アラスカへ100万回超のスキャン、北京では習近平の祝辞。中国 清華大学が持つ二つの顔

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アラスカへ100万回超のスキャン、北京では習近平の祝辞。清華大学という機関が持つ二つの顔

2018年4月から6月にかけて、米アラスカ州の複数のネットワークに対し、100万回を超える接続が記録されました。送信元は、中国・清華大学に割り当てられたIPアドレスです。標的には州政府、天然資源局、通信事業者が含まれ、時期はウォーカー州知事が率いる通商使節団の訪中と重なっていました。この時の議題は天然ガスパイプラインでした。

同じ清華大学のキャンパスには、プリンストン、オックスフォード、イェールといった名門校の卒業生を毎年150人規模で集める全額給付の奨学プログラムがあります。創設発表は人民大会堂で行われ、習近平国家主席から祝賀書簡が寄せられました。

一方では世界各地から若手人材を迎える国際教育の場を持ち、他方では、大学に登録されたネットワークインフラが海外組織への大規模なサイバー偵察活動の発信元として観測された。この記事では、米セキュリティ企業Recorded Futureの調査を中心に、確認できる事実と、確信度の限界を整理します。

この記事のサマリー

  • 米Recorded Futureのインテリジェンス部門Insikt Groupは2018年8月、清華大学に登録されたインフラから観測されたサイバー偵察活動に関する報告書を公表しました。
  • 対象となったIPアドレスは166.111.8.246。同社は、このIPが過去にスキャン、ブルートフォース攻撃、実際の攻撃の試行の発信元となってきたとしています。
  • 2018年4月6日から6月24日にかけて、このIPとアラスカ州内の複数ネットワークとの間で100万回を超える接続が観測されました。その大部分は複数ポートへの一括スキャンで、標的には州政府、天然資源局、通信事業者TelAlaskaなどが含まれます。
  • ドイツのダイムラーAGに対するスキャンは、同社が米中貿易摩擦を理由に年間利益見通しを下方修正した翌日に始まりました。
  • 国連ナイロビ事務局、ケニア港湾局、ブラジル、モンゴルも標的となっています。Recorded Futureは、これらの偵察活動が中国の経済開発目標と整合するとし、中国国家支援アクターによる活動だったと中程度の確信で評価しています。
  • チベット系コミュニティのネットワークに関しては、新種のLinuxバックドア「ext4」が発見されました。ただし同社は、清華大学に登録されたIPからの接続試行とext4の運用主体が同一だとは断定していません。
  • 清華大学の関係者はロイターの取材に対し、疑惑は根拠がないと否定しています。
  • 同じ清華大学には、中国共産党中央統一戦線工作部を含む党・政府関係者が設立初期の選考過程に関与したと報じられている奨学プログラム「シュワルツマン・スカラーズ」があります。
  • 関連する制度環境には、2017年施行の国家情報法や軍民融合政策があります。国家情報法第7条は、組織および国民に、法に従って国家情報活動を支持・援助・協力する義務を定めています。

整理表

項目 内容
調査主体 Recorded Future Insikt Group
報告書公表 2018年8月
著者 Sanil Chohan、Winnona DeSombre、Justin Grosfelt
対象IPアドレス 166.111.8.246(CERNET、清華大学に登録されたIPレンジ内)
アラスカでの観測 2018年4月6日〜6月24日、100万回超の接続
アラスカの標的 州政府、天然資源局、TelAlaska等
時期的な一致 ウォーカー州知事の訪中通商使節団(2018年5月)
ダイムラーAG 利益見通し下方修正の翌日からスキャン開始
その他の標的 国連ナイロビ事務局、ケニア港湾局、ブラジル、モンゴル
一帯一路等との関連 中国の経済開発目標との整合をRecorded Futureが指摘
国家支援との帰属 中程度の確信(Recorded Futureの評価)
ext4バックドア チベット系被害者グループ、CentOSサーバー上に潜伏
ext4との関係 清華大登録IPがext4運用主体だったとは断定されていない
清華大学の反応 ロイターに対し疑惑を否定
関連する制度環境 国家情報法、軍民融合政策

