BtoB SaaSの代理店 戦略 (パートナーセールス戦略)を解説
BtoB SaaSの提供は直販が主ですが、代理店を通した販売提供はエンタープライズ顧客を獲得したり、
少ない労力で顧客を増やす事ができます。一方で代理店にメリットがないと販売をしてくれず報酬体系の設計も重要になります。
今回はBtoB SaaSで代理店(パートナー)を開拓するメリットやデメリット
目次
BtoB SaaSで代理店を開拓するメリット
代理店を開拓するメリットは自社でアプローチできない
・エンタープライズ系企業の獲得
・地方の顧客獲得
・自社がアプローチしたが担当に繋がらなかったリード
などを獲得できます。
ホリゾンタル系のサービスの場合、エンタープライズであればあるほど獲得難易度が上がる為
既に取引のある代理店経由で提案した方が結果的には獲得率が上がります。
BtoB SaaSで代理店を開拓するデメリット
一方で代理店の開拓にはデメリットも存在します。
例えば
・自社のリードと代理店リードの重複
・利益率の低下
・問い合わせの増加
などになります。リード重複は必ず発生する問題で例えば
2024年1月にリードが発生し自社で商談した企業が、2024年2月に代理店経由で再商談。
この場合は案件化した際は力関係上で代理店の案件獲得になりますが、既に自社で行なっていた商談が無駄になるのでは?という考え方もあります。もちろん自社で商談したから代理店が獲得できたという考え方もありますが、
そもそも論でいうと、代理店が見込み顧客をちゃんと囲んでメーカーへ問い合わせしない様
案件コントロールすべきでは?という事もあり
リード重複問題は頭に入れておくべき問題です。
どういう企業がBtoB SaaSの代理店になるのか?
商材にもよりますがバーティカル SaaSとホリゾンタルSaaSで代理店候補が変わってきます。
ただ、バーティカル、ホリゾンタル関係なく見込み顧客が大手であればあるほど
付き合いのあるSIerがあり、代理店戦略ではSIerと組む事は非常に重要です。
バーティカル SaaSの代理店候補
・その領域へ搬器や設備、用品を提供する販社
・コンサル
・領域特化のSIer
ホリゾンタル SaaSの代理店候補
ホリゾンタルSaaSの場合、SIerはもちろんですが、ITディストリビューターを意識するとより売上増加に繋がります。
・SIer
・コンサル
・PCやサーバーのメーカー
・ITディストリビューター
ITディストリビューターとは?
ITディストリビューターはPCやそれに付随するソフトウェアの流通代理店で、
多数のSIerと取引があり、ITディストリビューターに登録するとエンタープライズ顧客を獲得できます。
大手SIerは、新規取引口座を開設するにはかなりのハードルがある為、
新規提案する商材はITディストリビューターから卸して提供する事が一般的です。
ITディストリビューターの商流の流れ
ITディストリビューター商流は
顧客←2次代理店←ITディストリビューター←自社(メーカー)
という流れで2次代理店とメーカーとの自社の間に入り、サービスを流通させます。
BtoB SaaSで代理店を開拓する前に決めるべき事
BtoB SaaSの代理店開拓で事前に決めるべき事を以下から記載します。
契約形態(再販、取次)
再販の場合、代理店と顧客が直接契約し
取次の場合は自社と顧客が直接契約します。
一般的に再販は代理店が商談からサポートまでを行ない、
取次店は1次商談を代理店で行い、それ以降は自社が行うような契約です。
再販提供でも、サポートは自社などハイブリッド型もあり自社のサービスや方針によって変えていきます。
卸価格
再販の提供形態で意識すべき事で、代理店へ何掛けで提供するか?という卸価格です。
一般的には80%~70%掛け提供になります。
なお、ITディストリビューターは2次代理店へ提供する関係上70%以下での提供が必須です。
取次の場合、は卸ではなく契約価格の何%バックか?となりますので報酬形態に記載します。
報酬形態
いつまで報酬を払うか?になります。
取次店契約は成約したら初期費用を除く、年間の売上の20%から30%を代理店へ提供します。
・何年間代理店へ報酬を支払うか?
・初期費用も報酬へ含めるか?
などを決める必要があります。
サポート体制
再販パートナーでも自社でサポートを受け付ける事を嫌がったり、
再販パートナー内でサポートすると言っても、結局自社へサポートを丸投げする場合もあり、
何時まで、誰が代理店向けのサポートを受け付けるか自社で整備する必要があります。
代理店の販売構築時は営業がサポートを受け、徐々にCSやサポート担当が対応する流れですが
質問を丸投げする代理店もありサポート体制は社内で話し合っておいたほうがよいでしょう。
紹介料の入金ターム
契約後1年後に入金するのか?3ヶ月に1回入金するのか?になります。
振込回数が多いと、その分手続も増えるので出来るだけ入金回数は少ない方がよいです。
代理店が販売するメリットを精査する
単純に登録依頼をしても販売してくれないので、
・代理店が売りやすい報酬体系、サポート体制である
・手離れが良い商材である
・DXやAI、自動化など時流に乗っている商材である
など代理店が販売するメリットを精査し提案する必要があります。
BtoB SaaSで代理店を開拓する方法
BtoB SaaSで代理店を開拓する方法を紹介します。
アウトバウンドによる開拓
HPやコールドコールによる開拓です。
ITディストリビューターの場合、HPからメーカー登録申請ページもありますが、
代理店が販売しやすい商材であるという事をしっかりと伝える必要があります。
展示会で開拓する
代理店は自社で商材を抱えていない関係上、展示会で新規提案商材を探しています。
代理店は1回100万円以上のコストが必要ですが、大手代理店とつながる事も可能なので、
有効な施策の1つです。
銀行やVCの紹介で開拓する
銀行やVCから借入や出資を受けている場合、代理店になる可能性のある企業の紹介を依頼する
事も良いでしょう。
まとめ
BtoB SaaSのメーカーでも代理店を開拓するメリットが存在し、事前に準備していけば適切に拡販する体制を構築できるので是非チャレンジしてみてください。