BAE システムズへのサイバー攻撃、米国の全連邦破産裁判所で通知業務が停止―委託先システム「BNC」に障害

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BAE システムズへのサイバー攻撃、米国の全連邦破産裁判所で通知業務が停止―委託先システム「BNC」に障害

米国連邦裁判所事務局(Administrative Office of the U.S. Courts)は2026年10月15日、政府の委託先であるBAE Systemsが運用する「Bankruptcy Noticing Center(BNC)」がサイバーセキュリティ事案の影響を受け、全米の連邦破産裁判所で破産手続きに関する通知の作成・配信が停止していると公表しました。

BNCは、債務者や債権者などに対する破産手続きの通知を作成・送付する共通システムです。BAE Systems側の障害が各地の裁判所へ波及し、関連する複数のWebサイトも利用できなくなりました。一方、少なくとも一部の裁判所では電子申立てや、BNCとは別系統の通知メールは継続しています。米国の連邦裁判所全体が停止した事案ではありません。

BAE Systemsへのサイバー攻撃と裁判所業務への影響のサマリー

  • 米国の裁判所向け業務を受託するBAE SystemsのBNC関連ITシステムがサイバーセキュリティ事案の影響を受けました。
  • 障害は2026年10月9日から発生し、BAE Systemsが同日、米連邦裁判所事務局へ連絡しました。
  • 米連邦裁判所事務局は10月15日にサイバーセキュリティ事案と業務への影響を公式発表しました。
  • BNCは全米の連邦破産裁判所向けに通知を作成・配信する共通基盤で、電子通知・郵送通知の処理が中断しています。
  • bnc.uscourts.gov、bankruptcynotices.uscourts.gov、notices.uscourts.gov、National Creditor Registration Serviceの関連サービスが利用できなくなりました。
  • BAE Systemsは、事案の影響がBNCシステムに限定されるとメディアへの回答で説明し、米連邦裁判所事務局と対応を進めています。
  • サウスカロライナ州などの破産裁判所は、別系統のCM/ECFによる電子申立て通知メール(NEF)は稼働していると案内しています。
  • テキサス北部地区などは申立ての受付・事件の処理を継続しつつ、必要に応じた期限変更などの措置を案内しています。
  • 侵入経路、ランサムウェア使用の有無、情報流出の有無や件数について、確認された公式発表はありません。
項目 内容
公表主体 米連邦裁判所事務局(Administrative Office of the U.S. Courts)
委託事業者 BAE Systems
障害発生・連絡 2026年10月9日
公式発表 2026年10月15日
影響を受けた仕組み Bankruptcy Noticing Center(BNC)の通知作成・配信および関連Webサービス
業務上の影響 全米の連邦破産裁判所向け通知の作成と電子・郵送による配信の中断
対応 BAE Systemsと米連邦裁判所事務局による調査・復旧対応、各裁判所の暫定運用

10月9日に障害を連絡、10月15日に米連邦裁判所事務局が公表

アーカンソー州東部・西部地区の連邦破産裁判所は10月13日付の案内で、BAE Systemsが10月9日遅くに米連邦裁判所事務局へ障害を通知したと説明しています。通知の処理に使うシステムだけでなく、関連Webサイト、電子通知と紙の郵送通知を支える処理も中断しました。

10月15日、米連邦裁判所事務局は、BAE SystemsのBNC関連システムがサイバーセキュリティ事案の影響を受けたことを公式発表しました。事務局は各裁判所と連絡を取りながら、同社と復旧について調整しています。

BAE Systemsの広報担当者は、BleepingComputerの取材に対し、今回のセキュリティ事案はBNCシステムに限定され、対処に向けた措置を講じていると説明しています。これは同社担当者の回答として報じられたものであり、同社グループの防衛・機密システム全般が被害を受けたと示す情報ではありません。

