REXT Holdings株式会社は2026年8月10日、子会社であるREXT株式会社の一部社内ネットワークシステムで、ランサムウェアによる不正アクセス被害が発生していることを確認したと公表しました。REXT株式会社は、WonderGOO、WonderREX、新星堂、HAPiNS、JEANS MATEなどを運営しており、今回の被害に伴って、一部店舗の臨時休業、部分営業、営業時間変更、キャッシュレス決済等の利用制限、買い取り受付・査定の停止、ポイントサービスの休止、EC・オンラインサービスの商品発送遅延などが発生しています。
同社は、現時点の調査でREXT株式会社が保有する顧客の個人情報や取引先情報等について、外部漏えいの可能性を完全には否定できない状況だと説明しています。関係機関および個人情報保護委員会等への適切な法的報告を進めるとしており、被害状況の全容解明と原因調査が続いています。
REXTランサムウェア被害のサマリー
- REXT Holdings株式会社は2026年8月10日、子会社REXT株式会社の一部社内ネットワークシステムでランサムウェアによる不正アクセス被害を確認したと公表しました。
- 影響はWonderGOO、WonderREX、新星堂、HAPiNS、JEANS MATEおよび各種サービスに及び、一部店舗の休業、営業時間変更、決済制限、買い取り受付・査定停止、ポイントサービス休止、EC発送遅延などが発生しています。
- 顧客の個人情報や取引先情報等の外部漏えいについては、現時点で可能性を完全には否定できないとされています。漏えい有無、対象件数、ランサムウェアの種類、侵入経路は調査中です。
- REXTグループでは2026年6月にも連結子会社D&Mでランサムウェア感染が公表されており、同事案ではVPN機器経由の不正アクセスと、FAX受注データに含まれる個人情報633件の漏えい可能性が説明されていました。ただし、今回のREXT株式会社の事案と6月のD&M事案が関連するかどうかは、公式発表では示されていません。
- 小売・リユース・ECを運営する企業では、ランサムウェア被害が情報漏えいだけでなく、店舗営業、決済、査定、ポイント、配送、顧客対応に直結します。情報システム部門は、復旧計画をIT部門内に閉じず、店舗・EC・物流・カスタマーサポートを含む事業継続計画として扱う必要があります。
整理表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年8月10日 |
| 公表企業 | REXT Holdings株式会社 |
| 被害企業 | REXT株式会社 |
| 確認日 | 2026年8月9日 |
| 事案の種類 | ランサムウェアによる不正アクセス被害 |
| 影響が出ている店舗・サービス | WonderGOO、WonderREX、新星堂、HAPiNS、JEANS MATEおよび各種サービス |
| 業務影響 | 一部店舗の臨時休業、部分営業、営業時間変更、一部決済方法の利用制限、買い取り受付・査定停止、ポイントサービス休止、EC・オンラインサービスの商品発送遅延、一部サービス受付停止 |
| 漏えい情報の内容 | 顧客の個人情報や取引先情報等について、外部漏えいの可能性を完全には否定できない状況。具体的な項目、件数、外部送信の有無は調査中 |
| 対応状況 | 被害状況の全容解明、原因調査、関係機関および個人情報保護委員会等への法的報告、店舗営業状況の順次案内を実施中 |
| 個人情報保護委員会への報告状況 | 公式発表では「関係機関および個人情報保護委員会等への適切な法的報告を進める」と説明。報告完了日や速報・確報の区分は公表文からは確認できません |
| 現時点で未確認の事項 | 侵入経路、ランサムウェアの種類、暗号化範囲、外部送信の有無、漏えい対象者数、復旧完了時期 |
| 関連する過去事案 | 2026年6月にREXT Holdingsの連結子会社D&Mでランサムウェア感染が公表されています。ただし、今回事案との関連は公式には示されていません |
何が起きたか
REXT Holdings株式会社の発表によると、2026年8月9日、子会社であるREXT株式会社の一部社内ネットワークシステムにおいて、ランサムウェアによる不正アクセス被害が確認されました。REXT株式会社は、WonderGOO、WonderREX、新星堂、HAPiNS、JEANS MATEなど複数ブランドを展開しており、今回のシステム障害は店舗運営とオンラインサービスの双方に影響しています。
