KPIとは何か?概要や作り方など事例でわかりやすく解説

KPIとは何か?を解説

前回記事では「KGI」について紹介しました。

KGIとは何か?KPIとの違いを分かりやすく解説|ロケットボーイズのBtoBマーケティングブログ (rocket-boys.co.jp)

今回の記事では「KPI」に焦点を当てて紹介していきたいと思います。

KPIとは

前回記事と多少重なるところはありますが、改めてKPIとは何かについて説明します。

KPIとは、Key Performance indicator(キーパフォーマンスインジケーター)の略称で、日本語では「最重要業績評価指標」あるいは「経営業績評価指標」を意味します。

KPIはKGIに紐づけられて設定される指標であり、KPIの進捗を継続的に測定することにより、KGIの達成に向けての進捗率を図る指標としてご理解頂ければと思います。

KPIを設定する目的

会社は複数の部署で構成されていることが一般的です。営業、マーケティング部署、人事、総務、など、各部署が事業を行っていく際に何かしらの目標を設定するかと思います。しかしながら、それぞれの部署が個別に目標を設定してしまうと、それが結果的に会社全体の利益に貢献しているのか、成長に繋がるのか、との視点で整合性がとれなくなってしまうことがあります。

そこで重要なのがKPIの設定であり、会社全体の最終目標(KGI)を設定した上で、KGIに紐づくKPIを各部署のテーマに沿う形で設定することで、会社全体の方向性を統一することができます。

また、評価基準が明確になることにより、社員が業務を進めることにおいて何を拠り所にするかの基準になり、モチベーションの向上にもつながります。会社を支えるのは当然ですが社員です。社員のモチベーションの向上に繋がることを会社として行うことにより、結果的に企業の成長につながります。

KPI設定の参考になる考え方

KPIを設定する際の参考になる考え方として「SMART」モデルの活用があります。KPIを設定する際の参考にして頂ければと思います。

  • 明確性(Specific)
  • 測定可能(Measurable)
  • 達成可能(Achievable)
  • 結果指向または関連性(Result-oriented or Relevant)
  • 期限を定める(Time-bound)

KPI設定時の注意点

KPIを設定する際には、まずは自社内の課題や不足している点を洗い出すことが重要です。闇雲にKPIを設定しても、そのKPIが何に基づいており何のために行うのかの納得感がないと社員もモチベーションが上がりません。また、同業他社のKPIは参考にはなるものの必ずしも自社の課題や不足感に適合するかは、社内でしっかりと確認した上で設定する必要があります。KPIを設定するためには、自社の分析をしっかりと行ってから、他社の成功事例を参考にしつつ、自社にフィットする形のKPIを設定していくプロセスが重要です。

KPI設計の事例(企業別)

日本航空(JAL)のKPI

日本航空は2010に経営破綻しましたが、稲盛氏のもと経営再建に着手し、その後劇的なスピードで事業再生を成功させました。その背景にあるのがKGI、KPIの設定と言われています。KGIは「顧客満足度を高めること」と設定し、その達成のためには「各便が定時到着していることが重要」だとして、KPIを「定時到着率」に設定しました。「定時到着率」の改善を掲げることで、定時運航のための情報収集への注力、全員での機内清掃、手荷物搭載計画による時間短縮などの業務改善を行いました。

AmazonのKPI

Amazonは「キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)」と呼ばれるキャッシュフローの効率化を重要視しています。「資金のKPI」としてCCCを設定しており、具体的には「会社が原材料や商品の仕入れなどへ現金を投入して在庫になり、それを販売してから最終的に現金化されるまでの日数」を示した指標です。CCCは小さいほど資金効率が良いと言える指標で、AmazonのCCCは平均マイナス30日と言われ、商品の仕入れ代金を支払う30日前には商品の代金を受け取っているという計算になります。売れれば売れるほど資金が多く手に入る流れになっています。

ハウステンボスのKPI

ハウステンボスは一時期経営危機に危ぶまれていたものの、2010年にHISが経営権を取得し初年度で黒字化を達成しました。来場者数の増加を実現するための施策をKPIとして設定したことが背景にはあります。KPIとして「『オンリーワン・ナンバーワン』のイベント展開数」を設定することにより、ハウステンボスにしかないイベントを多数開催することを目標にしました。具体的には「花の王国」「光の王国」「ゲームの王国」「音楽とショーの王国」「健康と美の王国」「ロボットの王国」などの王国シリーズや、日本初のロボットホテル・ロボットレストランなど、様々な独自のイベントを開催しました。話題性が高まり、入場者数も劇的に回復し、復活を遂げたと言われています。

