
2025年4月29日、SonicWall(ソニックウォール)は同社製品「SMA100シリーズ」に関する複数の脆弱性についてアドバイザリ(SNWLID-2023-0018、SNWLID-2024-0018)を更新しました。このうち、CVE-2023-44221(OSコマンドインジェクション)とCVE-2024-38475(パストラバーサル)の2件を組み合わせた攻撃が可能であることが新たに明らかになり、JPCERT/CCからも国内利用者に対して注意喚起が行われています。
特に、watchTowr Labsが5月2日に公開した実証コード(PoC)により、サイバー攻撃が現実化するリスクが高まっており、対策が急務となっています。
目次
対象製品と影響範囲
脆弱性の影響を受けるのは以下のSonicWall製品です。
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対象モデル:SMA 200、210、400、410、500v
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影響バージョン:
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CVE-2023-44221:10.2.1.9-57sv以前
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CVE-2024-38475:10.2.1.13-72sv以前
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なお、SMA1000シリーズは影響を受けません。
CVE-2024-38475(パストラバーサル)
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Apache HTTP Serverの脆弱性を悪用し、攻撃者が不正にファイルシステムへアクセスできる可能性。
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セッションハイジャックや管理者権限への侵害リスクが指摘されています。
CVE-2023-44221(OSコマンドインジェクション)
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特定の診断メニューの処理ミスにより、認証後に任意コマンドが実行可能。
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攻撃者は特権昇格なしに“nobody”権限でコマンド実行が可能。
これら2つの脆弱性は連鎖的に悪用され、未認証の第三者が最終的にターゲットデバイスを完全に制御する恐れがあります。
JPCERT/CCおよび関連機関からの推奨対応
JPCERT/CCおよび米国CISA(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)は、以下の対応を強く推奨しています。
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最新バージョン(10.2.1.14-75sv以降)への早急なアップデート
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管理画面へのアクセスログや認証情報の確認・異常検知の強化
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必要に応じた機器のフォレンジック調査の実施
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ファイアウォール・VPNゲートウェイの設定見直し
米国では、CISAが本脆弱性を「既知の悪用脆弱性(KEV)カタログ」に追加しており、5月22日までにパッチ適用を義務付けています。
watchTowr Labsによる実証内容とリスク
セキュリティ企業watchTowr Labsは、以下のような攻撃シナリオを確認しています。
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CVE-2024-38475を用いて管理画面へ不正アクセス
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セッションハイジャックにより認証トークンを奪取
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CVE-2023-44221を利用して“nobody”権限で任意コマンド実行
さらに、PoCコードが一般公開されたことで、悪意ある攻撃者による悪用リスクが急速に高まっています。