東京エレクトロン株式会社は 2025年12月3日、台湾子会社 Tokyo Electron Taiwan Ltd.(以下、東京エレクトロン台湾)が、顧客の機密情報漏えい事案を巡り台湾検察当局から起訴されたと発表しました。同社本体(日本の東京エレクトロン株式会社)が起訴された事実はないとしています。
今回の起訴は、世界最大級の半導体受託製造企業である台湾積体電路製造(TSMC)の技術情報が流出したとされる「内通(内鬼)事件」に関連しており、台湾メディア各社も大きく報じています。
目次
台湾検察「具体的な防止策の証拠欠如」 法人に最大約6億円の罰金請求
台湾検察当局は、東京エレクトロン台湾には元従業員を監督する法的義務があったにもかかわらず、
内部規範はあるものの「具体的な防止管理措置を実施した証拠に欠ける」と判断し、
法人としての刑事責任を負うべきだと結論付けました。
検察は営業秘密法および国家安全法違反で同社を起訴し、
最大で新台湾ドル1億2,000万(約6億円)の罰金を科すよう裁判所に求めています。
一方で、起訴状では「東京エレクトロングループ側が組織として不正取得を指示した」といった記述や、
流出した機密情報が外部の第三者に渡った事実は指摘されておらず、
東京エレクトロン側の社内調査でも、組織的関与や機密の対外流出は確認されていないと説明しています。
同社は、この件による業績への影響も「ない」としています。
事件の経緯:TSMCが通報、元社員ら3名が先に起訴済み
台湾側の報道によると、事件はTSMCが自社技術の不正流用の疑いを当局に通報したことをきっかけに発覚しました。
・元TSMC社員で、その後東京エレクトロン台湾に転職した陳姓の技術者が中心人物とされ、
2ナノメートル世代の製造プロセスに関する機密技術の提供を元同僚らに繰り返し依頼したとされています。
・検察は2025年8月、この陳氏ら3名を営業秘密法および国家安全法違反で起訴しており、
TSMCの先端プロセス技術を海外で利用する意図があったと認定しています。
その後の捜査で、雇用主である東京エレクトロン台湾にも監督責任があると判断され、
今回、法人として追加で起訴された形です。台湾で国家安全法を法人に適用し起訴するのは「初のケース」と報じられています。
東京エレクトロン「極めて遺憾」 コンプライアンスと情報セキュリティ強化を表明
東京エレクトロンはリリースの中で、
「法令遵守および倫理基準の徹底を経営の最重要事項と位置付けており、これに反する行為は断じて容認していない」と強調。
今回の起訴については「誠に遺憾であり、極めて厳粛に受け止めている」としたうえで、
ステークホルダーに対し「多大なるご心配をおかけしたことを深くお詫び申し上げる」と謝罪しています。
同社はすでに、問題となった元従業員を解雇し、捜査には継続的に協力していると説明しています。
情報セキュリティ体制と再発防止策
東京エレクトロンは、これまでも顧客を含む機微情報の保護を「経営の最重要事項の一つ」とし、
・業界最高水準のセキュリティ基準に基づく体制構築
・社内外の専門家による24時間365日の常時監視
などを実施してきたと説明しています。
そのうえで、本件を受けて、今後は次のような対応を強化するとしています。
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グループ全体のコンプライアンス体制の強化
Tokyo Electron Taiwan Ltd.を含むグループ各社で、法令遵守・倫理遵守に関するルールと運用を再点検し、
内部監査や教育・訓練を強化する。 -
監査・チェック機能の拡充
機密情報へのアクセス権限や持ち出し管理などについて、実効性の高い監査プロセスを整備し、
早期に不正を検知できる仕組みを強化する。
同社は「こうした事案が二度と生じることがないよう、台湾子会社を含むグループ全体で再発防止に取り組む」とし、
「今後もステークホルダーの期待に応えられるよう、企業価値の向上に全社一丸となって努める」としています。
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