赤武エンジニアリングのランサムウェア 被害、1万1,712件の個人情報漏洩の恐れ―管理者権限を不正取得か、最終報を公表

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赤武エンジニアリングのランサムウェア 被害、1万1,712件の個人情報漏洩の恐れ―管理者権限を不正取得か、最終報を公表

粉体ハンドリング機器の設計・製造を手がける赤武エンジニアリング株式会社(静岡県沼津市)は2026年10月13日、8月に発生したランサムウェア被害について、外部専門機関による調査を終え、最終報を公表しました。従業員の個人情報125件と、取引先企業の担当者の個人情報1万1,587件について、全部または一部が漏えいした可能性があるとしています。2区分の単純合計は1万1,712件です。

調査では、攻撃者が何らかの方法で管理者権限を不正に取得し、その権限を利用してサーバ内のデータにランサムウェアを配布したとみられています。一方、データが外部へ送信されたことを示す明確な痕跡は見つかっておらず、情報漏えいや二次被害も確認されていません。同社は対象となる可能性がある関係者に個別通知を行い、ダークウェブ上での情報公開について監視を続けています。

赤武エンジニアリングのランサムウェア被害・最終報のサマリー

  • 2026年8月10日、サーバに保存された一部ファイルの暗号化を確認しました。
  • 8月13日に第1報を公表し、外部専門機関や警察と連携して調査を開始しました。
  • 10月13日、外部専門機関による調査結果を最終報として公表しました。
  • 攻撃者は管理者権限を不正に取得し、その権限でランサムウェアを配布したと推定されています。権限を取得した具体的な方法は示されていません。
  • 漏えいのおそれがあるのは従業員の個人情報125件と、取引先担当者の個人情報1万1,587件です。
  • 従業員情報にはマイナンバーが含まれますが、同社は暗号化した状態で保存していたと説明しています。
  • データの外部送信を示す明確な痕跡、個人情報の漏えいの事実、二次被害は確認されていません。
  • サーバ・端末の隔離や社内アカウントのパスワード変更を実施し、ファイルサーバはバックアップから復元しました。
項目 内容
企業名 赤武エンジニアリング株式会社
所在地 静岡県沼津市
被害確認日 2026年8月10日
第1報 2026年8月13日
最終報 2026年10月13日
被害内容 サーバ内の一部ファイルがランサムウェアによって暗号化
攻撃手法に関する調査結果 管理者権限を不正取得し、ランサムウェアの配布に利用したと推定
漏えいのおそれがある個人情報 従業員125件、取引先担当者1万1,587件(単純合計1万1,712件)
漏えい・二次被害 最終報時点で確認されず。ただし情報窃取の可能性は否定できない
復旧・対応 隔離、パスワード変更、ファイルサーバのバックアップ復元、関係者への個別通知
行政機関への報告 所轄警察、個人情報保護委員会

8月10日にファイルの暗号化を確認、約2か月後に調査結果を公表

赤武エンジニアリングは8月10日、サーバに保存していたファイルの一部が暗号化され、使用できなくなっていることを確認しました。同月13日の第1報では、ランサムウェア感染によるシステム障害を公表したものの、個人情報や顧客データの外部流出、具体的な被害範囲は調査中としていました。

当時の経緯は、セキュリティ対策Labでも赤武エンジニアリングのランサムウェア感染によるシステム障害として8月18日に取り上げています。9月2日にはScanNetSecurityも、同社の第1報をもとに被害を報じました。

その後の外部専門機関による調査を経て、10月13日の最終報で、管理者権限を利用したとみられる攻撃の経緯と、漏えいの可能性がある個人情報の範囲が示されました。

管理者権限を不正取得し、ランサムウェアを配布した可能性

最終報によると、攻撃者は何らかの方法で管理者権限を不正に取得し、その権限を使ってサーバ内のデータにランサムウェアを配布したと考えられています。権限が高いアカウントを攻撃に利用された可能性が示された一方、最初の侵入地点や管理者権限の具体的な取得方法までは公表されていません。

同社が再発防止策に多要素認証の導入を挙げていることは、今回の侵入原因が多要素認証の未導入だったと確定したことを意味しません。公表された調査結果から確認できるのは、管理者権限がランサムウェアの配布に悪用されたと推定されている点です。

従業員125件、取引先担当者1万1,587件が漏えい可能性の対象

外部専門機関の調査では、サーバ内のデータが外部に送信されたことを示す明確な痕跡は確認されませんでした。ただし、複数の調査痕跡を踏まえて情報窃取の可能性を完全には否定できず、同社は保存されていた次の個人情報について、全部または一部に漏えいのおそれがあるとしています。

対象 件数 対象となる可能性がある情報
同社従業員 125件 氏名、住所、生年月日、性別、電話番号、メールアドレス、マイナンバー
取引先企業の担当者 11,587件 氏名、電話番号、メールアドレス
合計(単純合算) 11,712件 情報の漏えいが確定した件数ではない

マイナンバーについて、同社は暗号化した状態で保存していたと説明しています。マイナンバーを含む記録の個別件数や、暗号化方式については最終報で示していません。また、1万1,712件は公表された2区分の合計であり、重複を除いた実人数を示すものではありません。

同社は、対象となる可能性がある関係者に電子メールまたは書面で個別に通知しました。10月13日時点で、個人情報の漏えいの事実や、それに起因する二次被害は確認されていないとしています。

「The Gentlemen」が8月に犯行を主張、最終報では情報流出を確認せず

過去の脅威情報を確認すると、ランサムウェアグループ「The Gentlemen」のリークサイト上に、赤武エンジニアリングの名称とドメインが2026年8月21日付で掲載記録があります。

ただし、攻撃者による犯行主張は、そのグループが実際に侵入したことやデータを窃取したことの独立した証拠ではありません。赤武エンジニアリングの最終報は攻撃者グループを特定しておらず、同グループの主張との関係を裏付けていません。企業側は外部送信の明確な痕跡を確認していない一方、情報窃取を完全には否定できないとして、ダークウェブ上での情報公開の有無を外部委託により継続監視しています。

サーバをバックアップから復元、再発防止に多要素認証とログの外部保存

赤武エンジニアリングは被害拡大を防ぐため、全サーバと端末をネットワークから切り離して隔離し、全従業員の社内システムのアカウントのパスワードを変更しました。ファイルサーバについては過去のバックアップから復元しています。最終報には、すべてのシステムの復旧完了日時や業務影響の全容までは記載されていません。

同社が掲げた再発防止策は、多要素認証などによるアクセス管理の強化、社内サーバのクラウド移行、バックアップ体制の強化、インシデント対応手順の整備、ログの外部保存と監視体制の構築です。

今回の調査結果では、特権アカウントの悪用が疑われることと、情報窃取の有無を調べるうえで証拠の確認が必要になったことが示されています。企業の情報システム部門が同様の事態に備える際は、管理者権限の利用状況を監査できるか、端末やサーバが暗号化された場合でも保全済みのログを参照できるか、バックアップから業務に必要なファイルを復元できるかを確認する材料になります。

出典