広島県警は2026年2月11日、勤務先企業のサーバーから機械の設計図面などのデータを私物の外付けハードディスクに複製・保存し、不正に得たとして、中国在住の元社員(40)を不正競争防止法違反(営業秘密侵害)容疑で逮捕したと報じられました。容疑の対象はデータ5件ですが、警察はこのほかにも約30万件(約270GB)に及ぶ新製品の企画書や仕様書などが保存されていたことを確認しているとされています。
目次
概要
報道ベースで整理すると、本件は外部からの侵入ではなく、元社員が在職中に与えられていた権限を利用して社内の営業秘密へアクセスし、私物媒体へ複製した疑いが中核です。特に、設計図面や新製品関連ドキュメントは競争力の源泉になりやすく、持ち出しが事実であれば、模倣・開発短縮・価格競争などの形で企業価値に直結するリスクがあります。
また、逮捕後の供述については、弁護士と面会してから話す旨のコメントが伝えられています。
原因
原因は、元社員による営業秘密の不正な複製・保存という内部不正(インサイダー)にあります。報道では、サーバー内の営業秘密を閲覧できる権限が付与されていたことが示されており、正規権限を悪用した持ち出しは、境界防御やマルウェア対策だけでは検知しづらいのが実務上の難点です。
関連事例
岩手:精密機器メーカーの営業秘密をUSBへ保存し持ち出した疑い
別事例として、岩手県奥州市の精密機器メーカーで派遣社員として勤務していた中国籍の人物が、部品に関する資料を会社PCからUSBに保存して持ち出した疑いで逮捕されたケースが報じられています。会社のセキュリティチェックで持ち出しが発覚し、外部流出は当時点で確認されていないとされています。
この事例は、私物USBなどの可搬媒体による持ち出しが依然として現場リスクであること、また検知が「事後チェック頼み」になりやすい点を示します。
関連:精密メーカーの機密情報を持ち出した中国籍の元派遣社員を逮捕
米国:元GoogleエンジニアがAI関連営業秘密窃取で有罪評決
米司法省(米司法省(Department of Justice))は2026年1月30日、元Googleエンジニアの林維威(Linwei Ding/Leon Ding)被告が、AI関連の企業秘密を盗み、経済スパイ活動と営業秘密窃取の罪で有罪評決を受けたと発表しました。
評決はサンフランシスコでの陪審裁判(11日間)を経て下され、経済スパイ活動7件、営業秘密窃取7件の計14件で有罪と認定されています。
当局は、本件を「AIに関する経済スパイ活動で初の有罪判決」と位置づけ、米国の技術的優位性や競争力を脅かす事案だと強調しています。
関連:Googleの元エンジニア、AI技術の窃取/漏洩と中国へのスパイ活動で有罪判決
情報システム部門が取るべき実務対応
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重要データへのアクセス最小化と権限の定期棚卸し
設計・仕様・新製品企画のような中核情報は、職務上必要な範囲に絞り、異動・退職前後は重点監視に切り替える運用が有効です。 -
大量コピー・大量ダウンロード・外部媒体書き込みの検知
DLP/UEBAやログ監視で、短期間に大量のファイルが複製された兆候を検知し、アラートから調査へつなげる仕組みが必要です。 -
退職・転職局面の統制強化
退職予定者のアクセス、外部送信、クラウドアップロード、外付けデバイス利用などを、ルールと技術の両面で制御し、例外運用を減らすことが重要です。
参照








