営業代行の費用相場、依頼する際のポイントやメリット、デメリット
ビジネスを展開する上でスピードが求められる昨今において、いかに早く顧客を獲得できるかは従前にも増して求められてきています。しかしながら、競争が激化するマーケットでは新規顧客の獲得や市場の開拓は容易ではありません。日々変わりゆくマーケットにおいて、営業力を高めるためにも営業代行サービスを利用し、迅速にマーケットに参入することは理に適っていると言えます。但し、多くの営業代行サービスが存在しており、選び方を気を付けないとあまり成果が出ず、失敗してしまうこともあります。
今回記事では営業代行サービスを利用する際のポイントやメリット、デメリット、また、費用相場などについて紹介していきたいと思います。
目次
営業代行サービスとは
営業代行サービスとは読んで字のごとくですが、依頼主企業の営業に関わる業務を請け負うサービスです。営業代行サービスと言っても、そのサービス範囲は多岐に渡り、営業リストの作成やリード獲得など、営業過程における代行サービスの範囲は様々です。イメージしやすいようにここでは、簡単に営業代行サービスの内容をご紹介します。
- ターゲットリストの作成
- テレフォン・アポイントメント
- DMや広告の作成、発送
- リードジェネレーション
- リードナーチャリング
- インサイドセールス
- 商談
- フォーム送信
- 営業コンサルティング
- 市場調査
- 営業マニュアルの作成
営業代行サービスは、業務の範囲や得意分野が営業代行会社により異なるため、自社が営業にどのような課題を持っているかを把握した上で、自社の営業課題を解決できる依頼先を選ぶことが重要です。
なお、営業の課題はBtoBとBtoCで異なるため、下記に簡単にBtoBとBtoCの営業活動の違いを紹介します。
BtoBとBtoCの営業代行サービスの違い
BtoBの営業
- 対象:企業・組織
- 意思決定者:複数の事業部門担当者
- 検討期間:長期(1ヵ月~数ヵ月)
- 単価:高額
- 判断基準:コスト重視
- 備考:合意形成に時間がかかる
BtoCの営業
- 対象:消費者
- 意思決定者:個人
- 検討期間:短期(1日~数日)
- 単価:少額
- 判断基準:感情・嗜好性
- 備考:決断は早い傾向
営業代行サービスを利用するメリット
ここでは、営業代行サービスを利用するメリットについて4点紹介していきます。
即戦力となる営業人材の確保
営業代行サービス業者は営業戦略やマーケティング手法に精通した営業のプロが在籍しています。経験豊富な営業のプロは数多の商材をこれまで取り扱ってきており、それを元にした営業ノウハウを備えています。新規市場の開拓や商品の拡販には、特にその強みが発揮されます。
会社を立ち上げたばかりで自社に営業の経験やノウハウがない場合や、高いスキルを持った営業人材を自社で抱えていない場合には、営業代行サービスは好都合なサービスです。営業代行サービスを利用することにより、営業力が一気に高まる可能性があります。
営業ノウハウの蓄積
営業代行サービスでは、コンサルティングからサポートを行ってくれる会社もあり、このような営業代行サービスに依頼すると、システム化された営業プロセスに則り、サービス依頼主企業の組織作りに取り組んでくれます。自社の営業課題は何なのかなど、自社の営業プロセスに対する課題を分析し、分析結果に基づいた営業戦略も考えてくれます。
営業に関わる組織作りで営業代行サービスを利用することで、営業に関わるプロセスのノウハウを自社に蓄積することができ、属人的でない営業活動の礎を構築することへの貢献が期待できます。
人件費を抑えることができる
新入社員を一から育てなくても良いため、採用や教育のコストがかからない点がメリットとして挙げられます。固定費である人件費を抑制することができます。
企業の考え方にはよりますが、短期集中型で自社商品やサービスを広げていくためには、費用対効果の面で有効と言えます。
事業の拡大・縮小がスムーズに行うことが可能
新規市場の開拓には当然リスクが伴います。ビジネスを急拡大するタイミングで営業代行サービスを利用することにより、うまくいけば売上げなど数値面での結果がついてきますが、仮に思うような結果が出ていない場合には、営業代行サービスは期間限定型の契約も可能なため、早期判断し、損失を最小限に抑えることも可能です。社員として営業メンバーを雇ってしまうと、柔軟性が損なわれてしまう可能性もあります。自社が展開する商品やサービスの局面に応じて、営業代行サービスを利用することは非常に有効な手段と言えます。
営業代行サービス利用のデメリット
上記では営業代行サービス利用のメリットについて紹介しましたが、一方でデメリットも存在します。デメリットと考えられる3点を紹介しますので、利用する際はデメリット面も考えながら、サービス利用を検討すると良いでしょう。
自社営業業務の実情の把握が困難になる可能性
営業代行サービスを利用することにより、自社内での営業プロセスの把握が困難となる可能性があります。営業代行サービス企業を完全に信頼し、任せっきりにするという判断もあるかと思いますが、そうでない場合には、自社のCRMやSFAなどの営業支援ツールとの連携により、営業の進捗管理を行い、営業活動をリアルタイムで詳細に把握することが有効です。
期待した成果が得られない可能性
営業代行サービス会社に依頼したからと言って必ずしも期待した成果が得られるとは限りません。自社の商品やサービスの特徴やアピールポイントなどを営業代行サービス会社と共有した上で、営業代行サービス会社からも企業や消費者へのアプローチ方法など共有してもらった上で、しっかりとコミュニケーションを取りながら、営業活動を進める方法をおすすめします。
