静清信用金庫 元支店長代理を約4,200万円の業務上横領で逮捕・送検-払戻金の確認不備と現金の無施錠管理が発覚

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静清信用金庫 元支店長代理を約4,200万円の業務上横領で逮捕・送検-払戻金の確認不備と現金の無施錠管理が発覚

静岡市の静清信用金庫で発覚した顧客預金の着服事案を巡り、元支店長代理の男(36)が業務上横領の疑いで逮捕・送検されました。捜査の結果、預金の払戻金を受け取る際に支店担当者が解約理由等を確認していなかったことに加え、払戻された現金が支店の事務机の引き出しで無施錠のまま管理されていたことも判明しています。当サイトでも2026年3月、同金庫における定期預金申込金の着服発覚を報じてきましたが、今回はその後の捜査の進展にあたります。

サマリー

  • 静清信用金庫(静岡市)の元支店長代理の男(36、八木佑樹容疑者)が、業務上横領の疑いで逮捕・送検された
  • 容疑は、2025年1月から12月にかけて、金利の高い定期預金への預け替えを装い、顧客の口座からおよそ4,200万円を横領したというもの
  • 捜査関係者によれば、男が預金の払戻金を受け取る際、支店担当者は詳細な理由を聞いたり顧客に電話等で直接確認したりしていなかった
  • さらに、払戻された現金は支店の事務机の引き出しで無施錠のまま管理されていたことも判明した。男は「会社では施錠し出金時にも職員が立ち会うと定められているが、いちいち施錠していないし誰も立ち会わなかったので簡単に出金できた」と供述している
  • 男は同じ手口で別の顧客も欺いており、2026年6月17日に詐欺容疑で逮捕、7月8日に業務上横領の罪で起訴されている。今回の4,200万円の件では7月8日に再逮捕、7月10日に送検された
  • 捜査関係者への取材によれば、男は虚偽の営業活動にあたり資産の多い高齢顧客の情報を把握し、狙いを定めていた。男は「(高齢者は)デジタルに弱く、確認しないと思った」と供述している
  • 静清信用金庫は、男が合計1億8,200万円を着服したとして警察に相談しており、警察は信用金庫の管理不足の隙を突いて横領が繰り返されていたとみて、余罪も含めて捜査を継続している
項目 内容
被疑者 静清信用金庫元支店長代理・八木佑樹容疑者(36)
勤務していた支店 用宗支店
容疑 業務上横領(顧客口座からの約4,200万円の横領)
横領期間(今回の容疑分) 2025年1月〜12月
手口 「金利の高い定期預金への預け替え」と偽り資金を着服
標的とした顧客層 資産の多い高齢顧客(デジタルに疎いことを悪用)
逮捕日 2026年7月8日(今回の容疑で再逮捕、6月17日には別容疑(詐欺)で逮捕済み)
送検日 2026年7月10日
判明した内部統制の不備 払戻理由の未確認、顧客への電話等での直接確認なし、現金の無施錠管理、出金時の職員立ち会い未実施
金庫が把握する着服総額 1億8,200万円(警察に相談済み)

何が起きたか

静清信用金庫の元支店長代理の男(36)が、業務上横領の疑いで逮捕・送検されました。容疑は、2025年1月から12月にかけて、金利の高い定期預金への預け替えを装い、顧客の口座からおよそ4,200万円を横領したというものです。

男は同じ手口で別の顧客も欺いており、2026年6月17日に詐欺の疑いで逮捕され、7月8日に業務上横領の罪で起訴されています。今回の4,200万円の横領容疑については、7月8日に再逮捕され、7月10日に送検されました。男は警察の調べに対し容疑を認めており、「正確な数字は覚えていないが、4,000万円くらいは盗った」と供述しているとされています。

捜査関係者への取材によれば、男は虚偽の営業活動を行うにあたり、資産の多い高齢顧客の情報をあらかじめ把握し、狙いを定めていたことが分かっています。男は「信金のお客さんは年齢層が高く、ネットやデジタルに疎いので、わざわざネットで証書や取引を確認することはないと踏んでいた」と供述しており、顧客がインターネットで自身の取引履歴を確認する可能性が低いことを見込んで犯行に及んでいたとみられています。一方で、被害に遭った顧客の中には、男の営業ノルマ達成に協力するため取引にたびたび応じており、それが結果的に犯行の発覚を遅らせた側面もあったとされています。

判明した内部統制の不備

今回の捜査で特に注目されるのは、犯行を可能にした金庫側の内部統制の不備です。捜査関係者によると、男が預金の払戻金を受け取る際、支店担当者は詳細な理由を聞いたり、顧客に電話等で直接確認したりしていませんでした。

さらに、払戻された現金は支店の事務机の引き出しで無施錠のまま管理されていたことも判明しています。男は「会社では施錠し出金時にも職員が立ち会うと定められているが、いちいち施錠していないし誰も立ち会わなかったので簡単に出金できた」と話しており、社内規程自体は整備されていたものの、実際の運用では形骸化していた実態が浮き彫りになっています。静清信用金庫は、男が合計1億8,200万円を着服したとして警察に相談しており、警察は男が信用金庫の管理不足の隙を突いて横領を繰り返していたとみて、余罪も含めて捜査を継続しています。

当サイトで以前報じた通り、静清信用金庫では2026年3月にも、定期預金申込金の着服が発覚したことを取り上げていました。今回の逮捕・送検は、この着服事案を巡るその後の捜査の進展にあたり、実際の手口と内部統制の不備がより具体的な形で明らかになったものです。

情報システム部門・管理部門への示唆

今回の事案が示す最大の教訓は、社内規程が「存在すること」と「実際に守られていること」の間には大きな隔たりがあるという点です。静清信用金庫には、出金時の施錠管理と職員の立ち会いという規程が明文化されていたにもかかわらず、日常業務の中でその運用が徹底されておらず、結果として顧客資産を横領する隙を生み出してしまいました。金融機関に限らず、現金や重要書類の管理に関する社内規程を整備している組織は、規程の存在自体に安心せず、実際の運用が形骸化していないかを定期的に抜き打ちで確認する仕組みを設けることが重要です。

あわせて、今回のように「金利の高い商品への切り替え」等を名目に顧客から資金を預かる業務プロセスにおいて、担当者からの申告のみに依拠し、顧客本人への直接確認(電話等)を省略していた点も、重大な統制上の欠陥です。特に、当該顧客が高齢でデジタル機器の操作に不慣れであることを前提に、オンラインでの取引確認を行わないだろうという想定のもとで犯行が行われていた点は、デジタル格差そのものが不正の温床になりうることを示しています。顧客層に高齢者が多い金融機関・事業者にとっては、オンライン通知だけに頼らず、書面や電話による定期的な取引確認を組み合わせることが、こうした「デジタルに疎い顧客」を狙った内部不正への対策として有効です。

当サイトで以前まとめた横領調査の進め方でも指摘した通り、多重チェック体制の導入、職務分掌の明確化、定期的な内部監査の実施、現金管理の厳格化といった基本的な内部統制の徹底が、金融機関における顧客資産保護の根幹であることを、今回の事案は改めて示しています。

出典