ロシア、モスクワ在住の外国人全員に位置情報追跡アプリのインストールを義務付け

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ロシア、モスクワ在住の外国人全員に位置情報追跡アプリのインストールを義務付け

ロシア下院(国家院)は2025年5月20日、モスクワおよびモスクワ州において移民の管理を強化するための新たな法律を可決しました。この法案は、移民や外国人居住者の所在確認と行動把握を目的とした複数の措置を盛り込み、「実験的な制度」として導入されます。

下院議長のヴャチェスラフ・ヴォロージン氏は、Telegram上の自身の公式チャンネルで次のように説明しています。

「この新しい仕組みにより、現代のテクノロジーを活用して移民分野での監視体制を強化し、違反や犯罪の減少に寄与することが期待されます」

法律の主な内容と対象範囲

今回の法改正により、2025年9月1日から 2029年9月1日まで以下の措置が外国人居住者に対して義務付けられることになります。

  • 所在地登録の義務化(現住所の申告)

  • 指紋採取(ダクチロスコピー)

  • 顔写真によるバイオメトリック登録

  • 携帯端末等の位置情報(ジオロケーション)による監視

加えて、移民が所在地を変更した場合、3営業日以内にロシア内務省(MVD)に届け出る義務が課されます。

この制度は、外交官とベラルーシ市民には適用されないことが明記されています。

今後の展開と他地域への拡張可能性

ヴォロージン議長は、以下のように制度の将来性についても言及しました。

「この仕組みが効果的であると証明された場合、他の地域への展開も視野に入れています」

本制度は、移民による犯罪の抑止や公的サービスとの接点強化などを狙ったものであり、国家安全保障の一環として位置づけられています。

背景と意図

ロシアにおいて移民の流入とその社会的影響に関する議論は長年続いており、治安や労働市場への影響を巡る懸念が高まっています。今回の措置はそのような背景のもと、「移民管理のデジタル化」として、新たな監視技術の導入を進める動きです。

下院による法案の可決により、今後、内務省が具体的な実施方針と運用体制の整備を進めることが見込まれます。特に位置情報監視に関しては、プライバシーや基本的人権との兼ね合いで国内外から注目を集めることになるでしょう。