8月10日時点で公表されている影響は、店舗の臨時休業や部分営業、営業時間変更にとどまりません。店頭では一部のキャッシュレス決済等が利用できないほか、買い取り受付・査定、ポイントサービスにも制限が出ています。EC・オンラインサービスでは商品の発送遅延や一部サービスの受付停止が生じており、今回の事案は単なる社内IT障害ではなく、販売、決済、リユース査定、ポイント、配送、顧客対応にまたがる事業継続上の問題として見る必要があります。
同社は、被害状況の全容解明と原因調査を進めている段階であり、開示すべき新たな事実が判明した場合には速やかに公表するとしています。したがって、現時点では、どのシステムが暗号化されたのか、どの経路から侵入されたのか、ランサムウェアの種類は何か、情報が外部へ送信された証跡があるのか、といった点は未確定です。
店舗営業・決済・ポイントに影響が出ている点が重要
今回の公表で注目すべき点は、ランサムウェア被害が店舗営業の現場に直接波及していることです。小売業やリユース事業では、POS、在庫管理、会員・ポイント、査定、EC、配送、顧客問い合わせが相互に接続されています。社内ネットワークの一部が停止しただけでも、店舗で商品を販売できない、キャッシュレス決済を受け付けられない、買い取り査定ができない、ポイントを付与・利用できないといった問題につながります。
特にWonderREXのようなリユース業態では、買い取り受付と査定停止の影響が大きくなります。査定業務では、顧客情報、本人確認、商品情報、査定履歴、在庫登録、販売管理などのデータが関係するため、システム復旧時には「業務を再開できるか」だけでなく、「不正アクセス後の環境で安全に顧客情報を扱えるか」を慎重に確認する必要があります。
キャッシュレス決済やポイントサービスの制限も、利用者体験に直結します。決済方法が限定されれば来店客の購買行動に影響し、ポイントサービスが停止すれば会員からの問い合わせが増えます。ECの商品発送遅延が長引けば、キャンセル、返金、在庫引当、配送状況の確認といった後続対応も増えます。ランサムウェア被害では、暗号化されたサーバーを復旧するだけでなく、店舗・EC・カスタマーサポートの業務負荷を見込んだ対応が必要です。
セキュリティ対策Labでは、過去にもトキハインダストリー全店がランサムウェアにより臨時休業した事例や、保険見直し本舗グループでサイバー攻撃により店舗営業に影響が出た事例を取り上げています。今回のREXT事案も、実店舗を持つ企業において、サイバー攻撃が営業継続そのものを止める典型例として位置づけられます。
個人情報や取引先情報の漏えい可能性は調査中
REXT Holdings株式会社は、現時点の調査において、REXT株式会社が保有する顧客の個人情報や取引先情報等について外部漏えいの可能性を完全には否定できない状況だと説明しています。これは、漏えいが確認されたという意味ではありません。一方で、ランサムウェア被害では、暗号化だけでなく、攻撃前または攻撃中にデータを持ち出し、後から脅迫に利用する二重脅迫型の手口も広く見られます。
小売・リユース・ECの業務で扱われる情報には、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、会員番号、ポイント情報、購入履歴、買い取り履歴、配送先、取引先担当者情報などが含まれる可能性があります。公式発表では、実際にどの情報が影響対象となるかは明らかにされていませんが、仮に購入履歴や買い取り履歴、問い合わせ履歴のような文脈情報が含まれていた場合、単なる連絡先以上に悪用しやすい情報になります。
たとえば、過去の購入商品、店舗利用履歴、買い取り申込履歴を踏まえた不審なメールや電話は、一般的な迷惑メールよりも信じられやすくなります。取引先情報が含まれる場合は、請求書差し替え、支払先変更、納品遅延を装ったビジネスメール詐欺にもつながります。情報漏えいの有無が未確定な段階でも、顧客・取引先向けには、不審なメール、SMS、電話、郵便物への注意喚起を早めに出すことが望まれます。
個人情報保護委員会は、ランサムウェア事案による個人データの漏えい等またはそのおそれが発生した場合、共通様式による報告ができると案内しています。今回のREXT Holdingsの発表でも、個人情報保護委員会等への適切な法的報告を進めるとされており、今後の続報で漏えい有無や対象範囲、本人通知の方針が示されるかが焦点になります。