100万回のスキャンと、通商交渉のタイミング

Recorded Futureの報告書は、チベット系コミュニティを標的とする新種のマルウェアの分析から始まりました。その過程で、侵害されたCentOSサーバーへ繰り返し接続を試みる発信元として、清華大学に登録されたIPレンジ内のアドレスが浮上します。

そこから同社は、同じIPアドレスによる他の活動を追跡しました。

もっとも規模が大きかったのがアラスカです。2018年4月6日から6月24日までの間に、このIPとアラスカ州内の複数ネットワークとの間で100万回を超える接続が観測されました。標的には、州政府、州天然資源局、通信事業者TelAlaskaなどが含まれます。

Recorded Futureによると、その大部分はTCP 22、53、80、139、443など複数ポートを対象とした一括スキャンでした。同社は、脆弱性を探索し、不正アクセスにつなげる目的だった可能性が高いと評価しています。

この時期、アラスカ州のビル・ウォーカー知事は「Opportunity Alaska」と名付けられた通商使節団を率いて中国を訪問していました。議題の中心の一つは天然ガスパイプラインの建設です。

Recorded Futureは、通商協議とスキャン活動の時期的な一致に注目しました。交渉後のアラスカ側の状況を把握し、その後の交渉で戦略的優位を得ることが目的だった可能性を指摘しています。ただし、これは通信記録から意図そのものが証明されたという意味ではなく、同社による分析です。

同じパターンは他でも観測されています。ドイツの自動車大手ダイムラーAGに対する標的型スキャンは、同社が米中の貿易摩擦の深刻化を理由に年間利益見通しを下方修正すると発表した、その翌日に始まりました。

国連ナイロビ事務局とケニア港湾局も標的となりました。ブラジル、モンゴルのネットワークへの偵察も確認されています。Recorded Futureは、こうした活動が中国の一帯一路構想などに関連する経済開発目標と整合すると評価しました。

同社は最終的に、観測したネットワーク偵察活動について、中国国家支援アクターが中国の経済開発目標を支援する目的で実行したものだと、中程度の確信で評価しています。

同社は、このIPが過去にもスキャン、ブルートフォース攻撃、実際の攻撃の試行の発信元となってきたと記しています。ポートスキャンのデータからは、PPTP(TCP 1723)、MySQL(3306)、MAMP(8888)、OpenSSH(22)など複数のサービスが稼働していました。

一方で重要なのは、このIPそのものが実際の攻撃端末だったとは限らないことです。Recorded Futureは、その構成や通信状況から、166.111.8.246がゲートウェイ、NAT、プロキシなどとして機能し、実際の発信端末がその背後に存在した可能性が高いと分析しています。

ext4という、隠密性の高いバックドア

技術的にもっとも高度だったのが、チベット系の被害者グループに対して展開されていたLinuxバックドア「ext4」です。

このバックドアは、CentOSを実行するWebサーバー上に潜伏し、常時通信を行いません。1時間ごとに起動し、約180秒間だけTCP 443宛ての特定条件を満たす通信を待ち受けます。さらに接続を成立させるためには、特定のTCPヘッダーオプションを含む通信が必要でした。

一般的な常時待受型のバックドアとは異なり、通常のポートスキャンだけでは検出しにくい設計です。

ただし、ここで重要な区別があります。

Recorded Futureが2018年5月から6月にかけて確認した、清華大学登録IPから侵害済みCentOSサーバーへの23回の接続試行では、ext4への接続に必要な正しい条件は満たされていませんでした。

つまり、清華大学に登録されたIPがext4の運用主体だったと同社が断定したわけではありません。

同社は、チベット関連ネットワークへの探索を、そのIPが行っていたより広範な地政学的・経済的偵察活動の一部として分析しています。

なぜ大学なのか

2018年に観測された活動が、以下に挙げる中国の法制度や政策によって直接指示されたことを示す証拠はありません。

一方、中国の大学や研究機関との共同研究、情報共有、ネットワーク接続を評価するうえでは、国家情報法や軍民融合という制度環境も、考慮する必要があります。

国家情報法

第一に、2017年6月に制定された国家情報法です。

その第7条は、いかなる組織および国民も、法に従って国家情報活動を支持し、援助し、協力しなければならないと定めています。

第28条は、合法的な情報活動を妨害した場合、所属先による処分、または国家安全機関・公安機関による警告もしくは15日以下の拘留を科すことができ、犯罪を構成する場合は刑事責任を追及するとしています。