KPI設計の事例(事業部門別)

ここでは部門別に切り分けて参考となるKPIを挙げていきたいと思います。

営業部門

  • 売上
  • 受注数
  • 新規顧客獲得数
  • 新規リード数
  • 顧客単価
  • 商談数
  • 受注率
  • アポイント数
  • 架電数

「SMART」のモデルに沿って、より定量的に表せる指標が並びます。営業部門は基本的に売上げ目標があるため数値として表しやすい特徴があります。

マーケティング部門

  • 受注数
  • 新規顧客数
  • 商談数
  • アポ数
  • 受注率
  • 申し込み率
  • CV数
  • UU数
  • PV数
  • サイト訪問者数
  • 回遊率
  • CTR
  • CVR
  • CPA
  • ROI

マーケティング職は割り当てられているプロジェクトや施策によって設定すべきKPIも異なります。KGIから逆算して何が最適なKPI設定となるか各プロジェクトや施策によって柔軟に対応する必要があります。

クリエイティブ部門

  • CV数
  • UU数
  • PV数
  • サイト訪問者数
  • 滞在時間
  • 回遊率
  • 直帰率
  • CTR
  • CVR
  • CPA

クリエイティブ職はサイトや広告運用に関する内容が多くなると思います。一方で数値として認識できる指標が多く進捗率を追いやすい特徴があります。KGI達成に向けて、サイト運用や広告運用の観点で何をKPIとして設定すべきかを社内で議論をしっかりと行い、設定する必要があります。

製造部門

  • 労働生産性
  • 生産量
  • 在庫回転率
  • 良品率
  • 歩留り率
  • 廃棄率

製造業でKPIを設定する場合は、効率性や品質など作業現場で必要な指標を設定することが一般的です。会社全体のKGI達成のために、製造部門としてどのくらいの生産キャパシティで売り上げに貢献していくか、一方で品質を一定水準以上は維持しながらいかに効率性をあげていくか、最初の目標を見誤ると製造現場に過度な負担がいくことになるため、慎重にKPIは設定する必要があります。

人事

  • 採用選考の応募者数
  • 採用者数
  • 辞退者数
  • 採用コスト
  • 研修満足度
  • 管理職やリーダー輩出数
  • 配置における満足度
  • 配置後の目標達成率
  • 人件費
  • 1人当たりの生産高

人事は採用担当や社内の人材育成部門、など担当する分野によってたてるべきKPIは様々です。各担当分野の特長に応じてKPIを設定する必要があります。

KPI設定の順序

KPIはここまででもお伝えした通りKGIに紐づく指標です。あやふやな状態でKPIを設定してしまうと後での修正は困難となり、社員のモチベーションにも関連してくるため、しっかりと順序立ててKPIを設定する必要があります。

ここからは、参考となるKPI設定の順序について簡単に紹介していきたいと思います。

①KGIを設定する

KPIを設定する前に、まずは最終目標となるKGIを設定します。会社全体でも構わないですし、プロジェクトベースでも構いません。最終的に何を達成したいのかを目標としてKGIを設定します。

②KGIの達成に向けて必要な成果やプロセスを考える

どうしたらKGIを達成できるのかの視点で、KGIをプロセスや成果ベースで分解します。KGIを達成するためにはどのようなプロセスがあり、それぞれのプロセスにおいてどのような成果があるのかを見える化します。

③KPIを具体的な数値で設定する

洗い出したプロセスや成果を、まずは定量的に数値で表せるかを考えます。また、数値化した目標をKPIとして設定しますが、細分化できるようであればさらに細かく分解してみます。SMARTの基準に沿って、よりKPIにふさわしい指標をいくつか挙げます。

④KPIの運用を開始する

KPIの指標をいくつか挙げたら、必要なKPIの成果を出せるように業務にとりかかります。最初は思い描いたように進まず戸惑うこともあるかもしれませんが、定期的に進捗を確認したり、社内でコミュニケーションをとりながら、また、時にはチューニングを行いながら進めていいきます。

KPIの運用を開始する際は、基本的には社内全体もしくはプロジェクトに関係するメンバーには明確に認識してもらった上で運用を開始していきましょう。

まとめ

今回の記事ではKPIに焦点を当てて、事例や設定の方法などを紹介しました。皆さまの効率的なKPIの運用に役立ちますと幸いです。

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