沖縄県知事選で古謝 玄太 氏が初当選 辺野古容認・特定利用空港の指定容認へ、国と県の関係は転換点に

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沖縄県知事選で古謝 玄太 氏が初当選 辺野古容認・特定利用空港の指定容認へ、国と県の関係は転換点に

2026年9月13日に投開票された沖縄県知事選挙で、新人で前那覇市副市長の古謝玄太氏(42)が、3期目を目指した現職の玉城デニー氏(66)を破り、初当選を確実にしました。古謝氏は辺野古移設を容認し、県管理施設の「特定利用空港・港湾」への指定にも同意する立場を示す一方、反撃能力を持つ長射程ミサイルの県内配備については明確に認めないと回答しています。安全保障に関わる施策ごとに判断が分かれる立場であり、県政交代の影響も一律ではありません。本記事では、前県政下で国と県の判断が分かれていた論点を整理したうえで、県知事の権限が及ぶ範囲で何が変わり得るのかを、双方の立場を併記しながら検討します。

この記事のサマリー

  • 2026年9月13日投開票の沖縄県知事選で、新人の古謝玄太氏(42、前那覇市副市長)が当選を確実にしました。自民・維新・国民・参政・保守の推薦と、公明党沖縄県本部の推薦を受けていました。
  • 現職の玉城デニー氏(66)は3期目を目指しましたが及びませんでした。玉城氏は立憲民主・共産・社民・沖縄社会大衆党などの支援を受けていました。
  • 古謝氏は沖縄県政史上最年少で、1972年の本土復帰後に生まれた初めての知事となります。自民側にとっては12年ぶりの県政奪還、全県規模の選挙での勝利は約16年ぶりです。
  • 2014年の沖縄県知事選で、辺野古移設阻止を掲げた翁長雄志氏が当選して以降、現行の辺野古移設計画を容認する立場の候補が知事選で勝利するのは初めてです。
  • 古謝氏は辺野古移設について、「辺野古が唯一とは考えないが、工事が進み裁判も終結した今、別案を一から検討し直すことは返還を遅らせる」として、普天間飛行場の危険性除去の最も早い方策として容認する立場です。あわせて、普天間の返還期日を明示するよう求めています。
  • 「特定利用空港・港湾」については、沖縄県内で国管理の那覇空港、石垣市管理の石垣港、宮古島市管理の平良港がすでに指定されています。一方、県管理の石垣空港・宮古空港・中城湾港は、玉城県政下で指定に向けた合意に至っていませんでした。古謝氏は選挙期間中の琉球新報のアンケートで、この3施設について「3施設とも認める」と回答しており、県政交代によって国との調整が進む可能性があります。
  • 自衛隊配備・南西シフトについては「一定の防衛力は理解するが、無条件には受け入れられない」「地元への丁寧な説明と理解を欠いた押し付けには基本的には反対」とする条件付きの立場です。
  • さらに、反撃能力を持つ長射程ミサイルの県内配備については、古謝氏は琉球新報の候補者アンケートで明確に「認めない」と回答しています。今回の県政交代を、国の防衛政策への全面的な協力体制への転換と単純に捉えることはできません。
  • 知事の権限が及ぶ範囲には限りがあります。国が管理する那覇空港のように、知事に管理権限がない施設も存在するため、県政交代によって直ちに変わる事項と、変わらない事項を区別して見る必要があります。

整理表

項目 内容
選挙 第15回沖縄県知事選挙
投開票日 2026年9月13日
当選者 古謝玄太氏(42)前那覇市副市長、無所属新人
推薦 自民党、日本維新の会、国民民主党、参政党、日本保守党、公明党沖縄県本部
敗れた現職 玉城デニー氏(66)3期目を目指す。立憲民主・共産・社民・沖縄社会大衆党等が支援
候補者数 6人(1972年の本土復帰後で最多)
記録 県政史上最年少、本土復帰後生まれ初の知事
政治的な意味 自民側の12年ぶりの県政奪還、全県選挙での勝利は約16年ぶり
辺野古をめぐる意味 2014年の知事選で翁長雄志氏が当選して以降、現行計画を容認する立場で知事選に勝利した初のケース

選挙結果の概要

沖縄県知事選挙は2026年9月13日に投開票され、新人で前那覇市副市長の古謝玄太氏が当選を確実にしました。古謝氏は1983年生まれの42歳で、那覇市出身、東京大学を卒業後に総務省へ入省し、内閣官房で沖縄振興や米軍基地跡地利用に従事したほか、長崎県庁への出向を経て那覇市副市長を務めた経歴を持ちます。





