裁判所は2026年10月15日、民事裁判書類電子提出システム「mints(ミンツ)」において、同日午前9時ごろからサインインできない、事件が表示されない、記録一覧画面が表示されないといった不安定な状態が確認されていると公表しました。原因の確認と対応を検討しており、影響を受けた個別事件については、事件が係属する裁判所への問い合わせを案内しています。
mintsは、民事裁判の申立てや書面・証拠の提出、事件記録の閲覧などに利用されるシステムです。2026年5月21日の改正民事訴訟法等の施行により、弁護士等の訴訟代理人には電子申立て等が原則義務化されていますが、裁判所は今回の障害でmintsを利用できない場合、書面による申立て等も可能だと説明しています。提出期限や期日が迫っている場合は、システムの回復だけを待つのではなく、係属裁判所との確認が必要です。
裁判所「mints」システム障害のサマリー
- 発生確認:2026年10月15日午前9時ごろ。
- 対象:裁判所の民事裁判書類電子提出システム「mints」。
- 確認された事象:サインインできない、事件が表示されない、記録一覧画面が表示されないなど、動作が不安定な状態。
- 影響する業務:電子申立て、事件情報や記録の確認、準備書面・証拠等の電子提出に支障が生じるおそれ。
- 裁判所の案内:事件の進行については係属裁判所へ問い合わせるよう案内。
- 代替措置:障害により電子申立て等ができない弁護士等の訴訟代理人についても、書面による申立て等が可能。
- 判断の基準:提出期限や裁判期日などの個別事情に応じ、書面での提出またはシステム復旧後の電子提出を検討。
- 復旧状況:10月15日夕方に確認した公式告知では、原因の確認・対応を検討中とされ、全面復旧の発表はありません。
| 項目 | 公表・確認内容 |
|---|---|
| 発表主体 | 裁判所(最高裁判所公式サイト) |
| 障害確認日 | 2026年10月15日午前9時ごろ |
| 対象システム | 民事裁判書類電子提出システム「mints」 |
| 主な不具合 | サインイン不能、事件情報・記録一覧画面の表示不良 |
| 主な利用者 | 裁判手続の当事者、弁護士等の訴訟代理人など |
| 公式の代替案 | mintsで提出できない場合の書面による申立て等 |
| 問い合わせ先 | 個別事件が係属する裁判所 |
| 障害原因・復旧時期 | 10月15日夕方の告知では原因確認・対応検討中。復旧予定は示されていない |
10月15日午前9時ごろに障害を確認、事件記録の閲覧や申立てに影響
裁判所は公式サイト「民事裁判手続のデジタル化」のお知らせ欄に、10月15日午前9時ごろからmintsの稼働が不安定になっている旨を掲載しました。具体的な症状として挙げているのは、サインインができないこと、事件が表示されないこと、記録一覧画面が表示されないことです。
mintsは、裁判所への書面の提出や裁判所からの書面の受領に利用されます。今回の不具合によって、事件情報にアクセスできない利用者は、既存の訴訟記録の確認や新たな書面のアップロードなど、通常のオンライン作業を進められない可能性があります。ただし、裁判所は全利用者が利用不能になったと発表したわけではなく、不安定な状態が確認されたと説明しています。
mintsの利用は、2026年5月21日に施行された改正民事訴訟法・改正民事訴訟規則による民事訴訟手続のデジタル化と密接に関係しています。弁護士等の訴訟代理人は原則として電子申立て等の義務がありますが、裁判所側のシステム障害は、その例外事由として扱われます。
弁護士等は書面による申立てが可能―提出期限が迫る場合は裁判所へ確認
裁判所は、今回の不具合でmintsを使った申立て等ができない場合、電子申立て義務のある訴訟代理人も、書面による方法を利用できると案内しています。最高裁判所事務総局民事局が公開する「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」46~47ページには、障害時の対応が手続段階ごとに整理されています。
期限が迫る新規申立てや控訴などでは、書面による提出を検討できます。手引では、書面で訴えを提起する際、訴状の副本や書証の写しなど、相手方への送達に必要な書類を併せて提出する必要があるとしています。手数料は、システム障害時には収入印紙による納付が可能ですが、ペイジーによる納付を待てる場合もあるため、裁判所の指示を確認する方法が示されています。
答弁書や委任状、準備書面、証拠関係資料も、必要に応じて書面や記録媒体での提出が可能とされています。一方、相手方当事者への別途の直送が必要となる場合もあるため、提出先と送付方法は係属裁判所に確認する必要があります。
期限に余裕がある場合は、システムの復旧を待って電子提出することも選択肢です。障害が発生したというだけで、法定期間や提出期限が一律に延長されると判断しないよう注意が必要です。
期日や人証調べ、判決への影響は事件ごとに異なる
mintsにアクセスできなくても、裁判期日がすべて中止になるわけではありません。裁判所の手引によれば、電磁的訴訟記録の確認ができなくても期日を実施できる場合がある一方、実際に期日を開くかどうかは審理の状況に応じて各裁判体が判断します。
証人尋問などの人証調べは電子記録の参照を前提とするため、実施が難しくなる場合があります。予定どおり進める必要がある事件では、実施の可否や必要資料について裁判所との協議が想定されています。また、電子判決書はmintsにアクセスできない状況でも言渡し自体は可能ですが、システム送達や期日の扱いは裁判体の判断によって異なります。
民事訴訟を担当する法律事務所・企業法務部門では、当日または翌営業日に提出期限・期日を迎える事件、閲覧が必要な事件記録、未提出の書面を優先して確認し、必要に応じて担当裁判所へ連絡する対応が考えられます。依頼者への連絡では、オンライン提出や記録確認ができないことと、裁判期日が変更されたことを混同しないようにする必要があります。
法律事務所・企業法務部門が確認したい対応
障害時に実施する作業として、以下が考えられます。
- 裁判所公式サイトとmintsの案内を確認し、障害・復旧情報を把握する。
- 提出期限、控訴期間、期日が迫る事件を抽出し、係属裁判所に連絡する。
- 書面提出が必要な場合は、提出方法、必要部数、送達用の副本、手数料の納付方法を確認する。
- 提出した書類の写し、連絡日時、裁判所から受けた案内、提出・受領に関する記録を残す。
- 復旧後は、書面で行った手続とmints上の記録を照合し、未提出・重複提出がないか確認する。
mintsの不具合によって、裁判記録の閲覧や送達に関する確認作業も影響を受ける可能性があります。特に複数事件を管理する事務所では、システムにアクセスできない場合の事件管理、期限の一覧化、担当者間の情報共有など、オンライン環境に依存しない業務継続手順を点検する機会となります。
なお、裁判所が公表しているのはシステムの稼働不安定という事象です。サイバー攻撃、不正アクセス、個人情報漏えいを原因・結果として確認した発表ではありません。 現時点でそれらを障害の原因と結びつけることはできません。








