東京ガスネットワーク、顧客情報約2万件を保存した業務用PCを紛失 社員が飲酒後の帰宅途中に鞄ごと紛失

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東京ガスネットワーク、顧客情報約2万件を保存した業務用PCを紛失 社員が飲酒後の帰宅途中に鞄ごと紛失

東京ガスグループの東京ガスネットワーク株式会社は2026年8月13日、顧客情報を保存した業務用パソコンを社員が紛失したと公表しました。

社員は8月5日、同僚らと飲酒した後、業務用パソコン、業務用携帯電話、社員証などが入った鞄を持って電車で帰宅する途中に鞄を紛失しました。翌6日午前0時30分ごろに紛失に気付き、同日朝に管理者へ報告しています。

紛失したパソコンには、ガス工事を行った顧客の氏名や住所など約2万件に加え、都市ガス供給の検討を依頼した顧客152件の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどが保存されていました。

業務用携帯電話は駅に届けられ、8月7日に回収されましたが、パソコンは8月13日の公表時点で見つかっていません。東京ガスネットワークは、現時点で第三者による不正操作の痕跡や、顧客情報が不正利用された事実は確認されていないとしています。

東京ガスネットワークの業務用PC紛失事案のサマリー

  • 2026年8月5日、東京ガスネットワークの社員が同僚らと飲酒した後、電車で帰宅する途中に業務用パソコンなどが入った鞄を紛失しました。
  • 翌8月6日午前0時30分ごろに紛失に気付き、同日朝に管理者へ報告しました。
  • 鞄には業務用パソコン、業務用携帯電話、社員証などが入っていました。
  • 業務用携帯電話は駅に届けられ、8月7日に回収されています。
  • 業務用パソコンは8月13日の公表時点で発見されていません。
  • パソコンには、2025年度にガス工事を完了した一部顧客の氏名・住所など約2万件が保存されていました。
  • このほか、2025年11月から2026年8月5日までに都市ガス供給の検討を依頼した顧客152件の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなども保存されていました。
  • 口座情報やクレジットカード情報などの金融機関情報は含まれていません。
  • パソコンは社員のID・パスワードによる認証が必要な設定でした。
  • 現時点で第三者による不正操作の痕跡や、顧客情報の不正利用は確認されていません。
  • 東京ガスネットワークは端末に関するセキュリティ措置を行い、警察へ届け出ています。
  • 対象顧客には個別に連絡・謝罪し、専用の問い合わせ窓口を設置します。
  • 個人情報保護委員会への報告状況は、公表資料では確認できませんでした。
項目 内容
公表日 2026年8月13日
対象組織 東京ガスネットワーク株式会社
発生日 2026年8月5日
事案 社員が飲酒後の帰宅途中、業務用PC・携帯電話・社員証などが入った鞄を電車内で紛失
漏えいの可能性がある情報 氏名、住所、電話番号、メールアドレスなど
件数 ガス工事完了顧客の情報約2万件、都市ガス供給の検討依頼顧客の情報152件
金融機関情報 口座情報、クレジットカード情報などは含まれていません
PCの保護 社員のID・パスワードによる認証が必要。ストレージ暗号化などの詳細は公表資料では確認できませんでした
不正利用 現時点で第三者による不正操作の痕跡、顧客情報の不正利用は確認されていません
対応状況 端末へのセキュリティ措置、警察への届出、対象顧客への個別連絡・謝罪、専用問い合わせ窓口の設置
個人情報保護委員会への報告状況 公表資料では確認できませんでした

同僚らと飲酒後、電車で帰宅する途中に鞄を紛失

事案が発生したのは2026年8月5日です。

東京ガスネットワークの社員は同僚らと飲酒した後、業務用パソコン、業務用携帯電話、社員証などを入れた鞄を所持して電車で帰宅していました。

翌8月6日午前0時30分ごろに鞄の紛失に気付き、同日朝に管理者へ報告しています。

会社は報告を受けた後、関係部署と連携して端末に関するセキュリティ措置を行い、警察へ届け出ました。

業務用携帯電話については駅に届けられていることが確認され、8月7日に回収しました。一方、個人情報が保存されている業務用パソコンは8月13日の公表時点でも発見されていません。