今回の選挙は、現職の玉城デニー氏との事実上の一騎打ちとなりました。立候補者は6人で、1972年の本土復帰後では最多です。古謝氏は自民党、日本維新の会、国民民主党、参政党、日本保守党の推薦に加え、公明党沖縄県本部の推薦も受けていました。一方の玉城氏は、立憲民主党、日本共産党、社民党、沖縄社会大衆党などの支援を受けていました。

古謝氏は選挙戦で、県民所得の倍増、子育て支援の倍増、観光消費の倍増という3つの数値目標を前面に掲げ、経済政策を中心に訴えました。辺野古移設については容認する立場を明確にしています。

2014年の知事選で、辺野古移設阻止を掲げた翁長雄志氏が当選して以降、現行の辺野古移設計画を容認する立場の候補が知事選で勝利したのは、今回が初めてです。辺野古移設への反対を旗印に結集した「オール沖縄」勢力の候補が、2014年以降の知事選で勝利を重ねてきた構図が、今回は変化したことになります。

前県政下で判断が分かれていた主な論点

安全保障に関連する施策のうち、国と沖縄県の判断が分かれ、協議が進まなかった、あるいは県が同意しなかった主な事項は以下のとおりです。それぞれ、国側の立場と前県政側の立場を併記します。

普天間飛行場の辺野古移設

国は、普天間飛行場の危険性を除去する唯一の解決策として、名護市辺野古への移設を進める立場を取ってきました。一方、玉城前知事は移設に反対し、埋立変更申請を不承認とする判断を行いました。この対立は訴訟に発展し、裁判所は県の不承認を違法と判断、2023年12月には国が代執行に踏み切っています。背景には、2019年の県民投票で埋め立て反対が約7割を占めたという民意があり、玉城氏はこれを根拠に反対の立場を維持してきました。

特定利用空港・港湾の指定

政府は、安全保障環境を踏まえ、自衛隊や海上保安庁が平素から民間の空港・港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者との間で「円滑な利用に関する枠組み」を設けた施設を「特定利用空港・港湾」としています。民生利用を主としながら、自衛隊・海上保安庁の利用にも資する滑走路や岸壁などの整備、既存事業の促進を図る仕組みです。

制度の性格については、正確に押さえておく必要があります。政府は、この制度自体が武力攻撃事態などの有事の利用を対象とするものではないと説明しています。有事における空港・港湾の利用調整は、別途、特定公共施設利用法などに基づいて行われる仕組みです。全国では2024年4月の最初の指定以降、段階的に追加され、2026年4月時点で合計57施設(24空港・33港湾)となっています。

沖縄県内では、国管理の那覇空港、石垣市管理の石垣港、宮古島市管理の平良港が、すでに特定利用空港・港湾となっています。一方、県が管理する石垣空港、宮古空港、中城湾港については、玉城県政下で指定に向けた合意には至っていません。

なお、玉城県政も一貫して反対していたわけではありません。2025年2月には、この3施設について「民間需要が十分に見込まれる」として、指定に合意する方向で調整に入ったことが報じられています。県が想定するインフラ整備には、航空会社や地元自治体から要望のあった駐機場拡張、滑走路や誘導路の強度改良、ターミナルビル拡張などが含まれていました。ただし、最終的な合意には至っていません。

また、石垣市や与那国町が指定を強く要望していた与那国空港や、与那国町が構想する新港湾は、県の検討対象に含まれていませんでした。台湾に近い離島の施設ほど対象から外れる形となり、地元紙からは「なぜ3施設だけか」という指摘も出ていました。

この制度をめぐっては、沖縄県内でも評価が分かれています。琉球新報は社説で、指定されれば軍事拠点とみなされ攻撃対象となるリスクを高める可能性があるとして、軍事利用を促す判断は受け入れられないとの立場を示しました。一方、政府は、指定を受けても自衛隊や海保の利用に大きな変化はなく、攻撃目標とみなされる可能性が高まるとはいえないと説明し、インフラ整備が進めば物流や防災にも資すると主張しています。