6月のREXTグループ子会社D&Mのランサムウェア事案との関係
REXT Holdings株式会社は2026年6月12日にも、連結子会社である株式会社D&Mで社内のファイル共有サーバーが第三者による不正アクセスを受け、ランサムウェアに感染したと公表していました。
6月のD&M事案では、2026年6月1日にFAXデータを保存するために用いていたファイル共有サーバーのランサムウェア感染が発覚し、2024年8月1日から2026年6月1日までにD&MのFAX番号へ送信されたデータに記載された個人情報の漏えい可能性が否定できないと説明されていました。対象件数は633件で、氏名、住所、電話番号等が含まれる可能性があるとされました。原因については、第三者がVPN機器を経由してD&Mのサーバーに不正アクセスしたことが判明しているとされています。
今回のREXT株式会社のランサムウェア被害と、6月のD&M事案の間に関連性があるかどうかは、公式発表では示されていません。したがって、両者を同一攻撃や同一侵入経路と断定することはできません。
ただし、同一グループ内で短期間に複数のランサムウェア関連事案が公表されている点は、グループ会社全体のネットワーク分離、VPN・リモートアクセス管理、ファイルサーバー保護、監視体制、インシデント情報共有の観点から重く見る必要があります。1社の事案として処理するのではなく、グループ全体で「同じ弱点が他社にも残っていないか」を横断的に確認することが重要です。
ランサムウェア被害で確認すべき未確定事項
今回の公表は初報に近い段階であり、まだ多くの事項が調査中です。情報システム部門やリスク管理部門が続報で確認すべき点は、大きく分けて四つあります。
第1に、侵入経路です。VPN、リモートデスクトップ、認証情報の窃取、脆弱な公開サーバー、委託先経由、クラウド設定不備など、どの経路から侵入されたかによって再発防止策は変わります。特に6月のD&M事案ではVPN機器経由の不正アクセスが説明されていたため、今回もリモートアクセス環境と認証情報管理の検証は不可欠です。
第2に、横展開と権限昇格の有無です。一部社内ネットワークシステムでの被害とされていても、攻撃者がどこまで内部を探索し、どの認証情報を取得し、どのサーバーへ到達したかを確認しなければ、安全な再開判断はできません。暗号化された端末だけを復旧しても、攻撃者が作成したアカウント、残存したバックドア、盗まれたVPN認証情報が残れば、再侵入のリスクがあります。
第3に、外部送信の有無です。ランサムウェア被害では、ファイルが暗号化されたかどうかと、ファイルが外部へ送られたかどうかは別の問題です。ネットワークログ、プロキシログ、EDR、クラウドストレージ、メール送信履歴、圧縮ファイル作成痕跡などを確認し、顧客情報・取引先情報の持ち出し可能性を評価する必要があります。
第4に、業務再開時の代替手順です。店舗営業を再開する場合でも、決済、買い取り、ポイント、配送、問い合わせ対応のどの機能を先に戻すのか、再開後にデータ不整合が起きた場合の補正手順をどうするのかを決める必要があります。小売業では、復旧を急ぐあまり、手作業の伝票や臨時処理が後から会計・在庫・個人情報管理の混乱につながることがあります。
利用者と取引先が注意すべきこと
利用者は、WonderGOO、WonderREX、新星堂、HAPiNS、JEANS MATEなどを名乗るメール、SMS、電話、SNSメッセージに注意が必要です。現時点で情報漏えいは確定していませんが、ランサムウェア被害の公表後は、便乗型のフィッシングや偽サポート連絡が発生しやすくなります。
特に、ポイント失効、注文確認、配送遅延、返金、買い取り査定、会員情報確認、決済方法再登録を装う連絡には注意が必要です。URL付きのメッセージを受け取った場合は、メール内のリンクをそのまま開くのではなく、公式サイトや公式アプリ、店頭掲示など、別経路で案内内容を確認する方が安全です。
取引先は、支払先口座の変更、請求書の再送、納品条件の変更、緊急連絡先の変更を求めるメールに注意すべきです。取引先情報や担当者情報が悪用されると、実在の取引文脈を踏まえたメールが送られる可能性があります。支払先変更や請求関連の依頼は、メールだけで処理せず、既存の電話番号や取引先管理システム上の連絡先で確認する運用が必要です。