障害を受けたBNCとは―全米の破産手続き通知を担う共通基盤

BNCは、米国の各連邦破産裁判所に代わり、破産手続きに関する通知を作成し、関係者へ届けるための仕組みです。通知には電子的な方法と郵送による方法があり、複数の裁判所が同じ委託先のシステムを利用しています。

今回、米連邦裁判所事務局が利用不能と公表したのは、BNCの本体サイト、通知確認に関わるWebサイト、債権者の登録・通知に関係するNational Creditor Registration Serviceなどです。また、関係者の送付先住所情報を参照する機能にも影響が生じました。

特定の裁判所だけが攻撃されたのではなく、全国共通の通知基盤に障害が生じたため、各地の連邦破産裁判所の業務に影響が広がりました。ただし、破産事件の受理や裁判そのものが全国一律に停止したわけではありません。

各裁判所が暫定対応―申立て継続、通知遅延に応じた期限調整も

10月15日付のテキサス州北部地区連邦破産裁判所の発表では、裁判所は引き続き申立てを受け付け、新しい事件を開始し、書類を処理するとしています。一方で、裁判所による通知・命令の送達や、破産法341条に基づく債権者集会の通知などに遅延が生じる可能性を示しています。

同裁判所は、当事者の申請や裁判所自身の判断により、必要に応じて期限の延長・再設定、審理日程の変更を検討すると案内しています。すべての事件の期限が自動的に延長されるという一律措置ではありません。また、別途命令がない限り予定済みの審理は実施するとしています。

サウスカロライナ州の連邦破産裁判所は、BNCの通知機能が停止している一方、事件管理・電子申立てシステム「CM/ECF」による電子申立て通知メール(NEF)は通常どおり稼働していると説明しています。アラバマ州南部地区では緊急性の高い通知について、弁護士が関係者へ一時的に直接連絡するよう案内しています。

このように、代替手段や手続き期限への対応は地区裁判所ごとに異なります。破産手続きの関係者は、自身の事件を扱う裁判所の最新の通知を確認する必要があります。

情報漏えい・攻撃手法は未公表、過去の裁判所システム侵害とは別事案

今回の公式発表で確認されているのは、BAE SystemsのBNC関連システムにセキュリティ事案が発生し、通知業務と関連Webサービスが停止したことです。侵入経路や攻撃者、データの持ち出し、ランサムウェアの使用については具体的な情報が示されていません。

米連邦司法機関では2025年にも電子事件管理システムのサイバーセキュリティ対策強化が公表されていますが、今回のBNC障害と同じ攻撃や侵入経路に起因するという発表はありません。両者を同一のインシデントとして扱うことはできません。

委託先システムの停止が基幹業務へ波及―企業が確認すべき点

今回の事案は、外部委託している業務基盤の一部が停止した際、そのサービスに依存する複数の組織が同時に業務上の影響を受けることを示しています。攻撃者が裁判所自体に侵入したという確認がなくても、委託先システムの停止だけで通知の滞留や期日対応が発生しました。

同種のリスクに備える際は、委託先のセキュリティ管理と契約・監督の実務と併せ、以下の観点から共通基盤への依存を確認できます。

  • 外部事業者に任せている業務のうち、停止すると法定通知や取引先への連絡、顧客対応などが止まるものを特定する。
  • 委託先の事故発生時に、誰が第一報を受け取り、影響範囲・復旧見通しを確認するかを契約・運用手順で決める。
  • 共通システムが利用できない場合に備え、手作業や別の連絡手段、代替手順を文書化する。
  • 通知や手続きの滞留が法的期限・契約上の義務に影響する場合、法務・業務部門と対応判断を共有する。
  • 復旧後は未配信分や重複配信の有無を確認し、未処理案件を照合する。

この事案は、BAE Systemsから各裁判所へ不正アクセスが連鎖したことを示すものではありません。委託先へのサイバー攻撃が、委託元の業務継続に波及したケースとして捉えるのが正確です。

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