自衛隊配備と南西シフト

政府は南西諸島の防衛体制強化を進めており、石垣・宮古・与那国への部隊配備やミサイル部隊の展開が進んでいます。玉城前知事は、南西諸島へのこれ以上の自衛隊増強と、離島住民の生活に直接影響を及ぼす日米共同軍事訓練に反対する立場を示し、長距離ミサイルの配備によって沖縄が攻撃目標となることにも反対していました。

那覇空港の米軍使用

普天間飛行場の返還条件の一つに、緊急時における民間施設の使用が含まれており、那覇空港の使用が想定されるとの指摘があります。玉城前知事は2026年7月、台湾有事が発生した場合でも米軍による那覇空港の使用を認めないとの考えを示していました。

ただし、この点については留意が必要です。那覇空港は空港法に基づいて国が設置・管理する国管理空港であり、管理業務を担う那覇空港事務所は国土交通省の機関です。玉城氏が選挙期間中の集会で「管理は県です」と述べた発言について、沖縄タイムスはファクトチェックで「誤り」と判定しています。知事の権限が及ばない領域が存在することを示す事例です。

古謝 新知事の立場から見る変化の可能性

古謝氏が選挙期間中に示していた政策から、今後の方向性を整理します。

辺野古移設

古謝氏は、この問題の原点は普天間飛行場の危険性除去にあるとしたうえで、「辺野古が唯一とは考えないが、工事が進み裁判も終結した今、別案を一から検討し直すことは返還を遅らせる」として、最も早い危険性除去の方策として容認する立場を示しています。あわせて、普天間飛行場の返還期日を明示するよう求めており、この点について日米両政府がどう対応するかが焦点となります。

特定利用空港・港湾の指定

琉球新報が実施した候補者アンケートでは、県管理の石垣空港、宮古空港、中城湾港の3施設について指定を認めるかを問う設問に対し、古謝氏は「3施設とも認める」と回答しています。理由として、各空港・港湾が県民の暮らしを支える生活基盤であり、国の負担で滑走路や岸壁の整備が進むことは平時の物流や観光にも、災害時の救助や避難にも資すると説明しています。ただし、地元への丁寧な説明と住民生活への配慮が前提だとしています。

前県政下ではこの3施設の指定に向けた合意に至っていなかったため、県政交代によって国との調整が進む可能性があります。あわせて、前県政が検討対象から外していた与那国空港や、与那国町が構想する新港湾などをどう扱うかも、今後の論点になり得ます。これらは国が指定を想定し、地元自治体からも要望が出ていた一方、県の判断で対象外となってきた施設です。新県政の方針は、現時点では明らかになっていません。

自衛隊配備・南西シフト

この点については、無条件の容認ではありません。古謝氏は、沖縄を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していることを事実として受け止め、県民の命を守る一定の防衛力は理解するとしつつ、「無条件には受け入れられない」と明言しています。重要なのは基地負担の軽減とのバランスが取れているか、地元への丁寧な説明と理解があるかであり、これを欠いた押し付けには基本的に反対する立場です。

さらに踏み込んだ回答もあります。琉球新報の候補者アンケートにおいて、反撃能力を持つ長射程ミサイルの県内配備について問われた古謝氏は、明確に「認めない」と回答しています。南西諸島への自衛隊配備強化そのものは条件付きで受け入れる姿勢を示す一方、長射程ミサイルの配備という個別の論点については、前県政と同様に反対の立場を取っていることになります。

この点は、今回の県政交代を「国の防衛政策への全面的な協力体制への転換」と単純に捉えることができない理由の一つです。古謝氏の立場は、施策ごとに判断が分かれる、より個別具体的なものだといえます。






日米安全保障条約と基地負担

古謝氏は、日本の平和と沖縄の安全を守るには外交努力を基本としつつ、日米安全保障体制と自衛の力も必要だとしています。同時に、国土面積の0.6%の沖縄に負担が集中する現状は変えなければならないとし、安保は維持しつつ負担は減らすという立場を示しています。嘉手納より南の米軍基地返還を着実に進め、跡地利用計画を早期に策定することも掲げています。

安全保障上の影響をどう見るか

今回の県政交代が、日本の安全保障政策に与える影響を考えるうえで、いくつか押さえておくべき点があります。

知事の権限が及ぶ範囲と、及ばない範囲





県政交代によって直ちに変わり得るのは、知事に法律上の権限がある事項です。具体的には、県が管理する空港・港湾の特定利用施設への指定に関する同意、公有水面埋立法に基づく承認・不承認の判断、県有地の使用に関する判断などが挙げられます。