店舗利用者にとっては、営業状況や利用可能なサービスの確認も重要です。公表時点では一部店舗で臨時休業や営業時間変更が発生しており、キャッシュレス決済、買い取り受付、ポイントサービス、EC発送にも制限があります。来店前に公式Webサイトや店舗掲示で営業状況を確認し、決済方法やポイント利用を前提にした来店では代替手段を用意しておくべきです。
情報システム部門への示唆
今回の事案は、ランサムウェアが小売・リユース・ECの現場業務にどれだけ広く影響するかを示しています。情報システム部門は、ランサムウェア対策をサーバー暗号化への備えとしてだけではなく、店舗営業、決済、ポイント、査定、配送、問い合わせ対応を止めないための事業継続策として設計する必要があります。
実務上の出発点は、重要業務と依存システムの対応関係を明確にすることです。店舗営業に必要なPOS、決済端末、在庫管理、会員・ポイント、買い取り査定、EC、配送、カスタマーサポート、会計のうち、どれが止まると営業継続が困難になるのかを整理します。システム単位ではなく、業務単位で復旧優先順位を決める必要があります。
次に、ネットワーク分離と権限管理の再点検です。店舗系ネットワーク、社内管理系ネットワーク、EC・顧客情報系システム、ファイルサーバー、バックアップ環境、認証基盤が過度に接続されていると、一つの侵入口から被害が横展開しやすくなります。管理者権限の棚卸し、不要アカウントの削除、多要素認証、VPN機器の更新、リモートアクセスの制限、EDRの展開、ログ保全を優先して確認すべきです。
バックアップについては、取得しているかどうかではなく、復元できるかどうかを検証する必要があります。ランサムウェア攻撃では、攻撃者がバックアップも暗号化または削除しようとするため、オフラインまたはイミュータブルなバックアップ、復元訓練、復旧手順書、代替端末、復旧時のネットワーク遮断手順が重要になります。JPCERT/CCも、侵入型ランサムウェア攻撃では初動対応、封じ込め、復旧方針の判断が重要だと整理しています。
店舗やコールセンター向けには、障害発生時の説明テンプレートを平時に用意するべきです。利用できない決済方法、ポイントの扱い、買い取り停止時の案内、EC発送遅延の問い合わせ、個人情報漏えい可能性への質問など、現場で同じ質問が集中します。情報システム部門だけでなく、広報、法務、店舗運営、EC、カスタマーサポートが同じ説明を使える体制が必要です。
個人情報保護の観点では、漏えいの有無が確定してから動くのでは遅い場合があります。影響範囲が確定していなくても、保有データの種類、対象システム、アクセス権限、外部送信ログ、攻撃者の到達範囲を整理し、個人情報保護委員会への報告、本人通知、取引先通知、警察相談の判断材料を早期にそろえる必要があります。
最後に、グループ会社を含む横断点検が欠かせません。REXT Holdingsでは6月にも連結子会社D&Mのランサムウェア事案が公表されており、今回の事案との関連は不明ながら、グループ会社ごとにVPN、ファイルサーバー、認証基盤、バックアップ、ログ監視の成熟度に差がある可能性があります。グループ内の一社で起きた事案を、その会社だけの特殊事情として片付けず、同じ構造の弱点が他の事業会社にもないかを確認することが、次の被害を防ぐうえで重要です。
出典
- 当社ネットワークへの不正アクセスによるシステム障害および一部店舗の営業変更について – REXT Holdings株式会社
- REXT株式会社 – REXT株式会社
- 連結子会社におけるサーバーへの不正アクセスに関するお詫びとご報告 – REXT Holdings株式会社
- 漏えい等の対応とお役立ち資料 – 個人情報保護委員会
- ランサムウェア被害防止対策 – 警察庁
- 侵入型ランサムウェア攻撃を受けたら読むFAQ – JPCERT/CC
- ランサムウェア対策特設ページ – IPA
- トキハインダストリー全店がランサムウェアにより3月31日は臨時休業 – セキュリティ対策Lab
- トキハインダストリー 全店がランサムウェアによるシステム障害から全店復旧 – セキュリティ対策Lab
- 保険見直し本舗 グループでサイバー攻撃(ランサムウェア)で一部サービス提供を一時停止 – セキュリティ対策Lab
- フェースグループでシステム障害、ランサムウェア 被害の恐れ-個人情報・取引情報への影響を調査中 – セキュリティ対策Lab
- 2026年6月 ランサムウェアの被害 事例 まとめ – セキュリティ対策Lab