ただし、同法には権利保護に関する規定もあります。第8条は情報活動において人権を尊重・保障し、個人と組織の適法な権益を守ることを求めています。第19条は情報機関とその職員による職権逸脱や濫用を禁じ、第27条には違法行為について告発・告訴した個人や組織への報復を禁じる規定があります。

論点になるのは、こうした保護規定と協力義務が実際にどのように運用されるかです。

国家情報法自体は、不当と考える協力要求について、その効力を停止する具体的な手続や、その要求そのものを司法手続で争うための仕組みを明記していません。このため、法的分析では協力要求を受けた組織がどのような手段で異議を申し立てられるのか不明確だとの指摘があります。

軍民融合(Military-Civil Fusion)戦略

第二に、軍民融合(Military-Civil Fusion)戦略です。

習近平政権の下で国家戦略として位置づけられている軍民融合は、民間や大学の研究・技術力と軍事能力との連携を強化するものです。

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)のChina Defence Universities Trackerは、中国の大学、研究機関、企業と軍・治安機関との関係を追跡しています。ASPIは2026年9月にもデータベースを拡張し、約200の中国の大学、人民解放軍関連機関、国家安全部・公安部関連組織、防衛国有企業などを対象にしています。

ただし、こうした制度的接点があることと、2018年に清華大学登録IPから観測された偵察活動の実行主体が清華大学だったことは別問題です。

大学のネットワークは、攻撃者にとって利用価値の高い性質も持ちます。研究目的の通信は多様で予測しにくく、国際共同研究のため海外との接続が日常的に発生します。この性質は、攻撃者が侵害した場合の踏み台としても、攻撃対象としても利用され得ます。

もう一つの顔——シュワルツマン・スカラーズ

同じ清華大学のキャンパスに、シュワルツマン・スカラーズがあります。

米ブラックストーン共同創業者スティーブン・シュワルツマン氏の寄付を核に設立された、1年間の全額給付型修士課程です。プリンストン、オックスフォード、イェールなど世界各地の大学から毎年150人規模を選抜し、学費、生活費、渡航費などが支給されます。オックスフォードのローズ奨学金をモデルの一つとして設計されました。

Global Taiwan Institute(GTI)のサイトには2024年11月、James Jennion氏による教育交流をめぐる論考が掲載されました。

同氏は個人の立場で執筆したと明記しており、GTIの公式調査報告書ではありません。その論考は、シュワルツマン・スカラーズについて、資金源に中国の国有企業が含まれることや、設立初期から中国共産党関係者との接点が存在したことを指摘しています。

2013年4月21日の創設発表は北京の人民大会堂で行われ、習近平国家主席とバラク・オバマ米大統領が祝賀書簡を送りました。劉延東副首相も出席し、演説しています。

なお、2016年の正式な開学式は清華大学構内のシュワルツマン・カレッジで行われました。

選考過程をめぐっても議論があります。

2020年にThe Atlanticが報じたところでは、2015年に行われた選考関連の会合には、統一戦線工作部を含む中国共産党・政府関係者が参加していました。ただし、報じられている党関係者の選考への関与は中国人参加者についてのものであり、外国人候補の選考全般に中国共産党が関与していたことを示すものではありません。

プログラム自身の現行FAQにも、選考管理について明確な記載があります。

応募・選考プロセス全体は、清華大学とニューヨークのSchwarzman Scholars事務局が共同で設計・運営しています。そのうえで、台湾、香港、マカオを含む「greater China」の募集・選考については、清華大学側スタッフが管理するとしています。

一方、FAQは、同じ選考プロセスをその他の地域の応募者にも用いるとも説明しています。

また、コホートの構成については、米国40%、中国20%、その他の世界40%という比率を「唯一の確固たる目標」としています。

中国本土出身者に課される必修科目の存在も、公式サイトで確認できます。

「The Theory And Practice Of Socialism With Chinese Characteristics For The New Era」は、中国本土出身のSchwarzman Scholarsを対象とする必修の政治・倫理教育科目です。