一方、那覇空港のように国が管理する施設の運用、自衛隊の部隊配備そのもの、米軍の運用に関する日米間の合意といった事項は、知事の権限が直接及ぶ領域ではありません。知事の姿勢は、国との協議の円滑さや地元の理解形成に影響しますが、法的な決定権を持つわけではないという点は、区別して理解する必要があります。

南西諸島の戦略的位置づけとの関係

当サイトでは、南西諸島をめぐる安全保障環境の変化を継続的に取り上げてきました。令和8年(2026年)版防衛白書、「戦後最大の試練」と位置づけで報じたとおり、政府は現下の安全保障環境を戦後最も厳しいものと評価しています。陸上自衛隊の25式高速滑空弾の配備や、台湾の漢光42号演習が港湾・空港を敵に利用させない措置まで組み込んでいることからも、南西諸島のインフラが有事にどう機能するかが、日本と台湾双方の防衛構想において具体的な検討対象になっていることがうかがえます。

こうした文脈の中で、県管理の空港・港湾の位置づけが変わる可能性は、単なる地方行政の話にとどまらない意味を持ちます。ただし、特定利用空港・港湾の制度そのものは、平素からの円滑な利用を目的とする枠組みであり、政府は有事の利用を対象とするものではないと説明しています。有事における実際の利用調整は特定公共施設利用法などに基づく別の手続きによるため、指定の有無と有事対応とを直結させて論じることはできない点も、あわせて押さえておく必要があります。

認知戦・世論工作の観点

沖縄の基地問題は、外部からの情報工作の対象になり得るテーマでもあります。当サイトでは中国が描く沖縄独立のシナリオで、中国の国営メディアが「琉球」の帰属をめぐる言説を展開している実態を報じました。県政の方向性が変わることで、こうした対外的なナラティブがどう変化するかも、注視すべき論点の一つです。

県内世論の構造は変わっていない可能性

今回の選挙結果をもって、県民世論が一斉に転換したと結論づけることはできません。古謝氏の選挙戦は経済政策を前面に据えたものであり、辺野古容認という立場が積極的に支持されたのか、それとも経済政策や県政刷新への期待が投票行動を動かしたのかは、得票の内訳や出口調査の分析を待つ必要があります。基地問題をめぐる県内の意見の対立構造そのものは、今後も新県政の運営における制約要因として残る可能性があります。

今後注目すべき点

本記事執筆時点で、古謝氏の当選は確実となったものの、最終的な得票数や投票率の確定値、詳細な分析はこれからです。今後は以下の点が焦点になると考えられます。

  • 特定利用空港・港湾について、前県政が検討対象から外していた与那国空港、与那国新港湾、下地島空港などを新県政がどう扱うか
  • 普天間飛行場の返還期日の明示を求める新知事の要求に対する、日米両政府の対応
  • 辺野古移設工事の進捗と、県の関与のあり方の変化
  • 自衛隊配備・日米共同訓練に対する新県政の具体的な判断
  • 嘉手納以南の基地返還と跡地利用計画の進め方
  • 新県政と、辺野古移設に反対する県内勢力・県議会との関係

 

出典

【速報】沖縄知事選、42歳の古謝玄太氏が初当選確実 経済前面・辺野古容認 現職の玉城デニー氏破る——沖縄タイムス

沖縄で12年ぶり「県政刷新」へ 与党推薦新人の古謝玄太氏が知事選当確——日刊スポーツ

【まるわかり!】沖縄県知事選2026 候補者に聞いた 候補者6人の政策・回答一覧——琉球新報

沖縄県知事選2026 候補者詳細|古謝玄太——沖縄タイムス

沖縄県、管理施設の「特定利用」合意へ調整 宮古・新石垣空港、中城湾港——琉球新報

特定利用、県合意へ 新石垣空港・宮古空港・中城湾港——八重山毎日新聞

<社説>特定利用、合意を検討 軍事利用を促す判断だ——琉球新報

特定利用空港・港湾に17施設を追加、全57施設と接続道路に2026年度予算2250億円——インフラビジネス

玉城デニー氏「那覇空港の管理は県です」は誤り 国が一元的に管理【沖縄知事選ファクトチェック】——沖縄タイムス

沖縄県知事選挙が告示、事実上の一騎打ち 9月13日投開票——日本経済新聞

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