュリティ対策解説の執筆・編集を統括しています。
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