テレビ朝日や共同通信も、社員が飲酒後の帰宅途中に電車内で鞄を紛失し、パソコンが未発見の状態であることを伝えています。

約2万件に加え152件の顧客情報を保存

東京ガスネットワークが公表した対象情報は大きく2種類に分かれます。

1つ目は、同社が敷地内のガス工事を行い、2025年度に工事が完了した顧客の情報です。

対象地域は、町田市、横浜市旭区・戸塚区・泉区、横須賀市、藤沢市、茅ケ崎市、相模原市中央区・南区、大和市の一部で、ガス工事費用負担者の氏名、住所など約2万件が保存されていました。

2つ目は、2025年11月から2026年8月5日までに東京ガスネットワークへ都市ガス供給の検討を依頼した顧客の情報です。

町田市、相模原市緑区・中央区の一部の顧客が対象で、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなど152件が保存されていました。

いずれのデータにも、口座情報やクレジットカード情報などの金融機関情報は含まれていません。

なお、「約2万件」と「152件」の関係について、両者に重複する顧客がいるかどうかは公表資料では確認できません。このため、単純に合算して「2万152人」とすることは避ける必要があります。

PCはID・パスワードで保護、暗号化の有無は公表されず

紛失した業務用パソコンは、当該社員のIDとパスワードによって管理され、認証を行わなければ利用できない設定になっていました。

現時点では、第三者によるパソコンの不正操作の痕跡や、保存されていた顧客情報が不正利用された事実は確認されていません。

一方、公表資料では、SSDやHDDなどストレージ全体が暗号化されていたのか、MDMによる遠隔ロック・遠隔消去が可能だったのか、端末証明書や多要素認証が利用されていたのかまでは明らかにされていません。

ID・パスワードによるログイン制限は重要ですが、端末自体が第三者の手に渡った場合に備えるには、ストレージ暗号化やリモートワイプなど別の対策も必要です。

東京ガスネットワークは「端末に関するセキュリティ措置」を実施したとしていますが、具体的な措置の内容については公表していません。

「飲酒後の業務端末・個人情報の紛失」は繰り返し発生

業務用端末や個人情報を持った状態で飲酒し、その後の移動中などに紛失するインシデントは繰り返し発生しています。

2026年4月には、札幌市職員が業務用ノートPCを紛失した事案が発生しました。職員が飲酒後、地下鉄駅のトイレに業務用ノートPCを置き忘れたもので、端末には情報を直接保存できない仕組みが採用されていたため、個人情報漏えいのおそれはないとされました。

2026年5月には、共同通信の元記者が社貸与PC・スマホ・社員証を紛失した事案も発生しています。元記者は東京都内の複数の飲食店で友人と飲酒した後、社貸与のノートPC、スマートフォン、社員証などが入ったリュックサックを紛失しました。PCには取材相手の個人名や連絡先、取材メモ、メールなどが保存されていました。

2025年10月には、川崎市立中原中の教員が飲酒後に個人情報を含むリュックを紛失した事案がありました。教員は個人情報を含むハードディスク、USBメモリ、GIGA端末、紙書類などを許可なく校外へ持ち出し、飲酒後に帰宅する途中で路上に寝込み、リュックを紛失しました。影響する情報は延べ約1,770件以上に及びました。

さらに2025年2月には、財務省関税局職員が飲酒後に機密書類や業務用ノートPCを紛失した事案も発生しています。不正薬物の密輸事件に関する容疑者ら187人の氏名や住所が記載された機密書類と業務用ノートPCなどが入った鞄を、飲酒後の帰宅途中に紛失しました。