授業では1978年以降の中国共産党の指導理論とイデオロギーを扱い、最終課題は「中国共産党の公式文書を読み解き、分析する方法」を学ぶことを目的としています。担当教員は清華大学マルクス主義学院の教員です。

ただし、この科目は外国人スカラー全員に課されるものではありません。

また、同じカリキュラムには「Chinese Political Institutions」のように、中国共産党体制の政策決定過程、指導者の選出、中央と地方の関係、政治制度が直面する課題などを扱う授業もあります。

Jennion氏は、こうした中国の教育交流プログラムの目的の一つを、将来影響力を持つ外国人から中国への公然とした支持を得ることだと捉え、その効果が一部で見られると分析しています。

具体例として挙げるのが、同氏自身が参加した2019年の国際会議です。同氏によれば、シュワルツマン・スカラーズの卒業生が新疆ウイグル自治区の人権問題を問われ、「中国の問題」であり部外者が語るべきではないという趣旨の回答をしたといいます。

同氏自身も、すべての参加者が中国政府に好意的になるわけではないと認めています。

認知戦は台湾でより先鋭化している

教育交流とは別に、中国による対外影響力をめぐっては、台湾でより直接的な事例も報告されています。こうした情報空間での働きかけについては、認知戦とは何かでも各国の脅威認識と対応を整理しています。

台湾当局は、偽情報、偽アカウント、AIを利用したコンテンツなどを用いた情報操作について継続的に警戒しています。

近年指摘されているのが、台湾のYouTuberやインフルエンサーへの働きかけです。

GTIが2025年1月に掲載した分析によると、台湾の大陸委員会は、本人が航空券を自己負担していた場合でも、中国側の受入組織が中国到着後の滞在費を負担するケースを確認したと説明しています。

訪中後に、中国の治安の良さや都市環境などを好意的に紹介するコンテンツが発信された事例もあります。

ただし、こうした発信が中国共産党や中国側組織からの対価によって作成されたと個別に立証することは容易ではありません。

GTIの記事自身も、契約書や領収書など、発信の対価として金銭が支払われたことを示す証拠を確認することの難しさを指摘しています。したがって、招待や現地費用の負担と、その後の発信内容との因果関係は、個々のケースで分けて評価する必要があります。

表向きが文化交流やエンターテインメントであるほど、中国側の働きかけや資金関係の有無を外部から検証することは難しくなります。

米国の州レベルへの働きかけも、具体的な形で表面化しています。

2019年、北京のシンクタンク民智国際研究院(D&C Think)と清華大学側の研究機関による報告は、米国全50州の知事の対中姿勢を分析しました。

後年の米国側資料では、17人を「友好的」、14人を「曖昧」、6人を「強硬」と分類したとの整理が紹介されています。残る知事についての人数・分類は紹介資料によって記載に整合しない部分があるため、本記事では確定値として扱いません。

重要なのは、分類の人数そのものよりも、米国の州政府が独自の対中関係を構築できる点に中国側の分析が注目していたことです。

2020年2月8日、当時のマイク・ポンペオ国務長官は全米知事協会の冬季会合で、中国政府の支援を受けた北京のシンクタンクが全50州の知事を「friendly」「hardline」「ambiguous」に分類する報告書を作成したと述べました。

ポンペオ氏は、自分がどの分類に入るかは自分で考えてほしい、中国ではすでに誰かが判断している、という趣旨を述べ、多くの知事が実名で報告書に登場していると指摘しました。

そのうえで、中国との競争は連邦政府だけの問題ではなく、各州でも起きているというのが同演説の主張でした。これはポンペオ氏および当時の米政府による評価として捉える必要があります。

同じ演説でポンペオ氏は、自身が招待された米中知事協力サミットの共催団体である中国人民対外友好協会について、統一戦線工作部の「public face」だとも述べています。これも米国務長官による評価です。

当サイトでは、こうした認知戦をめぐる言説を中国国営メディアが描く琉球独立のシナリオなどで継続的に扱っています。

民主主義側の対抗措置

米国では、孔子学院の閉鎖が相次ぎました。

GAOによると、米国の大学・カレッジに存在した孔子学院は、2019年の約100から2023年には5件未満まで減少しています。

ただし、閉鎖理由は学問の自由への懸念だけではありません。

米政府説明責任局(GAO)が2023年10月に公表した調査では、回答した74校の6割超が、連邦資金を失う、あるいは受給資格を失う可能性が閉鎖判断に「大きく」寄与したと回答しています。