商品やサービスの単価次第で費用対効果が見合わない場合がある
商品やサービスの単価が低いと、営業代行サービス会社に依頼する場合の報酬対比、コスト感が見合わない可能性があります。営業代行サービス会社に依頼をして、しっかりと費用を回収できるのか、いついつまでの期間でどのような成果がでれば良しとするかを明確に決めておかないと費用だけが嵩張るだけですので、期間及び成果を決めた上で、営業代行サービス会社に依頼する必要があります。
営業代行サービス会社に依頼する際のポイント
営業代行サービス会社は複数存在しており、依頼主企業の側で依頼の際の軸が無いと、結果的に求めていた成果を得られず、双方にとって不幸せな結果となることもあります。営業代行サービス会社によって得意分野や領域も異なり、契約内容や契約期間、コスト感も異なります。自社に最適な営業代行サービス会社を選ぶ際のチェックポイントをいくつか紹介します。
営業代行サービス会社の得意分野が自社のニーズに合致しているか
営業代行サービス会社によって、得意な業界や領域、業務範囲などが異なります。営業代行サービス会社の得意領域や営業の強み、対応可能な業務範囲などを調べた上で、自社の依頼しようとしているニーズにマッチしているかどうかを検討します。
具体的な事例や実績を示せるか
過去どのような実績があり、事例として示すことができるかは重要です。成功実績が無い、もしくは少ない場合は依頼する際に不安になりますし、営業力を高める効果を期待することができません。まずは、営業代行会社のホームページで確認、または、直接問い合わせをするなどして、自社の業種や類似商品・サービスでの営業実績があるかを確認します。
料金プランと金額感が合致するか
営業代行サービス会社により料金体系や金額感も様々です。自社の予算に合うか、また、費用対効果が得られそうかの目線で検討する必要があります。
営業代行サービス会社の料金体系は、下記4つの料金体系に分類されます。
- 固定報酬型:毎月一定の料金を払う。予算管理がしやすい。
- 成果報酬型:成果の基準・件数等に応じて料金を支払う。成果次第で支払額が増える。
- 複合型:固定報酬型と成果報酬型を合わせた料金体系。月額費用・成果報酬の両方を支払う。
- 人時契約型:営業代行スタッフの稼働時間に応じて料金を支払う。毎月変動の可能性。
的確な提案・解決方法を出せるか
依頼しようとしている営業代行サービスの実績等を確認し、的確な提案・解決方法を示しているかを確認しましょう。提案している内容が時代に即したものであるか、また、どのような強みがあり、その強みは自社に活かせそうかの視点で実績を確認することをおすすめします。
営業代行スタッフと自社社員との相性
依頼するとは言え、結局は人と人のコミュニケーションが重要であることに異論はないと思います。契約までの提案時の姿勢や連絡時の雰囲気など、日々のやりとりを通じて見極めの判断材料とします。
営業代行サービスの費用相場
営業代行サービスを利用する際は、相場を把握した上で依頼することをおすすめします。ここでは、一般的な費用相場を紹介します。
固定報酬型
固定報酬型は、成果内容に関わらず一定の費用を支払う料金体系です。予算が決めやすい一方、成果が出なくても費用が発生してしまうデメリットもあります。
1営業日当たりの相場は概ね25,000円から70,000円位(月額:140万円程度、20営業日換算)と言われています。
テレアポ、インサイドセールスのみの外注か、商談対応やCSを含めた外注かによって費用は大きく変わります。
固定報酬型で依頼する場合は、営業活動を根本的に見直したい(コンサルティング機能を求めている場合)場合や新規事業でまだ市場が未確定の場合などがおすすめです。
成果報酬型
成果報酬型は、アポイントメント数や契約数など、事前に決めた成果に応じて報酬額が決まる料金体系です。
テレアポのみを依頼する相場観としては、1アポイントメント当たり15,000円~60,000円程度、1成約あたり売り上げの30-50%程度が相場と言われています。
アポ獲得成果報酬型の場合は質の低いアポばかり獲得される可能性や成果の上げづらい商品・サービスでは依頼しても注力してくれないデメリットもあるため、成果報酬型で依頼する場合は、粗利率の高い商品・サービスや一定の販売目安がついている商品・サービスを展開する場合におすすめです。
複合型
複合型は、固定報酬型と成功報酬型を組み合わせた料金体系で月額費用と成果費用の両方が必要となります。複合型の月額の相場は、営業代行スタッフ一人当たり25-150万円程度で、成果報酬は営業代行会社や案件内容により異なります。
成果が出ない場合でも月額費用が掛かる点は注意が必要です。
人時契約型
人時契約型は、営業代行スタッフ一人当たりの単価を設定して稼働した時間に応じて料金が決まる料金体系です。一般的な相場は、一時間当たり3,000-8,000円程度で、営業代行スタッフが稼働する人数や時間によって月額費用が変動する場合もあります。
まとめ
今回の記事では、営業代行サービスを利用する際のメリットやデメリット、依頼する際のポイントや費用相場について紹介してきました。
営業代行サービスは効率的に自社商品やサービスを展開していく上で有効です。一方で、依頼企業を誤ってしまうと、費用と時間の無駄を発生させてしまうことになります。今回紹介したチェックポイントなどを参考に、自社の課題やニーズに合う営業代行サービスを選定しましょう。