これらの事案は組織や情報の種類こそ異なりますが、「業務端末や重要情報を社外へ持ち出す」「その状態で飲酒する」「公共交通機関や徒歩で移動する」という流れが共通しています。

今回の東京ガスネットワークの事案も、業務端末を所持した状態で飲酒し、その後の帰宅途中に紛失しています。こうした事故を個人の注意力だけで防ごうとすると、飲酒による判断力や注意力の低下、移動時の置き忘れなどを完全には排除できません。

そのため企業側では、「業務端末を所持している場合の飲酒をどう扱うか」「飲酒予定がある日は端末を社外へ持ち出さない運用にできないか」「個人情報を保存した端末を持ち帰る必要があるのか」といったルールまで具体化する必要があります。

加えて、端末を紛失しても情報漏えいにつながりにくいよう、ローカル保存の制限、ストレージ暗号化、MDMによる遠隔ロック・ワイプなど、利用者の注意力に依存しない技術的な対策を組み合わせることが重要です。

顧客には個別連絡、専用問い合わせ窓口を設置

東京ガスネットワークは、対象となる顧客について準備が整い次第、個別に連絡して謝罪するとしています。

また、本件専用の問い合わせ窓口も設置しました。

現時点で顧客情報の不正利用は確認されていませんが、パソコンそのものが未発見である以上、第三者の手に渡っている可能性を完全に排除することはできません。

個人情報保護委員会への報告については、8月13日の公表資料では確認できませんでした。

今後パソコンが発見された場合には、発見場所や端末の状態に加え、起動・ログイン・外部接続などの痕跡を確認することが重要になります。

フィッシングやなりすましなどの二次被害に注意

現時点で、紛失したパソコンに保存されていた顧客情報が不正利用された事実は確認されていません。

一方、対象情報には氏名や住所のほか、一部の顧客について電話番号やメールアドレスも含まれています。

仮に第三者が情報を取得した場合、東京ガスや東京ガスネットワーク、工事会社などを装い、「ガス工事費の確認」「供給手続き」「契約情報の更新」などを理由に連絡するなりすましやフィッシングに利用される可能性があります。

また、実際にガス工事を行った地域や、都市ガス供給を検討したという情報と氏名・住所が組み合わされることで、一般的な迷惑メールより信頼性が高く見える連絡に悪用される可能性もあります。

対象となる顧客は、東京ガスグループを名乗る連絡であっても、身に覚えのない支払いや個人情報の追加提供を求められた場合には、メールやSMSに記載された連絡先ではなく、公式サイトに掲載された窓口から確認することが重要です。

情報システム部門への示唆

今回の事案では、約2万件の顧客情報をローカルに保存した業務用パソコンが、社員の移動中に物理的に紛失しました。

最初に確認すべきなのは、そもそも業務端末へ大量の個人情報をローカル保存する必要があるのかという点です。

札幌市のPC紛失事案では、端末の記憶媒体に情報を直接保存できない仕組みが採用されていました。VDIやクラウドストレージ、ファイルサーバーなどを利用し、業務端末には個人情報を極力残さない設計にすれば、端末紛失時の影響を大幅に抑えられます。

ローカル保存が必要な場合は、フルディスク暗号化、強固な端末認証、一定回数の認証失敗によるロック、MDMによる遠隔ロック・ワイプなどを組み合わせる必要があります。

さらに、重要データを保存する端末については、社外持ち出しの必要性や保存期間を定期的に見直し、業務終了後も個人情報を残し続けない仕組みが重要です。

今回のような飲酒後の紛失を考えると、技術対策だけでは不十分です。業務端末を携行している状態での飲酒を制限する、飲酒予定がある場合は端末を会社に保管する、直帰が必要な場合には会社指定の保管方法を利用するなど、具体的なルールを決めることも検討すべきです。

また、紛失発覚から管理者への報告、端末の遠隔措置、アカウント無効化、警察への届出までを迅速に行えるインシデント対応手順を平時から整備しておく必要があります。

 

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