2019会計年度および2021会計年度の国防授権法は、孔子学院を設置する大学への国防総省資金について制限を設けました。

一方、免除制度の状況は二つの法律で異なります。

FY2019国防授権法Section 1091に基づく免除については13校が申請しましたが、2023年7月時点で承認された学校はありませんでした。

さらにFY2021国防授権法Section 1062に基づく別の免除制度については、GAOが確認した2023年5月時点で申請した大学自体がありませんでした。

孔子学院については、中国政府の資金・関与、透明性、学術自由への影響をめぐって議会や研究者から批判が出てきました。日本国内を含む関連論点は、孔子学院や日中友好協会などを用いた中国の影響力拡大でも取り上げています。

一方、GAOが2019年に調査した大学では、米大学側が運営管理権を持っていると説明したケースや、台湾・チベットなど論争的なテーマを扱うイベントが実際に開催されていた例も確認されています。

したがって、「孔子学院が一律に台湾・チベットなどの議論を封じていた」とまでは公開資料から確認できません。

GAOの調査を見る限り、実際の閉鎖判断では、学問の自由や中国政府の影響をめぐる懸念に加え、連邦資金を失うリスクが大きな要因になっていました。

孔子学院の閉鎖が進むのと並行して、米国と台湾は2020年12月、米台教育イニシアティブを立ち上げました。

台湾から米国への中国語教育人材の派遣や、米国から台湾への学生交流を拡大し、academic and intellectual freedomを守りながら中国語・英語教育を拡大する枠組みです。

日本の組織が確認すべきこと

この事案は、日本の大学、研究機関、企業にとっても直接の含意を持ちます。

学術ネットワークの位置づけを見直す

大学や研究機関のネットワークは、企業の業務ネットワークと比べて開放的に設計されがちです。セキュリティ対策Labでは、大学で発生したサイバー攻撃・情報漏洩事例と対策も整理しています。

国際共同研究のため海外との通信が日常的に発生し、多様なデバイスや研究システムが接続されます。

その性質は、ネットワークが侵害された場合、第三者への攻撃の踏み台として利用される可能性も高めます。

自組織のネットワークが外部へのスキャン、ブルートフォース、C2通信などを発生させていないかを監視できる体制があるか。InboundだけでなくOutboundの通信を確認する必要があります。

共同研究先の構造を把握する

相手機関の意図を推測するより、検証できる構造を確認する方が実務的です。

資金の出所、意思決定の所在、研究内容、データの保存場所、そして適用される法制度です。

中国の組織は国家情報法上、法に従って国家情報活動を支持・援助・協力する義務を負う法制度下にあります。

これは「中国の組織はすべて情報機関にデータを渡す」という意味ではありません。

ただし、機微情報を含む共同研究やデータ共有を評価する際には、契約条件や技術的なアクセス制御だけでなく、相手方に適用される法制度もリスク評価の対象に含める必要があります。

通商交渉や重要な意思決定の前後に警戒を上げる

Recorded Futureの観測で印象的なのは、偵察活動と経済イベントのタイミングです。

アラスカの通商使節団、ダイムラーの利益見通し下方修正。一部の偵察活動は、外部から予測可能な重要イベントの前後に集中していました。

すべてのスキャンがこうしたイベントと関連しているわけではありません。

しかし、重要な交渉、M&A、決算発表、大型契約、新製品発表などの前後に監視レベルを上げることには、サイバー防御上の合理性があります。

海外の奨学プログラムへの参加を、個人の判断だけに委ねない

従業員や研究者が海外の全額給付プログラムへ参加すること自体を問題視する必要はありません。

一方で、企業や研究機関の立場から見れば、外部組織から提供される渡航費、生活費、研究費、人的ネットワークなどについて、利益相反や情報管理の観点から一定の申告ルールを持つことには意味があります。

重要なのは参加を禁止することではなく、どのような資金・組織・法制度の下で活動するのかを把握できる仕組みを整えることです。

出典