CAC(Customer Acquisition Cost)とは?計算方法やCPAとの違いを解説!
事業を継続していくためには、トップラインである売り上げを伸ばしていくだけでは継続できません。いかに利益を上げていくか、コスト意識が非常に重要となってきます。
本記事では、新規事業を行う上で重要となる指標「CAC」にスポットを当てて紹介していこうと思います。
目次
CAC(顧客獲得コスト)とは?
CACは「Customer Acquisition Cost」を略したマーケティング用語で、顧客獲得単価あるいは顧客獲得費用、などと呼ばれています。1顧客を獲得するためにどれだけの費用をかけたか、を把握するための指標です。
CAC(顧客獲得コスト)とCPAの違い
CACと似た用語として、CPA(「Cost Per Acquisition」「Cost Per Action」)があります。顧客を獲得するためにどれだけの費用をかけたか、を把握する点では意味は同じですが、両者は使用される場面が異なるものと理解して頂ければと思います。
CACは、主に自社サービス全体の顧客獲得単価を指し、顧客一人を獲得するために費やした全ての費用を意味します。CPAは主にWebなどでの広告運用をする際に使われることが多く、コンバージョン(お問い合わせ数や購入数)を1回獲得するためにかかった費用について指すことが多くなっています。
CACの計算方法
CACの計算は下記の計算式で算出することができます。
CAC = 新規顧客獲得に関する費用の合計 ÷ 新規顧客獲得数
例えば、新規顧客獲得に関する営業の費用が100万円/月、広告費などのマーケティング費用が50万円/月、新規顧客獲得数が5件/月の場合、CACは150万円(新規顧客獲得に関する営業費用100万円/月+広告費などのマーケティング費用50万円/月)÷5(新規顧客獲得数5件/月)=30万円となります。
ここでの注意点としては、営業及びマーケティング費用はあくまで新規顧客獲得に関する費用と認識して下さい。
また、期間の考え方について、ここでは月単位で計算しましたが、費用の変動が大きい場合などは3ヵ月(四半期)、1年、などより長い期間で区切って算出することも可能です。
CAC(顧客獲得単価)を把握する重要性
冒頭でコスト意識は重要でありCACを把握する必要があると説明しましたが、下記2点においてCACを把握する必要があります。
- 広告出稿メディアの決定
- ユニットエコノミクスの把握
広告出稿メディアの決定
繰り返しにはなりますが、CACは1顧客を獲得するための費用を指す指標です。つまりは、CACはより低い方が望ましいという指標を示します(但し、CACが低くても利益が少ないというケースは、運用の失敗につながりますので注意が必要です)。
広告出稿を行う上でメディアの選定が非常に重要となりますが、メディアはSNSを含むインターネット広告、新聞広告、郵送・電子メールでのダイレクトメール、FAX・DMなど、さまざまな広告媒体があります。算出式の分母となる費用について、どのような媒体を使うとどれだけの費用がかかるか、各メディアを使用した際の費用感を認識するとともに、各メディア媒体を通じてどれだけの新規顧客を獲得できるか、施策ごとのCACを算出することで、どのメディアで広告を打つべきかを考える材料となります。
ユニットエコノミクスの把握
突然に「ユニットエコノミクス」という単語を使用させて頂きましたが、「ユニットエコノミクス」とは、顧客1人の生産性を表す指標を表します。
今日において、サービスを提供する機会は1回の単発ではなく、サブスクリプションなどのビジネスモデルの場合などは複数回の機会があります。複数回のサービス提供の機会を捉えて、いかに投資を回収できるかを算出するための指標と言えます。
ユニットエコノミクスを算出するための計算式は以下の通りです。
ユニットエコノミクス=LTV÷CAC
ユニットエコノミクスは、事業の将来性を確認するために利用されており、企業が新規事業を展開する際に追加で投資が必要かを判断するための指標として用いられています。
ユニットエコノミクスを算出するために必要なLTVについて
LTVとは「Life TIme Value(顧客生涯価値)」の略であり、一人の顧客が生涯のうちで企業に対してもたらす利益を表します。つまり、一人の顧客が生涯を通じて当該サービスを利用し利益をもたらしたかを示す数値になるため、LTVを向上させることは間接的に既存顧客を維持することを意味します。
LTVを算出する主な計算式は以下の通りです。
LTV=平均購買単価 × 平均購買頻度 × 平均継続期間
なお、CACを加味すると下記計算式となります。
LTV=(平均購買単価 – 顧客獲得単価(CAC)) × 平均購買頻度 × 平均継続期間
LTV(利益)がCAC(顧客獲得コスト)を上回っている場合は良い状態、逆に、LTVがCACを下回っている場合は悪い状態と言えます。また、LTV/CAC(=ユニットエコノミクス)を計算することで、一顧客あたりの収益性を調べることができます。
なお、ユニットエコノミクスは3以上であることが望ましいと言われています。つまりLTVがCACの3倍以上あれば、企業は健全な状態にあると言われています。
但し、ここでの注意点はユニットエコノミクスは高ければ高いほど良いということではないことです。つまり、分母であるCAC(顧客獲得コスト)を上げていないことで、ユニットエコノミクスが高く出る場合があり、その場合、新規顧客を獲得できる機会を逃しているという考え方も成り立つためです。
ユニットエコノミクスが伸びていなくとも、例えば、CACが上がっていて、LTVも比例して上がっていれば、費用対効果が良い施策と理解することができます。
CACやLTVなどの個別の指標だけを見るのではなく、広い視野で事業の全体観を掴んだうえで、このような指標を活用すると良いでしょう。
CAC(顧客獲得コスト)の構成要素
顧客獲得単価は、顧客を獲得した方法によって、さらに以下の3種類に分類されます。
- Organic CAC
- Paid CAC
- Blended CAC
Organic CAC
「Organic CAC」は自然に増加する顧客獲得コストのことを指します。例えば、既存顧客からの紹介や口コミ、検索からの流入などがOrganic CACに分類されます。
計算式で表すと下記の計算式で求められます。
Organic CAC=自然に増加する顧客に費やしたコスト÷自然増チャネルからの新規顧客獲得数
Paid CAC
「Paid CAC」は、Web広告など、広告に対して企業自らコストをかけて顧客を獲得したコストを意味します。マーケティング活動においては、一般的に「Paid CAC」の指標に重きを置かれます。
計算式で表すと下記の計算式で求められます。
Paid CAC=有料の顧客獲得チャネルに費やしたコスト÷有料チャネルからの新規顧客獲得数
Blended CAC
「Blended CAC」は、「Organic CAC」と「Paid CAC」の両方を合わせた全体の顧客コストを意味します。
計算式で表すと下記の計算式で求められます。
Blended CAC=(全営業コスト+全マーケティングコスト)÷新規顧客の獲得数
まとめ
本記事では、CACにまつわる記事をご紹介してきました。皆さまの日々のマーケティング活動に貢献できると幸いです。
ここまでお読み進めて頂きありがとうございました。